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Brexitとイギリスの小売不調

Brexit and UK consumer sentiment

2019.06.30

Updated by Mayumi Tanimoto on June 30, 2019, 11:40 am JST

保守党のリーダーシップ欠如のためにBrexitの先行きが見えませんが、不安感は消費者の心理も大きな影響を及ぼしていて、 小売はかなり不調です。

街中に出るとM&SWaitroseの様な高価格帯のスーパーからは以前は販売していた有名シェフとの共同開発製品や高価格帯の品物がどんどん消えています。 

その代わりにオリジナルブランドの激安野菜、三つ買うと割引になるパスタ製品などが人気です。

M&SWaitroseが、こういう激安ラインを出し始めるというのはかなりの驚きです。

そして、こういった高級スーパーに行っていた人たちも、最近ではLidleAldiなど、昔は底辺層が行くといわれていた激安スーパーで買い物を始めています。

雑誌や新聞でも、激安スーパーの品物の特集記事が目立ちます。 例えば、Lidleで買ったワインをプロに評価してもらったらM&S以上だった、Aldiのクリームでシワが取れる等です。

比較的お金がある中年以上の保守系読者が読むTelegraphTimesDaily Mailの読者向けにもそういった記事が出始めているくらいですから、 消費マインドがかなり冷え込んでいるということがいえるでしょう。

この傾向はファーストフードでも同じで、離脱前に比べると、マクドナルドとサブウェイは、無料の朝刊新聞であるMetroに割引クーポンをつけることが増えました。

マクドナルドの場合は、バーガー、ポテト、飲み物のセットがなんと1.9ポンドですから300円ほどです。以前は、ここまで安いセットのクーポンは付きませんでした。 

しかし、今のイギリスの庶民層には300円のセットメニューが大人気なのです。外食費を削る人が増えているからです。

そのあおりを受けて、昔ながらのパブは最近どんどんつぶれています。

経済の先行きが不安定なために、パブでビール1杯の料金は払うことがきついという人がかなり増えているからです。

2018年はビール1パイント(約500ミリリットル)の平均価格は3.6ポンド(1ポンド140円で約500円)でしたが、一年で20円ほど値上がりしています。3.6%の値上がりなので2.4%のインフレ率を上回っています。

値上げの理由は、「ビジネス税」という路面店を抱えるビジネス向けの税と付加価値税(VAT)、酒税の上昇です。これら税金が高いので、ビール1杯あたり約3分の1が税金です。値段の上昇で、仕事帰りにパブで1杯ひっかけてからという人もだいぶ減ってしまいました。

ところが、パブのような小規模個人経営が多い店舗であっても「ビジネス税」の控除などの政策は実行されていません。

中小企業にもこういった税を払わせるため、庶民や中小企業を苦しめたいのか、と保守党に怒りを表す人が少なくありません。その上、Brexitの先行き不安でお客さんはお金を使わないのです。

デパートやブティックからも、ミッドシーズンセールや70%引きのメールがどんどん届きます。 以前であれば割引をしなかったようなブティックからも来るようになりましたから、相当モノが売れていないんだなという感じがします。

ロンドンの中心部や郊外でも、閉店する店舗がかなり目立ちます。 これも「ビジネス税」の支払いで利益を圧迫されている上に、消費マインドの冷え込みで大打撃を受けたことが原因です。

次期首相の最有力候補だと言われているボリス・ジョンソン氏は、離脱交渉をさらに延長するということをほのめかしてもいますが、これ以上延長すると、イギリスの消費者の消費動向に影響があるばかりではなく、保守党の崩壊を誘発する可能性もあるかもしれません。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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