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13)インドカレー作りにあると便利な道具たち

2019.06.07

Updated by Toshimasa TANABE on June 7, 2019, 15:56 pm UTC

今回は、インドカレーを作るのに不可欠、あるいはあると便利な調理器具や道具について見て行こう。インドカレーではあっても、特に専用の道具などがあるわけではないので、こんなことを意識して選ぶと良いのではないか、という程度の内容である。包丁とまな板については、使い慣れたものであれば何でも良いと思うので省略する。

1)鍋
基本のカレーベース」の回に1単位ともいえる分量を紹介したが、この分量のカレーベースを作るのに最適なサイズの鍋を少なくとも1つは用意しておこう。材質は問わないしテフロン加工でもアルミでも何でも良いのだが、鍋の厚みがあまり薄いと焦げやすいので、少し肉厚のものが良い。

一番良く使うのは、直径20㎝くらいの片手鍋で、カレーベースはもちろん、アルジラもキーマカレーも、全部これで作っている。ガス台(家庭用)との相性も良く、沸騰させるにも火の通りに無駄がなくて丁度良い。開口面積があまり大きいと、水分の蒸発量が多い、嵩(水位)が稼げないので素材が十分にカレーベースに浸らない、といった弊害もある。

一度にたくさん作るときには、二回りくらい大きな鍋を使うが、量を増やすと火力との兼ね合いなどで味が安定しないこともあるので(修行が足りないとも言える)、せいぜい2倍量くらいまでにしている。例えばイベントなどで、たくさん売れるかもしれない、などというときには、さらに大きな鍋で作ることはせず、2つの鍋で並行して作ったりもする。

一方で、カレーベースに鶏肉を入れてチキンカレーとして仕上げるとき、あるいは作り置きのカレーを1人前あるいは2人前ずつ辛さを変えて仕上げる、といったときのための小鍋も不可欠だ。カレーの量が少なくても、開口面積が小さいものであれば十分に嵩が確保できるので、鶏肉などの素材がしっかりカレーベースに浸った状態で加熱することができる。

鍋の形状は、側面が垂直なタイプでも、雪平鍋のように多少の傾斜があるものでも良い。師匠のメヘラ・ハリオム氏も雪平タイプの鍋をよく使っている。雪平タイプは、左右に注ぎ口が付いているのも良いところだ。特に小型の雪平鍋が一つあると、1人前のカレーを仕上げて、食器に盛りつけるときなどにとても使いやすい。

鍋で大事なことは、鍋のサイズに合った蓋(できれば透明の耐熱ガラス製が中身が見えるので良い)を用意しておくことだ。蓋がないと沸騰するまでに時間がかかるし、煮込むときの水分の蒸発量も多いからだ。初めから鍋と蓋がセットになったものでも良いし、前述の雪平鍋などのように鍋単体の場合は、開口部の直径に合った蓋を買ってくる、あるいは蓋のサイズに合わせて鍋を選ぶということになる。

2)木べら
木製あるいは竹製のへらは、カレー専用のものをぜひ1本用意したい。スパイスの香りがついてしまうので、和食やトマトソースなどを作るためのへらとは別に1本用意して、使い分けたい。

なぜ、木製か竹製が良いかというと、鍋底への当たりがソフトなのと全体にしっかりした剛性感があるからだ。トマトを潰しながら炒めるなどの時に、安心して鍋底に当てて潰したり鍋底にこすり付けながら炒められるので、とても使いやすいのだ。中華鍋と中華お玉のように、鉄と鉄でゴリゴリというのとはちょっと違って、鍋の素材や形状を選ばないのが木べらなのである。

木べらは、合成樹脂製などよりも熱に強いのも良いところだ。また、木べらさえあれば、シリコンゴムなどでできた、いわゆる「ケチべら」がなくても、ほぼ問題なく鍋底までキレイにすることができる。これは、インドカレーには油脂の類がほとんど入っていないので、とてもサラッとしており、多くの場合、鍋を傾けるだけでほぼ全部が容器に移ってしまうからでもある。

3)フードプロセッサとミキサー
ニンニクやショウガをみじん切りにするときに、「フードプロセッサ」があるととても効率が上がる。側面から目視で粒度を確認しながら粉砕していけるので、ニンニクは細かく、ショウガはちょっと粗めに、などということも簡単に調整できる。

もちろん、包丁で刻んでも良いのだが、なるべく細かくしたいときやたくさん作るとき、あるいは複数のカレーを作るときなどには、どうしてもニンニクとショウガを刻むのがボトルネックになりがちだ。玉ねぎやトマトなど、他にも刻まなければならないものはいろいろあるのだ。

また、急いでみじん切りにしていて指先を切ってしまうなどのリスクはなるべく小さくしておきたい、ということもあるので、フードプロセッサを使うのは決して手抜きではないと思う。ほとんどニンニクとショウガにしか使わないので、使用後に洗う手間は大したことはない。

サグカレー」(ホウレンソウのカレー)を作るときに茹でたホウレンソウや菜の花をペースト状にするために「ミキサー」があった方が良い。カレーベースのトマトも、粗みじんの状態で炒め始めるのではなくて、あらかじめペースト状にしておくこともできる。茹でたホウレンソウやトマトなどにしか使わないので、使い終わったミキサーを洗うのも楽である。

ヨーグルトと青唐辛子とスパイス、そこに市販のフライドオニオンをコク出しとして入れてミキサーでペーストにする、などということもあるが、しょっちゅう作るわけではないちょっと変わったカレーの場合である。

まずはフードプロセッサとミキサーをどちらか、という場合は、フードプロセッサを先に用意すべきだろう。分量にもよるが、フードプロセッサでも茹でたホウレンソウをある程度のペースト状にすることはできるし、サグカレーに入れるホウレンソウは完全なペーストである必要もない。

4)スパイス・ミル
ホールスパイスを潰すために使う金属製(石でできたものもある)の「臼」と「擂粉木」だ。平らな小型バットの上にホールスパイスを撒いて、上からスパイスの瓶の頭など固くて平らなものでゴリゴリやっても結果としては大差ないのではあるが、やはり気分が違う。これもスパイスの香りが付くので、和食の「当たり鉢」などは流用せずに、インドカレーのスパイス専用のものを一つ用意しておく。

5)グラインダー
自家製の「ガラムマサラ」を作るときに不可欠なのが、電動の「グラインダー」だ。これを使って、乾煎りしたホールスパイスを粉砕する。乾燥させたショウガ、シナモンスティック、ビッグカルダモンなど、かなり固いものも一緒に粉砕するので、ある程度のパワーがあった方が良い。

コーヒー豆を挽くためのグラインダー(いわゆる電動ミル)を使っているが、これも香りが強烈なので、同じモデルではあれどスパイス粉砕専用のものを1台用意している。

コーヒー用は毎日のように豆を挽くのであまり気にしていないが、カラムマサラはそこまで頻繁には作らないため、一度使ったら付属のブラシや濡らしたキッチンペーパーで内部をキレイにしてから乾燥させるなどして、清潔に保っておきたい。

6)量を計るための道具(秤、計量スプーン、レードルなど)
素材の量を計るために必須なのが「秤」(クッキングスケールなどという)だ。1g単位で2kgくらいまで計れるものがあれば十分だろう。空の容器を乗せてゼロ調整し、中身だけを計れるものが便利だ。

あとは、「基本のカレーベース」の回でも写真を掲載したが、「計量スプーン」は必須だ。15㏄の大さじと5㏄の小さじがあればほぼ事足りるだろう。2.5ccのときは5㏄の半分、10ccのときは5㏄を2回で済ませることができる。

水加減を調整するのに「計量カップ」もあると便利だが、容量が分かっているカップや空いたペットボトルなどで代用できるし、秤で200㏄なら200gなどと計量する、という手もある。

カレーを分けたり盛りつけたりするときに使う「レードル」(お玉)も、いくつか用意しておきたい。1人前のカレーは200g前後なので、200㏄のレードルがあると良い。あとは、まだ水で伸ばしていない濃厚なカレーベースを規定の量で掬える小さなレードルがあると便利だ(スプーンでも何でも良いのだが)。レードルは、金属製だとテフロン加工の鍋の底を傷つける可能性もあるので、樹脂製のものを用意しておくと鍋底を気にせずにカレーをかき混ぜたり、器に掻き出したりできるのが良い。

7)鉄のフライパン
チャパティ(別途記事にする予定)を焼くのには、「鉄のフライパン」が一番良い。油を敷かずに焼くのでテフロン加工なんかだとカラ焼きになってしまって、フライパンがすぐに駄目になる。あとは、タンドール(窯)がない時に(普通の家にはないだろう)フライパンでインド風のバーベキュー・チキンなど作るときにも鉄のフライパンが良いだろう。サイズは、チャパティのサイズをどうするかで決めると良いだろう。18cmから大きくても25cmくらいだろうか。

8)その他にあると便利な道具、カレー専用でなくても良いもの
「麺棒」は、前述の鉄のフライパンでチャパティを焼く前にチャパティの生地を伸ばすのに不可欠ではあるが、チャパティ自体に強い香りはないので、厨房に1本あればそれを使い回せば良いだろう。

「ピーラー」(皮むき)もあると便利だ。ジャガイモ、ニンジン、蕪などの皮を剥くのに包丁を使うよりも早いし、手を切るリスクも減らせる。これもスパイスの香りが付いたりするわけではないので、他の料理でも使うものをそのまま使えば良い。

9)カレーやスパイスを保存する容器
カレーを保存するための何らかの「ストッカー」があると良い。でき上がったカレーやカレーベースは、ストッカーに移して水を張ったシンクなどで急冷してから冷蔵庫に入れる。素材や形状は何でも良いが、水を掛けながら冷やしたりするので、蓋があることが必須の条件だ。

カレーを鍋のまま冷やしても良いが、いずれにしても冷蔵庫に入れるときには鍋のままではなくストッカーに移しておきたい。洗ってキレイにしておかないと鍋が傷みやすいなどの理由もあるが、何より次のものを作る鍋が不足するのが一番困るからだ。

スパイスのストッカーもあると良いだろう。特にこれといったものはないが、密閉できるねじ込み式の蓋がついたガラス瓶などを使うと、香りが飛ばないし中身が見えるので、間違えたりすることがなくて良い。

もっとも、家庭の場合、そうそう大量にスパイスを消費するわけではないので、少しずつ買ってきては、そのパッケージのまま使い切る、くらいに考えておいても問題ないだろう。用意するとすれば、ガラムマサラの主な構成要素であるクミンシードとコリアンダーシードの2種類を入れるための容器くらいで十分だろう。その他は、小瓶や缶で売っているもので良いと思う。チャック式の袋に入っているような場合は、使い終わった他のスパイスの瓶を洗って保管しておいてそれに詰めると良い。

スパイスの小瓶のリサイクルは、自家製ガラムマサラを持って歩く(どこで作ってもフレッシュな香り、自分の好みのオリジナルの香りが楽しめる)、仕上げにカイエンペッパーをちょっと振る、などというときにもとても便利である。

なお、缶に入ったスパイスの場合、付属の合成樹脂の半透明のかぶせ式の蓋は密閉性が良くないので、缶にラップを二重にかぶせてから蓋をすると多少は密閉性が向上する。いずれにしても、カレーを1回作るのに使うスパイスの量は、最も基本となる3種類のスパイスでは、パプリカが30㏄、ターメリック15㏄、カイエンペッパー5㏄程度なので、それを勘案して各々を数回で使い切る、というくらいの分量で買ってくるのが良いだろう。

一度にたくさん買えば単価は安くなるかもしれないが、少しずつ買ってもびっくりするほど高価なものではないので、家庭での開封後の保存期間を短くするようにした方が、鮮烈なスパイスの香りをより楽しめる。


※本連載は、横浜市都筑区のインド家庭料理「ラニ」のオーナーシェフであるメヘラ・ハリオム氏と、同氏を師と仰ぐ田邊(富士山麓のcafe TRAILでカレーを提供中)の共著という形で、インドカレーのセオリーについて考え、それを分かりやすく提示する試みです。もちろん、いくつか代表的なカレーのレシピも掲載していきますが、いわゆるレシピそのものを紹介すること自体は目的ではありません。このレシピはなぜこうなっているのかを理解することで、レシピを見なくても、自分にとって美味しいインドカレーが作れるようになることを目指しています。また、各種スパイスについての解説は、食材やスパイス同士の組み合わせや相性を中心とし、スパイスの歴史や特性などについては、他に優れた本がたくさんあるので、それらにお任せするというスタンスです。

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田邊 俊雅(たなべ・としまさ)

北海道札幌市出身。システムエンジニア、IT分野の専門雑誌編集、Webメディア編集・運営、読者コミュニティの運営などを経験後、2006年にWebを主な事業ドメインとする「有限会社ハイブリッドメディア・ラボ」を設立。2014年、新規事業として富士山麓に「cafe TRAIL」を開業。師と仰ぐインド人シェフのアドバイスを受けながら、日本の食材を生かしたインドカレーを研究中。