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新型コロナでDisney+が一人勝ちか?

Disney+ solo winner during the lock down?

2020.08.24

Updated by Mayumi Tanimoto on August 24, 2020, 10:00 am JST

前回の記事では、新型コロナでのロックダウン中のイギリスでストリーミング・サービスが大人気になった件を取り上げました。

この流れはイギリスもアメリカと同じなわけですが、ストリーミング・サブスクリプション自体の増加において予想以上に大きな影響があったのが「Disney+」の登場です。

イギリスでは、ロックダウン初日にサービスが開始されましたが(絶妙なタイミングです)、7月だけで市場シェアの16%を占めるまで会員が急増し、「Netflix」の45%、「Amazon Prime Video」の39%に次いで3位になっています(Ofcomの「Lockdown leads to surge in TV screen time and streaming」)。

イギリスの場合、Netflixはジブリやポケモン、日本の深夜帯アニメを大量に放送し、Prime Videoも子供向けコンテンツを大量に持っていますが、Disney+のコンテンツの力がそれだけ強力ということです。

マーケティング手法が不十分、との指摘もありましたが、口コミやネットでこれだけ急速に会員を獲得したスピードには驚かされます。しかも、新型コロナで外出できない人も多く、街頭宣伝や新聞、雑誌などでの露出はかなり限られていたにも関わらずです。テレビでの宣伝も、ほとんどないに等しい状態でした。

Disney+は、イギリスの3歳から11歳の子供がいる家庭の3分の1がサブスクライブするという人気です。イギリスの子持ち家庭のネットリテラシーは高いとはいえないのに、サブスクリプションがどっと増えたわけです。

ケーブルテレビでは、子供専用チャンネルが10ほどあり、ポケモンやマーベル、DCコミックス作品、アメリカやカナダのアニメなどが、24時間に近い状態で大量に流れているのですが、それでもDisney+の方を喜ぶ子供が多いわけです。実に凄まじいコンテンツ力です。

Disney+の競合である「BBC iPlayer」は、同年齢の子供がいる家庭での利用が、春から同時期にかけて26%から22%に下がっています。BBCも子供番組が大量にあるのですが、やはりDisney+のコンテンツ力には全く歯が立ちません。

ロックダウン中にストリーミング・サービスを契約したユーザーの大半は「契約を継続する」と答えており、その割合はNetflix が96%、 Amazon Prime Videoが91%、Disney+が84%と、驚くべき高い数値になっています。これまではサービスは認知していても使用したことがなかったが、実際使ってみたら予想以上の満足感だった、というユーザーが多いのでしょう。

おそらく、今回の騒動でストリーミングを体験したユーザーは、その使用感や便利さから逃れられず、しばらくは視聴者離れは起きないでしょう。特にDisney+に関しては、子持ち家庭対象の市場では一人勝ちしていく可能性が十分にあります。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。