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運輸、エネルギー、公共分野で進むデジタル化--世界の事例をノキアが紹介

2018.09.21

Updated by Naohisa Iwamoto on September 21, 2018, 06:25 am UTC

エンタープライズ分野におけるデジタルトランスフォーメーションが世界で進展している。ノキアは報道関係社向けに説明会を開催し、エンタープライズ市場への取り組みや、その中でも運輸、エネルギー、公共分野での事例を紹介した。

最初にノキア グローバルエンタープライズのシニア・バイス・プレジデントを務めるクリス・ジョンソン氏(ページトップの写真)がエンタープライズ市場の進化について説明した。「市場のトレンドとしては、都市のコネクティビティの進化や、パブリッククラウドおよびプライベートクラウドの増加、産業や政府機関のデジタル化、エネルギーの効率化や最適化、人やモノの移動システムの革新、個人データへのアクセスと保護など、多くの動きがある。ノキアはエンドツーエンドの製品ポートフォリオを用意し、これらのトレンドに対応できる」。

▼ノキアがグローバルでリーチする中心的な5分野に、「公共」「エネルギー」「運輸」の3分野が含まれる

その上で、主要な産業セクターにおけるノキアの実績として「人間の生活に責任を持つ分野で、大きな成功を収めてきている。ビジネスや業務ではなく“人間”に着目し、人命にかかわるような公共、運輸、エネルギーといった分野で実績を積み上げている」(ジョンソン氏)。

次いで登壇したノキアソリューションズ&ネットワークス執行役員の奥田浩一郎氏が、同氏が担当するエネルギー・運輸・公共事業における具体的な事例について説明した。

▼グローバルの実績を紹介するノキアソリューションズ&ネットワークス執行役員の奥田浩一郎氏

エネルギー業界では、風力発電の管理をプライベートLTEで行う米カリフォルニア州のSempra Energyの事例を紹介した。カリフォルニア州ではすでに再生可能エネルギーによる発電が需要の100%を超える日があり、発電の制御やコスト削減が急務になっている。そうした中で、風力発電の機器は山中や洋上など人間が行きにくく、公衆網の通信がないような場所に設置されている。風力発電の風車のブレードのリアルタイムの調整や、トラブルの検知などを行うため、同社ではプライベートLTE網を構築した。ブレード角の調整が適切でないと、発電機が加熱して故障することがあり、故障には数千万円といったコストがかかる。「プライベートLTEによるIoT通信をソリューションとして採用することで、修理コストを90%以上削減することができた」(奥田氏)。このほか、オーストラリアの鉱山におけるトラックの無人運転や建機のリモート運転をプライベートLTEで実現した事例も紹介があった。

公共業界では、米国全土に向けたパブリックセーフティネットワークの実現の事例を紹介した。米国では、2001年の同時多発テロの際に、警察と消防の間のネットワークの連携がなかったことから多くの人命を救えなかったことを教訓に、有事における警察・消防の通信網の相互接続を可能にするネットワークを構築した。これがFirstNetと呼ぶものだ。ノキアのベル研究所と共同で研究開発を行い、プライベートLTEを用いたネットワークの全米への納入が始まっているという。ネットワークとしては、平時は警察と消防では分離していながら、非常時には音声・動画・データなどを双方で共有できる構成を採る。さらに有事の際に、当初は高速で長時間の飛行ができるドローンによる初動態勢で情報を収集し、カメラ、ウエアラブル、ロボットなどを組み合わせた対応を実現する。「国内では、仙台市とノキアがパブリックセーフティ分野で連携協定を結んだ。自衛隊との連携の議論も進んでいる」(奥田氏)と説明する。

運輸業界では、フランスのパリ市のメトロ交通公団RATPがプライベートLTEの実証実験に成功したことを紹介した。パリのメトロではテロ対策などを強化するために監視カメラを高精細化している。しかし全6万台のカメラが高精細化されたことで、バックボーンネットワークの容量が大幅に不足してしまった。バックボーンネットワークが老朽化していたこともあり、プライベートLTEによる刷新を図っている。時速85kmでの安定した通信性能、複数のシステムのスライシングによる分離、ネットワークの統合化および仮想化といった要件をノキアのソリューションがすべてクリアし、現在は周波数割当の解決を待っている段階だという。このほか「フィンランドのヘルシンキ空港では、プライベートLTEのネットワークがすでに稼働し、民営化によるオペレーションの効率化などに役立っている」(奥田氏)という。

▼運輸、エネルギー、公共分野を中心とした通信トレンドとノキアの提供する価値

これら3業界の通信トレンドとして奥田氏は「キーワードはシンプル」だという。エンドツーエンドでグローバルスタンダードに対応したポートフォリオが求められている。そうした中で、ノキアが持つ豊富な実績と、レガシーインタフェースや業界や国・地域などの独自要件への対応力が、今後の5G時代に向けたソリューションプロバイダーとして認められていると説明した。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。