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欧州ではDX人材をどのように確保しようとしているか?

How European countries try to get hold of DX professionals

2021.02.22

Updated by Mayumi Tanimoto on February 22, 2021, 09:00 am JST

コロナ禍によるDX人材の不足が議論になり始めているわけですが、欧州では、足りない人材をどのように補充するかということについて、最近かなり具体的な話がされ始めています。

ドイツでものある調査では、DXの成功に必須のスキルは、

「計画や管理を実行することが可能で、自発的に行動し、その企業独自かつ自分の業務に沿った経験がある」

とされています(Upskilling is crucial for the successful digital transformation of business)。

これは、DXに関して重要なことを指摘しています。

単に業務に システム導入したり、一部をシステムに置き換えるだけでDXが達成できるわけではなくて、担当する個々人が戦略的視点と戦術を持って、かつ短期だけではなく中長期のビジョンを理解した上で、ビジネスの効率性を高めるためにデジタル化を推進しなければならないということです。

またこの定義では、「その企業と自分の業務に沿った経験があること」とされていますが、これは深い業務知識がなければDXを上手く進めることができないということです。

デジタル化自体が目的なのではなく、「ビジネスで必要な目的」を設定しそれを達成することが重要なわけですから、 業務を内部から十分理解していないと上手くいかないということです。

つまり、単に外部から誰か連れてきただけでは、DXは上手くいかないのです。自社のミッションや業務に精通した人が、デジタルなスキルも身に付けたほうが上手くいく、ということです。

このため最近では、多くの組織でDX向けのアップスキルが盛んです。これは、既存の従業員にデジタルなスキルを身に付けてらったり、そのための再教育をすることです。

元々組織に馴染んでいる人ですから、外部から人を雇うよりも楽ですし、DXに必要なのは単なる技術的なスキルだけではありませんから合理的でもあります。

アップスキルと合わせて最近話題になっているのが、若い人を確保するために学生を「アプレンティス」という見習いのような状態で勤務してもらう方法です。学生には、勉強しながら働いてもらい、デジタルなスキルも 身に付けてもらおうというものです。

業務が複雑化しているので、中途採用でスキルがある人を連れてくるよりも中長期的視点で働いてくれる若い人を採用した方が、質の高い仕事につながると考える企業が出てきているわけです。

日本は、DXに関する業務を派遣社員や外注に投げてしまうことが少なくありませんが、確かに短期的なコストは安く済むかもしれませんが、中長期で見た場合、あるいは業務の本当の効果というのを考えた場合に、アプレンティスのような方式で若い人を育成したり、社内の人をアップスキルした方が費用対効果が高い可能性があります。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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