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ローカル5Gソリューションの国内提供へタッグ、ノキアがNSSOLなど5社と

2019.12.16

Updated by Naohisa Iwamoto on December 16, 2019, 13:00 pm JST

2019年末までに国内で制度化が見込まれる「ローカル5G」。特定の建物やエリア、地域などで自営の5Gネットワークを運用するネットワークソリューションである。ノキアソリューションズ&ネットワーク(ノキア)は、日鉄ソリューションズ(NSSOL)、丸紅、インターネットイニシアティブ(IIJ)、エクイニクス・ジャパン、日立国際電気の5社とパートナーシップを持ち、ローカル5Gの国内での普及を推進する。

ノキアは通信事業者向けの事業だけでなく、エンタープライズ向けの事業も手掛ける。その中の1つの柱としてプライベートな無線ネットワークのソリューションがある。ITとOT(制御・運用技術)が融合する中で、多様な業種でプライベート無線ネットワークの導入意向が高まっている。ノキア本社でグローバルエンタープライズ シニアバイスプレジデントを務めるクリス・ジョンソン氏は「周波数帯域の利用の可能性、産業機器など携帯電話以外の機器のネットワーク対応の推進、産業向けのソリューションの拡大などの要因から、プライベート無線ネットワークが市場で求められるようになってきている。すでにノキアでは4Gを中心に120以上のプライベート無線ネットワーク導入を手掛け、5Gのプライベートネットワーク構築に向けて多くの実績を積んできた」と語る。

▼国内のローカル5Gの状況について説明するノキアソリューションズ&ネットワーク 執行役員社長のジョン・ハリントン氏

そうした中で、ノキアでは「日本市場でも、人だけでなく、機械や産業をつなぐテクノロジーがローカルなエリアに利用できるような機が熟してきた」(ノキアソリューションズ&ネットワーク 執行役員社長のジョン・ハリントン氏)と見る。ローカル5Gでは、28GHz帯の100MHzについて先行しての年内の制度化が見込まれ、いち早く市場の要望に応えられるソリューションを提供しようというわけだ。そこで、「ノキアの5Gに向けたIoTプラットフォームについて、国内エコシステムパートナーシップとして5社と連携した。必要なものはすべて揃っている」(ハリントン氏)。

NSSOLは産業向けIoT連携の分野で、丸紅はグローバルIoT連携の分野で、IIJはネットワークソリューションやフルMVNO基盤連携の分野で、エクイニクス・ジャパンはクラウドおよびグローバルデータセンター連携の分野で、そして日立国際電気はスマートシティや社会インフラ連携の分野で、それぞれノキアと手を組む。

▼ノキアとパートナーの各社の登壇者

パートナーシップについての発表会では、パートナー各社から説明があった。NSSOLは、「デジタルトランスフォーメーション(DX)では、データを早く事業に結びつける必要がある。有線だけでなく無線をいかに有効に使うかがポイント。ローカル5Gなどの自営無線網では、高精細画像やリアルタイムなデータ伝送により、データを分析して新しい価値創造につなげられる」(NSSOL 取締役 常務執行役員 大城卓氏)として、同社の大分製鉄所で導入されている見守りソリューションの「安全見守りくん」のデモを紹介した。

丸紅は、2019年2月にグローバルIoTサービスを開始。「2020年には日本で2番目のフルMVNOとして独自SIMを発行できるようになる。すでに海外の港湾事業のクレーンやトラックのリアルタイム可視化ソリューションでノキアと協業しており、今後はビジネス分野で使えるソリューションをノキアと一緒に作り上げていきたい」(丸紅 情報・不動産本部 本部長 阿部達也氏)。可視化の先には、収集したデータをAIなどで分析して最適化することで、コストダウン、収益アップのモデルを産業コーディネーターとして提供していきたい考えだ。

IIJは、2018年に日本初のフルMVNOとしてサービスを開始しており、その際の加入者管理機能をノキアと共同で開発してきた経緯がある。「5Gでもパブリックネットワークとプライベートネットワークをシームレスにつなぐようなソリューションを提供していく。ノキアとのパートナーシップで、新しい柔軟なサービスを具体化していきたい」(IIJ MVNO事業部 副事業部長の安東宏二氏)。

エクイニクス・ジャパンはグローバルなデータセンター事業を手掛け、コロケーション市場では世界トップ、国内でも2番手のシェアを持つ。「ノキアが提供する世界規模のIoTネットワークグリッド「WING」は、エクイニクスのプラットフォームの上で動いている。ノキアのプラットフォームを支えることで、エクイニクスは皆さんのビジネスに貢献していく」(エクイニクス・ジャパン テクノロジー・サービス事業本部長 有本一氏)。

日立国際電気は、無線技術と映像技術を専門に製品、ソリューションを提供してきた。これまでも自営無線の機器を提供するなどプライベートネットワーク分野で強みを持つ。「サイバーフィジカルシステム(CPS)ではリアルタイム伝送ができる5Gが欠かせない。5Gネットワークのアプリケーションとしては、AI映像解析が有望であり、ローカル5GとAIの相乗効果に期待している。その上で日立グループが提供するIoT基盤のLUMADAに5G連携させていく中で、ノキアとのパートナーシップによりグローバルの顧客展開を推進していきたい」(日立国際電気 副社長執行役員の伊藤明男氏)。

【報道発表資料】
ノキア、日本企業に5GとIoTサービスを提供すべく、戦略的エコシステムパートナーシップを構築

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。