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コロナで住宅の評価が激変する

House value drastically change after Corona

2020.05.22

Updated by Mayumi Tanimoto on May 22, 2020, 18:00 pm JST

イギリスでは、コロナ後の世界の議論が活発化してきていますが、その中でもとても注目を集めていることの一つが住宅事情です。

イギリスはコロナ以前にも、Brexitで住宅市場が来年くらいまでは低迷すると言われていましたが、基本的には人口が増えているため全国的に住宅不足で、北部などの過疎地を除くと住宅価格が上がっているところが多いのです。

ここ20年ほどの働き方の変化で、ロンドン中心部や他の大都市の真ん中に住むというスタイルは人気がなくなってきており、郊外や地方のより環境の良いところに住むという人が増えてきています。

しかし、それでも打ち合わせが便利だったり、都市生活を楽しみたいということで通勤圏に住む人も少なくないために、大都市郊外の住宅地の物件の価格はかなり割高でした。

しかしコロナ騒ぎで、通勤圏は人が密集していることもあり、再度感染症騒ぎが起きた場合のことも考えて、もっと遠隔地に引っ越そう、という動きも出てきています。

今回のように長期間籠城するときのことを考えて、住宅の間取りや設備自体をより快適なものにしたいという人が増えています。従来よりも広い空間、ホームオフィス、ホームジム、プール、リラックスできる庭などの需要が高まるという予測です。

さらに、今回の騒ぎで店舗が閉鎖されたりオンラインショッピングがほぼ不可能になってしまった人がかなり出たので、畑があることや日当たりの良さも重要です。自宅で鶏を飼う人も出てきています。なぜかというと、イギリスでは店舗が閉まって卵が手に入らなくなってしまったからです。

最近では、やっと在庫が復活してきましたが、 少し前までは卵を1カ月も食べていないという人がかなりいました。まるで戦時中のような食料危機に陥りそうな状況だったわけですが、 これは多くの人に大変な衝撃を与えました。

通信環境に関する考え方も、大きく変わってきています。以前は、郊外の快適な家であれば多少ネット接続が悪くても構わない、という人が主流だったのですが、今や通信インフラは命綱ですからISPだけではなくモバイル通信も重要視されます

つまり、最も安全性が高く最先端の住居は、自給自足が可能で人口密度が低く通信環境が良いところ、ということになります。今後は、人口密度の高い都市部のタワーマンションや住宅が密集している所は敬遠される可能性が高いでしょう。コロナ後は、都市のあり方もどんどん変わっていくはずです。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。