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IT業界内の格差は創造性を破壊するか?

Would gap within tech companies kill creativity?

2019.04.29

Updated by Mayumi Tanimoto on April 29, 2019, 12:00 pm JST

私がかなり気になっていることに「アメリカのスタートアップ界隈では、最近、従業員が組合を結成して会社に対して不満を申し立ている例が増えている」ということがあります。

例えば最も注目を集めたのは、クラウドファンディング大手のKickstarterの従業員が組合を結成し、待遇や報酬に関して会社に苦情を申し入れたです。

これまでテック企業では製造業やサービス業と異なり、組合を作るということはあまりないことだったので、スタートアップ界隈からこのような動きが出てくるというのはかなり驚くべきことです。

そもそもIT 業界というのは、働く人のスキルや専門性というのがかなり細かく分かれているので、製造業やサービス業のように、従業員が集団でまとまって、待遇や賃金を雇用主側と交渉する動機がありませんでした。

賃金も専門によってバラバラですし、転職も頻繁で、個人コンサルタントとして働く一人親方系の人も多いため、集団で固まるという事があまり見られませんでした。それに、まだまだ多くの企業では、従業員の待遇は悪くはなく、その国の中でも最も良い状況であることが少なくなく、報酬もかなり高めです。 

ところがアメリカでは、昨年はGoogle、Microsoft、Amazon、Salesforce、Uberといった企業で、従業員がセクハラ事件や政府との取引に反対を表明する動きが目立ちました。昨年は、Facebook のセキュリティトップや主要幹部がごそっと退職しましたが、これも経営側のモラルを無視した要求に反対したことが理由の一つでした。モラル的に受け入れられないような仕事はしたくない、と主張する人が出てきたのです。

全国平均との比較で非常に高い報酬を受け取っていて就労環境もそれほど悪くはなくても、経営陣と自分達の間で仕事のミッションや報酬に関してあまりにも差が広がっているという認識を持った人が増えているわけです。 

そういった雰囲気が溢れているということは、新しいソリューションやプロダクトを開発するにあたって大きな足かせになるのではないでしょうか。シリコンバレー界隈のテック企業は急激な拡大と利益を重視するあまりに、自らの創造性を犠牲にしてしまうかもしれません。

その一方で、枯れた技術を取り扱うエンタープライズ系のシステムを会社や地味なインフラ系の会社では、組合結成やセクハラ訴訟といった目立った動きがないのも気になるところです。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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