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なぜテック業界には黒人やヒスパニックが少ないのか?

Why minorities do not work in tech industry?

2020.07.30

Updated by Mayumi Tanimoto on July 30, 2020, 12:00 pm JST

前回の記事では、アメリカのテック業界は白人男性が主流で、主要IT企業や多様性を強調するSNS系の会社でさえ白人男性だらけだと指摘しましたが、なぜアメリカのこの業界は、こんなに人種が偏っているのでしょうか。さらに、女性の比率は1970-80年代よりも下がっています。

LA Timesの記事は、これが構造的なものに由来すると指摘しています。

まず、ヒスパニックやアフリカ系は大学で理数系を専攻することが少ないと指摘しています。例えばコンピューター・サイエンスを専攻する学生のうちアフリカ系はたった8.6%で、ヒスパニックは10%です。一方でアジア系は46.4%、白人は38%です。

しかし、テック業界で働く白人は全体の83%を占めるので、技術系以外に管理系や営業などのマネージメント系の人数が多いことがわかりますね。

前回ご紹介したSalesforceが2.9%、Facebookは3.8%、Slackは4.4%、Microsoftが4.5% 、Twitterは6%という各社のアフリカ系の従業員の割合は、技術系も管理系も含むわけで、理数系を専攻する学生が少ないというだけでは説明ができません。

この背景には、アメリカのテック企業の採用方法があります。

日本と異なりアメリカでは、各企業が従業員を雇う際には、新活一括採用で一から育てるのではなく、中途をどんどん雇います。その際に、多くの企業が既存従業員からの紹介に頼っています。

これはなぜかというと、その方が効率が良いからなんですね。

既存の従業員の紹介であれば、会社の雰囲気に合うかどうか大体分かる人が来ることが多いし、社内の紹介者も変な人を連れてくるわけには行かないのである程度厳選された人が来ます(そうじゃない場合も結構ありますが)。

さらに、学歴やスキルが似たような人が来るので、期待値が大きく外れることがないということがいえます。しかも、従業員紹介だと派遣会社やヘッドハンターを使うより遥かに安い。

結果、似たような背景の人ばかりが雇われることになります。

なんだかんだいってアメリカでもイギリスでも欧州でも、似たような人種や生活レベル、教育レベルの人がかたまってお友達になるので、結局、似たような人が連れてこられるという仕組みです。日本だったらこれを「コネ主義」と呼びますが。

識者は、問題の根底はテック業界のエコシステムにあるとも指摘しています。ベンチャーキャピタルは白人主導の世界で、起業しても投資するのが白人であるため、マイノリティーは資金集めが困難です。

例えば、アフリカ系のベンチャーキャピタリストは1%以下で、主流ベンチャーキャピタルの共同経営者にアフリカ系は皆無です。

経営幹部やマネジメント層が白人だらけなので、集めてくる人が自分たちと似たような人になり、さらに連れて来られる人も似たような人で、同じようなお友達サークルの内部の人ということで、他人種が入り込む余地がないというわけです。

つまり、今のアメリカのテック業界というのは、非常に閉鎖的なお友達サークル的で、たこつぼ状態の世界であるということです。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。