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街中でスマートフォンを持つ手

「旅マエから旅ナカまで」訪日外国人の消費機会を地域に還元するための方法

2018.07.09

Updated by 創生する未来 on July 9, 2018, 14:15 pm JST

街中でスマートフォンを持つ手
訪日外国人旅行者は、2016年に約2400万人となり、2012年に比べ約3倍となった。政府は、東京オリンピックが開催される2020年に、約4000万人の実現を目標としている。

インバウンドビジネスの拡大が期待される中、経済産業省はより質の高いサービスを提供できるよう「おもてなしプラットフォーム」を構築中だ。

このプラットフォームは、様々な地域や事業者が得られる訪日外国人旅行者の属性情報や行動履歴などのデータを、統合的に蓄積して利活用する仕組みである。

2017年における、おもてなしプラットフォームを実証する事業(IoT活用おもてなし実証事業)の一つとして、日本ユニシスと一般社団法人山陰インバウンド機構が、島根県と鳥取県の観光産業を通じた地域経済の活性化に取り組んできた。

2018年5月、日本ユニシスは前年度の取り組みを促進すること発表。これにより、外国人旅行者の『旅マエから旅ナカまでの消費機会の創出』と、その効果を実証する。

▼提供するサービスのイメージ 出典:日本ユニシス
日本ユニシスが提供するサービスのイメージ図

ストレスフリーな決済やAIコンシェルジュの導入で、訪日外国人の消費を地域に還元

2017年度は、訪日外国人専用デジタル周遊パス「Visit san’in Tourist Pass」を使えるアプリ「Sanin Pass」をリリースした。アプリでは、まず使用する言語と属性情報を入力し。その後、Visit san’in Tourist Passを購入すると、スマホの画面を見せることで、観光施設や博物館、美術館が利用できたり、お土産屋や飲食店の割引特典が受けられる。

2018年は、このデジタル周遊パスに加えて、様々なサービスの予約と決済ができるサービスを追加するという。アプリに実装されるサービスは、以下の通りである。

一つは、地域電子マネーによる決済だ。旅行者はスマホに日本円をチャージし、プリペイドカードとして活用。地域事業者側側も、スマホやタブレットなどで決済ができるレジアプリを導入する。店舗の支払いをスムーズにすることで、消費の促進につなげる。

二つ目は、体験施設やガイドタクシー向けに、インターネットを使ったAIコンシュルジュサービスを用いて、事前予約の多言語対応を図る仕組みである。

これにより、旅行者は目指したい場所やサービス提供者をリストから選べるだけでなく、各種言語で事前の予約を完了することができる。インターネットを経由するため、当然ながら自国の時間帯でいつでもストレスなくサービスの検索を完了できる。

▼今回の取り組みの全体像 出典:日本ユニシス
日本ユニシスの地方活性化実現プロセスの図

また、周遊パスのエリアが、倉吉市と大山周辺町村、境港市、米子市、松江市、出雲市、安来市に加えて、鳥取市と大田市にも対応。現在地から目的地までの道のりを検索し、スマホを見せるだけで各交通機関に乗車できる「交通パス」の機能も追加する。

日本ユニシスは、プレスリリース上で「インバウンド消費の波及効果による山陰地域内での好循環サイクルモデルを作ることで、地域活性化を実現する」とコメントした。

データに基づいた観光戦略を

おもてなしプラットフォームは、上述したように訪日外国人旅行者の属性情報や行動履歴などのデータについて、同意のもと統合的なプラットフォームに蓄積し活用する取り組みだ。これにより、地域事業者は属性情報を活用した観光戦略を策定することが可能。

一口で外国人訪日客といっても、それぞれの旅行者のニーズは様々であり、サービス提供側が思う以上に多様化している。「インバウンド対応=外国人対応」とひとくくりにする時代は終わり、データに基づいた戦略が必要なステージが到来しているといえるだろう。

(執筆:須田恵)

参照:日本ユニシス 山陰・観光ビジネスプラットフォーム(実証事業)

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