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南紀白浜 空港 管制塔 イメージ

南紀白浜空港でローカル5Gと「HoloLens」を活用した実証実験

2022.03.23

Updated by WirelessWire News編集部 on March 23, 2022, 08:22 am JST

南紀白浜空港は2022年3月14日、ローカル5Gを活用した実証実験を開始した。この実証実験は、南紀白浜エアポート、NEC、THK、オリエンタルコンサルタンツの4社によるもの。さらに、日本マイクロソフトと凸版印刷の2社が協力する。実験期間は2023年3月31日までの予定。

同空港では、南紀白浜エリアの魅力ある観光資源を使った観光振興に取り組んでいる。また、周辺住民の少子高齢化による生産年齢人口の減少に伴った職員および熟練した技術者の継続的な確保が困難という課題に直面している。今回の実験では、高速大容量・低遅延な通信が可能なローカル5Gなどの先進テクノロジーを活用した新たなサービスを開発することで、南紀白浜エリアでの生産性が高く働きがいのある業務環境創出と来訪者の増加を目指す。

具体的には、南紀白浜空港ターミナル内、エプロン(航空機を駐機する場所)、滑走路周りの場周道路を対象に、固定型と可搬型FLARE SYSTEMSローカル5G実証用ソフトウエア基地局を配置。4.8-4.9GHzを利用したローカル5Gネットワーク環境を構築する。そこにMixed Reality(MR:複合現実)を実現する日本マイクロソフトのヘッドセット「Microsoft HoloLens 2」を組み合わせて、空港職員向けのスマートメンテナンス・サービスや、空港内エリアでの来訪者案内サービス、バックヤード・ツアーに向けた新サービス、といった用途の実証実験を開始する。

HoloLensを使った実験では、点群データ活用侵入検知技術と組み合わせることで、樹木など航空機の飛行のための安全制限を超える物体を分析・検知して点検者のHoloLens 2に表示、点検時の見落としを防ぐことを目指す。点群データ活用侵入検知技術とは、可視化された3Dの点群データの中から、自動的に同一空間上にあらかじめ設定した立ち入り禁止領域への侵入を検知するNECの特許技術である。

また、HoloLensを使って現実空間に前回の記録を重ね合わせて表示することで、路面劣化などの点検作業を効率化することも目指す。同時に、熟練労働者の技術力を継承し、生産性が高い業務環境につなげる。これまでは、パソコンのアプリケーションなどを使って過去の点検箇所を記録した画像を表示し、GPS情報を元に職員が目視で該当箇所を探していた。

さらに、THKのサイネージロボットとNECの複数ロボット協調制御技術を活用し、空港内のエリアを2台のロボットが協調連携しながら分担して来訪者を目的地まで案内する、という実験もする。案内終了後は、宣伝広告に切り替えることで移動型デジタルサイネージとなる。ローカル5Gのネットワークを利用して統合管理・制御することで、ロボットによる業務遂行の生産性・安全性・品質の向上を目指す。

ほかにも、ローカル5Gの安定したネットワークによりロボット搭載カメラから映像を取得することで遠隔地からオペレーターのロボット操作による案内も実験する。これにより、案内スタッフのテレワークを実現し、働きがいのある業務環境の実現につなげる狙いだ。

低遅延でリアルタイム伝送できるというローカル5Gの特徴と、HoloLens 2によるMR技術を活用することで南紀白浜空港で実施しているバックヤード・ツアーのコンテンツに新たな観光体験を提供する新サービスも計画している。例えば、MR空間でペイントしたオリジナル飛行機の着陸を見学体験させるサービスなどである。

[リリース]
南紀白浜空港においてローカル5Gを活用した実証実験を開始(THK)

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