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「力加減」を遠隔化・自動化、薄鋼板の製造で手作業の自動化を実現へ

2021.05.26

Updated by Naohisa Iwamoto on May 26, 2021, 06:25 am JST

ものを手でつかむとき、対象物の硬さや重さなどに合わせて人間の手は適切な力加減をしている。生卵を割らずにつかめるのはこうした手加減のおかげだ。こうした力加減を伝送する技術がリアルハプティクスで、力加減した操作を遠隔で実施したり、自動化を実現したりすることができる。このリアルハプティクスの技術を用いて、薄鋼板の製造過程で使われる「ロール」の付着物の除去を遠隔化・自動化する技術が開発された。

新技術は、リアルハプティクスの研究開発、制御デバイス製造を手掛けるモーションリブが開発したもの。慶應義塾大学新川崎先端研究教育連携スクエア ハプティクス研究センターと、東洋鋼鈑が共同で開発に携わった。薄鋼板を製造するときには、鋼板を搬送するために円柱状の支持体であるロールが用いられる。このロールに付着物があると、製品である薄鋼板に一定間隔で凹みなどの欠陥が生じてしまう。これまでは人手で「手入れ材」を当てて付着物を除去していたが、高速回転するロールの近くで作業をするため危険性や作業効率が課題だった。新技術では、リアルハプティクスを活用して、付着物除去の遠隔化・自動化を実現した。

▼リアルハプティクスを利用した薄鋼板製造過程におけるロールの付着物除去技術(ニュースリリースより)

まず、ロールの付着物を除去する作業を、リアルハプティクスを使って遠隔から行えるようにした。ロールの表面の状況などに応じた手入れ材の角度や押し当てる力加減を、遠隔の作業者があたかもその場にいるような力触感を得ながら作業できる。次いで、力加減などを数値データとして可視化し、手作業と同じ力加減で付着物の除去する作業を自動化した。リアルハプティクスの遠隔化と自動化には、力触覚を伝送、記録、再生できるモーションリブ開発のリアルハプティクス制御装置「AbcCore」を利用した。

モーションリブなど3者は、この仕組みでロール付着物除去の自動化を実現し、1年以上の連続運用を実現した。自動化しても、人間の作業者と同等の効果が得られることを確認しているという。さらに1年以上の実運用から、耐久性と制御システムの堅牢性も実現していると説明する。こうした新技術の研究開発により今後はさらに、これまで人間の感覚や経験に依存していた手作業を遠隔化・自動化し、安全で効率的な製造技術を確立していくことを目指すという。

【報道発表資料】
リアルハプティクスを利用した薄鋼板製造工程における付着物拭き取り作業の遠隔化・自動化に成功

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。