original image: Aris Suwanmalee / stock.adobe.com
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DXやクラウド化といった言葉の範疇を考えるとまったく矮小な話ではあるが、ある領域での無批判な「デジタル化」には疑問がある。例えばこういう話だ。
私は、小さなカフェを営んでいたことがある。そこで、一応やってみたのが売り上げデータをクラウド化できる「レジシステム」である。タブレットさえあればハードウエアとしての「レジ」(PC1台は楽に買えるくらいする)は不要だし、売り上げの集計なども容易い。
しかし、次のような顛末で使うのをやめてしまった。
・集計や分析するほどのデータ量ではない
・店の立ち上げ時だったこともあってメニュー変更が頻繁でその入力が面倒
・売り上げを入力するのもお金を管理するのも、自分だけである
といった小規模店舗の立ち上げに固有の問題で使いにくいと感じていたが、使わないことを決めたのは、そんなことよりも、
・レジアプリのアップデートが頻繁
・アプリのアップデートによってはOSのアップデートを要する
・OSのアップデートによってはハードのアップデートを要する
ということの方が主たる要因だった。
つまり、最新アプリは最新OSでないと動かない、ある程度までの互換性は維持されるものの、早晩、古いハードは切り捨てられる。常に最新機種への移行(買い替え)を要求されるうえに、アップデートでトラブルが発生することもあった。これは、クレジットカードのカードリーダなどの周辺機器にもいえることで、使用開始当初は無償提供されたりもしたが、そのうちにセキュリティ対策などを理由に新しいものを買わなければならなくなった。
本当のDXを考えるためのメディアである「Modern Times」で言及されている「2025年の崖」というのは、この手の話、似たような話が、システムの大小や適用領域を問わずにあらゆるところで発生するということだ。
デジタルの宿命は、常に最新をキャッチアップし続けなければならない(=投資し続ける)ことなのである。「ヘビーユーザー以外に道はない」ともいえるし、その投資を無駄にしないような領域を見極めてデジタル化しなければならないともいえるだろう。
・「2025年の崖」に落ちないためのDXソリューションを考えよ(Modern Times)
既存のシステムが立ち行かなくなる「2025年の崖」までの残り時間が少なくなってきている。一方で、このままでは危険だと思いながらも、具体的な手を打てていない企業が多い。データ復旧の老舗AOSテクノロジーズの代表取締役社長を務める佐々木隆仁氏は、従来型のITシステムからDXプラットフォームの活用へと舵を切る必要があると指摘する。そこで最も重要なのが「データ」の取り扱いだ。
※先週のModern Timesでは、この記事をはじめ、以下の記事が公開されています。
DX化された未来を思い浮かべるとき「スマートシティ」を連想する人は少なくないだろう。しかし都市計画の専門家である饗庭伸氏は、「日本において全く新しい未来都市が誕生する」と考えるのは誤っているという。では、どうすればスマートシティは実現できるのか。饗庭氏のユニークなアイディアを紹介する。
AIの発達によりあらためて私たちが「知る」ということや「分かる」ということが何なのかを問われるシーンが増えている。「分析」は物事を知るためのスタンダードな手法の一つであるが実は弱点もある。人文学者の井山弘幸氏が思索する。
写真家 佐藤秀明氏は実に60年以上にわたり、日本各地・世界各地の桜を撮影し続けている。津々浦々の桜の写真を見せてもらった。
「本当のDX」を考えるウェブメディア『Modern Times』
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登録はこちら北海道札幌市出身。システムエンジニア、IT分野の専門雑誌編集、Webメディア編集・運営、読者コミュニティの運営などを経験後、2006年にWebを主な事業ドメインとする「有限会社ハイブリッドメディア・ラボ」を設立。2014年、新規事業として富士山麓で「cafe TRAIL」を開店。2019年の閉店後も、師と仰ぐインド人シェフのアドバイスを受けながら、日本の食材を生かしたインドカレーを研究している。