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蕪 調理 イメージ

12)ひと味違ったカレーに「蕪」はいかが?

2019.06.02

Updated by Toshimasa TANABE on June 2, 2019, 11:12 am UTC

蕪は、独特の甘みとソフトな食感でとても美味しい根菜だ。和食の煮ものや洋風のスープ煮などがポピュラーだと思うが、実は、大根(既に「ぶり大根」を紹介した)とともにインドカレーで大活躍するのが蕪なのである。

普段のカレーが、蕪を入れることで全く別の味わいのカレーになる。インドカレーのレパートリーを増やすのに欠かせない存在なのが蕪や大根なのである。師匠であるメヘラ・ハリオム氏も蕪を使うのが得意である。

例えば、キーマカレーに蕪を入れると、蕪のそぼろあんかけ的な風情になる。鶏の胸肉と合わせても良い(下の写真)。もちろん鶏大根のように大根でも良いのだが、加熱時間が短くて済むのが蕪の良いところだ。いずれにしても、鶏肉と根菜は好相性なのである。また、豚肉であっても、和食の豚大根をイメージすると分かりやすいと思うが、美味しいカレーができ上がる。

蕪のカレーを作るときは、蕪の葉も捨てずに取っておく。蕪が食べごろになる直前くらいに、みじん切りにした蕪の葉をカレーに投入すると、蕪の香りと味わいがよりはっきり分かるようになる。ホウレンソウのカレーのように、ここでほんの少しカスリメティを振り入れるとさらに爽やかな香りを加えることができる。ここでも、「青菜にはカスリメティ」なのだ。

ただし、蕪は繊細な味わいが持ち味なので、あまり強いスパイスとは組み合わせない方が、蕪の味わいが良く分かって良いのではないかと思う。例えば、ガラムマサラはちょっと少な目にしておくなども効果的だろう。

蕪が入ったカレーは、すぐ食べるなら良いが、そうでないときは、蕪が食べ頃になったら水を張ったシンクなどで急冷して冷蔵庫で保存したほうが良い。それ以上に火が通ってしまうとトロトロになりすぎてしまって、せっかくの食感が台無しになるからだ。食べるときに温めて(電子レンジでもOK)、前述のカスリメティを少し、で仕上げる。食べるときの加熱を考慮して、「食べ頃の直前」くらいで保存すると良いだろう。

以下では、蕪入りキーマカレーの作り方とポイントを説明する。材料は以下である(分量を明示した詳細なレシピは別途掲載の予定)。

・蕪(ピーラーで皮をむいて、縦割りで8等分にしておく)
・蕪の葉(みじん切りにしておく)
・鶏胸肉のひき肉
・トマト(粗みじん)
・玉ねぎ(みじん切り)
・ニンニク(細かいみじん切り)
・ショウガ(ニンニクよりちょっと粗いみじん切り)
・サラダ油
・水

・パウダースパイス
 パプリカ
 ターメリック
 カイエンペッパー
 塩

・仕上げのスパイス
 カスリメティ
 ガラムマサラ

手順は次のような感じだ。基本的には、普通にキーマカレーを作って、仕上がり前に蕪への火の通り具合を考慮して蕪を加えるだけである。

1)
サラダ油を熱してニンニクをきつね色になるまで焦がさないように炒める。

2)
玉ねぎを加えて軽く馴染ませたら、ショウガを加えてさらに炒める。ショウガをちょっと粗めに刻むのと後入れにすることで、ショウガのフレッシュな香りと食感が残って美味しいと思う。このあたりはお好みなので、ニンニクとショウガはすり下ろしても良いし、玉ねぎを入れる直前に同時に入れても良いだろう。

3)
玉ねぎが透き通ってきたら、トマトを加え潰しながら炒める。

4)
全体がペースト状になってきたらパウダースパイスを加え、焦げ付かないように良くかき混ぜながら、スパイスに火を通す。

5)
全体が赤いペーストになった頃に鶏ひき肉を加えて、均一になるように馴染ませる。

6)
鶏ひき肉が白くなってきたら、蕪を加えて鶏ひき肉とカレーベースに蕪を良く馴染ませる。

7)
水を加えて、蕪が食べ頃になるまで(串を指したりして確認する)煮込む。

8)
火を止める直前にみじん切りにしておいた蕪の葉を加え、葉に火が入ったくらいのタイミングで仕上げのスパイスを加えて火を止める。

蕪の代わりに大根を使う場合には、蕪に比べると味が沁みこんで柔らかくなるのに時間がかかることを想定して調理する。切り方をいちょう切りにして繊維の断面から味が沁みやすくしたり、肉と一緒に煮込む時間を長くするなどである。また、キーマカレーではなくて、基本のカレーベースと鶏手羽などのある程度の時間をかけて煮込む必要がある肉と合わせて、大根と肉が同じくらいのタイミングで食べ頃になるようにする、という手もある。

今回は、蕪を中心に紹介したが、旬の野菜で季節を味わうというのは、インドカレーの大きな楽しみの一つだ。特に家庭料理としてのインドカレーであれば、その季節ならではの旬の野菜を使って、季節感を楽しみたい。外食ではなかなか体験できないことでもある。そんな季節の野菜の例としては、「菜の花」「タケノコ」「アスパラ」「ウド」「キノコ類」などが挙げられるだろう(下の写真はタケノコを入れたキーマカレー)。

旬の素材の味わいに合わせてスパイス使いを微調整する、というのもカレー作りが楽しくなる要素の一つである。普段からカレーを作っていれば、レシピなど無くても「なんとなくこうすれば良いかな?」というポイントがある程度見えるようになるはずだ。家庭料理なので、それが美味しいと感じられればそれで良いのである。


※本連載は、横浜市都筑区のインド家庭料理「ラニ」のオーナーシェフであるメヘラ・ハリオム氏と、同氏を師と仰ぐ田邊(富士山麓のcafe TRAILでカレーを提供中)の共著という形で、インドカレーのセオリーについて考え、それを分かりやすく提示する試みです。もちろん、いくつか代表的なカレーのレシピも掲載していきますが、いわゆるレシピそのものを紹介すること自体は目的ではありません。このレシピはなぜこうなっているのかを理解することで、レシピを見なくても、自分にとって美味しいインドカレーが作れるようになることを目指しています。また、各種スパイスについての解説は、食材やスパイス同士の組み合わせや相性を中心とし、スパイスの歴史や特性などについては、他に優れた本がたくさんあるので、それらにお任せするというスタンスです。

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田邊 俊雅(たなべ・としまさ)

北海道札幌市出身。システムエンジニア、IT分野の専門雑誌編集、Webメディア編集・運営、読者コミュニティの運営などを経験後、2006年にWebを主な事業ドメインとする「有限会社ハイブリッドメディア・ラボ」を設立。2014年、新規事業として富士山麓に「cafe TRAIL」を開業。師と仰ぐインド人シェフのアドバイスを受けながら、日本の食材を生かしたインドカレーを研究中。