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イギリス2大政党から心が離れる有権者

UK voters leaving major parties

2019.06.30

Updated by Mayumi Tanimoto on June 30, 2019, 10:03 am UTC

前々回からご紹介している保守党議員の不信任運動は、保守党支持の有権者の怒りがよくわかりますが、このような不信任投票は保守党だけで行われるわけではなく、 労働党でも行われています。

現在の党首であるコービン氏は、共産主義に近い過激な主張と、反ユダヤ主義の主張を繰り返しているので、 反対した議員6名が不信任投票により党を追い出されています。

現在、労働党では、100人余りの議員が不信任決議を受けて党から追い出されるのではないか、とされています。

イギリスでは、国会議員になっても惰性で党に在籍できるわけではなく、議会での投票行動もネットでどんどん晒され、主義主張も細かくチェックされます。

さらに有権者は、自分の選挙区の国会議員が発言する日に国会に見学に行くことができます。週一回程度、地元の公民館などで地元の有権者の問題や希望を直接聞くという活動もしなければならないので、イギリスの国会議員はけっこう大変です。

しかも、いつクビになるかわからないので、終身雇用というわけではありません。

ところで、現在の労働党は、かつて労働組合が主体だった頃とは打って変わり、過激な主張を繰り返す人々が党を乗っ取ってしまった形となり、かなり熱心に活動しています。

もともと労働党支持であった労働者階級や製造業の組合員の人々にとっては、現在の労働党というのは、自分達の生活とはかなりかけ離れた主張を繰り返すエリートのブルジョワ坊っちゃんの集まりのように見えるのです。それが過激派の乗っ取りによりさらに加速しています。

「普通」の人々にとっては、環境問題や動物保護などは自分たちの生活には全く関係がありませんし、低賃金労働者の人々にとっては移民労働者というのは競合に過ぎませんので保護をするようなインセンティブがありません。

さらに、労働党の伝統的な支持母体の一つはユダヤ人ですが、党首のコービン氏は反ユダヤ主義の主張を繰り返しています。 the Jewish Leadership Council の調査によれば、86%のユダヤ人は現在の労働党には反ユダヤ主義が蔓延していると答えています

イギリスには、欧州大陸から迫害を逃れて渡ってきたユダヤ人やその子孫が大勢いて、現在イギリスに住んでいるユダヤ人は26万人あまりとされています。その3分の2はロンドンとその周辺に住んでいます

イギリスのユダヤ人というのは大変組織力が強く、伝統的にかなり熱心な労働党の支持者でしたから、近年の労働党の半ユダヤ主義は大変なショックです。

最近では、ロンドンを中心に保守党支持になる人が増えており、実に40%近くが保守党支持という地域もあるほどです。 主要な在英ユダヤ人団体がコービン氏の反ユダヤ主義を批判する公開書簡を公開したほどです。

さすがに労働党の反ユダヤ主義主張は、ユダヤ人以外の労働党支持者もドン引きするレベルで、支持率低下に拍車がかかっています。

保守党も有権者の怒りを買い、労働党も見放されつつあるわけですが、どちらの政党も共通項は、有権者に寄り添っていないということです。

イギリスの有権者的には、最も重要な懸念点は経済と雇用です。しかし保守党はBrexitの遅延で経済を低迷させ、労働党はどうでもいいことばかり議論している。これでは有権者が他の政党に乗り換えるのも当たり前です。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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