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GDPRが象徴するBrexitが起きた理由

GDPR represent the reason of Brexit

2019.03.31

Updated by Mayumi Tanimoto on March 31, 2019, 23:34 pm UTC

イギリス議会はEU離脱協定案に関する採決を行い、反対多数で否決ましたので、合意なき離脱に突入する可能性がかなり高くなっています 。

イギリス国内の状況というのは、日本での報道に比べると安定していますが、GDPRは、なぜイギリスがEU離脱を選んだかということ理解するのに格好の材料です。

GDPRというのは、そもそも消費者の個人情報の保護を強め、 悪意を持った組織や、企業側の過失が起こらないようにするための規制でありますが、背景にあるのはどちらかというと理念的なものであり、決して実用的であるとはいえません。

例えばイギリスだけではなく、北米でも、情報保護やITをめぐる規制に関しては、ビジネスの世界の実態を前提とし、実現性があるかどうかを考慮します。実際には、企業の規模であったり財務的な体力といったものになります。

例えば、全企業にメモや電話の通話記録を含めたビジネスのデータすべてを100年保存しなさい、といった規制ができても、コストや手間暇、さらにその効果を考えた場合、全く現実的ではありません。

ところがGDPRというのは、大変理念的なものでありますから、超巨大企業やIT 大手だけではなく、個人でアプリを作っているような人や小さな非営利団体などにも適用されてしまいます。

もちろん適用外の規制もあるわけですが、国内のデータ保護法と比べると非常に理念的であり、実務的な観点を欠いています。

また、そういった個人情報の保護というのは国内の個人情報保護法で既に規制されている場合が多く、GDPRで二重の規制になってしまいます。

このような二重規制にどういった効果があるのかということは、十分に議論されていないのです。EUというのはあくまで国家間の集まりに過ぎませんから、決定事項に対して議論を挑むことが大変難しいのです。

2点目として、このような規制が各国の違いをかなり無視しており、ある意味で民主主義に反しているということです。

実はEU加盟国というのは、経済レベルに大きな差があり、各国ごとに個人情報保護も違います。そもそも、個人の情報というものに対する考え方、政府のあり方というのも全く異なっています。

特に個人情報に保護に関しては、各国の体験してきた歴史が全く違いますので、考え方というのはかなり異なっています。

例えばイギリスの場合は、伝統的に市場経済主義ですから、個人情報の保護や取り扱いというのは「市場の見えざる手に任せるべきだと」いう態度であります。

ところが、ファシズムを経験してきた国というのは、 国家が個人の情報を人権侵害や虐殺の道具にしてきましたから、国や大企業に個人情報を提供することに大変な抵抗があります。

そもそもそういった国は、権力を特定の政府機関や民間企業に集中させることを大変嫌います。

このような地域の考え方や体験というのを全く無視して一律の規制を適用するというのは、民主主義や多様性に反するものです。

イギリスは徹底した経験主義者で実用性を尊びます。人を雇うときも実績や経験を重視。政策を実行する場合は、様々な数値的検証をして効果があるものでなければやりません。ある意味シブチンで、理念よりも実利を重視する商人国家です。

またこの国では、ロックやHR/HM(ハードロック/ヘビーメタル)が生まれ、伝統を重視する一方で権威や強制を嫌います。

欧州の中でも特に自由や民主主義を重視する人々なので、EUの中央集権主義的な決定を嫌うのです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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