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厚生労働省の「毎月勤労統計」問題はIT業界の縮図

Japanese government's stat scandal is like IT industry

2019.01.28

Updated by Mayumi Tanimoto on January 28, 2019, 11:21 am UTC

厚生労働省の「毎月勤労統計」の過去20年くらいのデータがかなり適当だったという件で、「COBOLで書かれた特殊なプログラムを読めると高齢者認定される」というパワーフレーズが最近ネットを巡回しており、胸が熱くなった方々も非常に多いのではないでしょうか。

この定義によりますと、残念ながら私の仕事関係者は30代でも高齢者認定でありますから、 日本の少子高齢化にますます貢献するような気がしてなりません。

さてところで、私はこの件、 ある意味で日本のIT業界の縮図を見たような気がいたします。

1.政府のIT業務を担当するのが素人だらけ

省庁の場合は、人事異動があるがために素人が統計や電波行政を担当するということがよくあるわけです。

IT業界でもまったくの文系素人を採用して、適当なOJTで教育するということが当たり前です。

素人にやらせるので最初からうまくいくはずがありません。

北米とイギリスだと、理数系を専攻しなかった人が、プログラマやITアーキテクトとして雇われることはまずありません。管理系だと情報管理学や経営学を学んだ人が雇われます。

また、統計システムを担当するのがIT専門家ではなく博士号もないとなると、問題が起こるのは目に見えています。

日本の場合、中央官庁でも博士号取得者はほぼ不在です(短期間の官費留学では不十分)。これはイギリスやカナダではかなり驚かれることです。

これではデータ処理が適切に行われないばかりか、素人が重要決定するわけで、国家の舵取りがうまくいかないのも当たり前です。

2. 重要業務に十分なリソースがさかれていない

基幹統計という重要データなのにもかかわらず、要員の数は少なく、変更管理や運用プロセスに関して綿密な外部監査が入っていた形跡もありません。

つまり、十分な人員と予算がさかれていなかったということです。業務の重要性とリソースのバランスが取れていませんが、これも日本のIT業界でも良くある例です。

3. IT業務を軽視している

予算と人員が十分あてがわれていなかったということは、ITを付加価値を産み出す創造性の高い重要業務と考えていないという証明です。

今やデータは組織にとっての血液でありますが、仮に厚生労働省がそう考えていたのであればかなりのリソースをさいていたでしょう。ITはいまだに「計算室」の意識なのではないでしょうか。

4.人力に頼ってなんとか処理する

ダブルチェックできない言語、要員たった一名で国の重要なデータを作り出そうとすることは、つまり、現場の人力に頼って少ない予算でなんとかしようと考えていた、ということです。

最新のツールも入れず、予算も人員も提供せず現場に丸投げというのは、IT業界でもよく見る光景で、まさにデスマーチの根源であります。

日本だと予算が豊富なはずの中央省庁でもこの様な状況です。まるで零細ベンチャーのような実態に驚かされます。

また、重要データに予算も人員もさかないというのは、これは幹部クラスの意思決定に誤りがあるということです。データの重要性を理解していないということですから、その様な意思決定こそ批判されるべきでしょう。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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