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6Gが不可能を可能にする

6Gが不可能を可能にする

6G makes the impossible possible

2022.10.18

Updated by WirelessWire News編集部 on October 18, 2022, 15:11 pm JST

※本稿は、柳橋 達也氏(ノキアソリューションズ&ネットワークス合同会社 最高技術責任者)による寄稿です。

5Gはコネクティビティのグローバルスタンダードになりつつあり、社会および産業界が最先端のインダストリー4.0アプリケーションに活用するのは時間の問題である。日本は既に6G技術の開発準備を進めており、通信事業者は共同実験に着手している。6Gは、現在5 Gが実現できることをさらに強化し、より多くの境界線を取り除き、物質的世界とデジタル世界をシームレスに融合させる可能性を秘めている。

6Gの本格的な普及は2030年頃と予想されており、日本が早い段階で6G開発準備を行っていることは、日本の先見性を裏付けている。自動車、家電、ロボット工学など、数十年にわたって多くの技術的進歩を牽引してきた日本が、テクノロジーにおける世界的リーダーシップをさらに強めることになる。

6Gが不可能を可能にする

6G の構想の実現にあたって、通信事業者はより革新的な次世代のアプリケーションに必要なコネクティビティのインフラを提供する重要な役割を担っている。そのためには、政府、産業界、企業、社会など、通信分野におけるステークホルダーと深い協力関係を築き、6G実現を推し進めていく必要がある。現在、産官学共同でBeyond 5G/6Gを推進する国内の中心組織「Beyond 5G推進コンソーシアム」は、6G実現と6Gに向けた標準化をリードすべく、活動している。

6Gはいかにして境界を拡大していくのか?

まず、6Gとは何かを理解する必要がある。5Gの時代は、モノのインターネット(IoT)や産業用自動化システムとの連携が可能になるが、6Gはデジタル、物質、人間の世界がシームレスに融合する時代となる。ここでは、知能知識ベースシステムが演算能力と組み合わさり、人間の作業効率を高め、5Gを超えた生活や仕事のあり方が新たに定義されることになる。

6G開発にあたっては、6G実現のための6つの核となる技術が特定されている。新たなスペクトラム(周波数帯)技術、AI/MLエアインターフェース、セキュリティと信頼性、センサーとしてのネットワーク、究極のコネクティビティ、そしてRAN/コアコンバージェンスとスペシャル化である。

6Gが不可能を可能にする

6Gビジョンの達成には、スペクトラム技術と帯域幅を調査、研究して、十分なネットワーク カバレッジを構築する必要がある。そうした無線ネットワークに AI や機械学習(ML)を取り入れることで、特定の状況に適応して対応をカスタマイズできるようシステムを設計することが可能となる。

6G の開発は、ネットワークを外部センサーとして機能させる能力と接続性を構築することであり、無線ネットワークを通じて人間の主要な感覚を拡張できるようにする可能性を秘めている。人間は6Gを利用して、自分の能力を超えて周囲の環境を検知し、ナビゲートし、範囲を広げることができるようになる。

人間の主要な感覚を拡張する6G 技術の中核は、テクノロジー企業がメタバースなどのオンライン・エコシステムを開発する際に重要な役割を担う。メタバースは、可動時に拡張デジタルセンサーを使用してデジタル世界と物理世界の両方を融合する。これは、拡張現実(XR)と膨大なネットワーク接続を提供できる強化された通信インフラによって可能となり、私たちはさまざまな空間で同時に対話して体験できるようになる。

6Gが不可能を可能にする

また、6Gにより、無線通信の新しい可能性を解き放つことができる。車両のエンジン制御、工場での危険防止、航空機の飛行安定性制御など、ライフクリティカルなサービスは、接続が突然切断されたり、断続的になったりすることを避けるため、現在は有線接続で提供されている。6Gでは、有線と同じレベルの遅延と信頼性で無線通信を提供できるようになるため、ライフクリティカルなサービスも無線でサポートできるようになる。これにより、メンテナンスコストを削減し、ライフクリティカルなデバイスの重い負荷を軽減することができる。

こうした技術はすべて、認知、特化、自動化されたシステム・アーキテクチャが揃って実現可能となる。従って、6Gシステム・アーキテクチャは、クラウド・プラットフォームに加えて、簡素化(Simplication)、柔軟性、プログラム性、堅牢性とセキュリティ、スケーラビリティを有することが理想的である。

6Gが不可能を可能にする

6Gの未来を確実なものにする

6Gの進展に伴い、AI/MLやサイバーレジリエンスの新しい概念に基づく、包括的なセキュリティ技術も求められるようになる。セキュリティの運用は、自動化、分散化、および認知化される必要がある。また、脅威を予測、無効化し、必要な個人データを保護するために、自動的に対策を講じることができるようにしなければならない。

6Gネットワークが人間のデジタルな第六感となることを踏まえ、データの露出と正当な分析のバランスを取るために、匿名性やプライバシー保護を保証する技術も必要となる。

6G競争における日本の優位性

日本は、既存のインフラを利用して超高速インターネット通信を実現するなど、6Gの分野では先駆者的な存在となっている。また日本は既にに、労働力不足や高齢化といった長年の課題に対して、5Gネットワークを製造業やヘルスケア分野に応用した解決策を打ち出している。物理的な世界とデジタルな世界を融合させるという6Gのビジョンにより、こうした主要産業において、現行の解決策と新たなイノベーションをより効果的に取り入れられる。

6Gを実現するための布石となる5G-Advanced

6G 実現の可能性は、5G-Advanced の普及によって初めて実現するものであり、今後数年間の5Gの仕様策定と標準化によって、ネットワークはさらにその能力を最大限に発揮することができるようになる。5G-Advancedの拡大は6G実現に必要なステップであり、5Gネットワークのサポートによって、コネクティビティをモバイル拡張現実に変換できることが実証される。これは、高度なデータ伝送と低遅延との組み合わせで、モバイルでありながら完全な没入体験を実現するものとなる。

5G-Advancedの導入により、接続の信頼性も向上する。シグナリング・ オーバーヘッドを削減し、産業用アプリケーションやユーザー体験におけるデータの欠落や遅延の可能性を低減するためである。

日本の6Gの未来を実現するカギは日本の通信事業者

5Gの出現によって、これまで非現実的とされてきた概念が現実のものになった。さらに6Gは、人間が物理的世界だけでなく、デジタル世界でも交流できるようになり、さらなるつながりをもたらす。6Gにより、人間の可能性は想像以上に飛躍するだろう。

しかし、6Gの未来を実現する前に、5G-Advancedの技術を活用する必要がある。5G-Advancedは、インダストリー4.0アプリケーションとその後のイノベーションを推進するための高性能の無線接続に不可欠な存在だからだ。その過程で通信事業者は、必要なネットワークを提供するという重要な役割を果たすことになる。

日本は既に全国的に5Gのカバレッジを強化しつつあり、総務省は5Gの人口カバー率を現在の30%程度から2023年度末には95%に高める方針を明らかにしている。今後、通信事業者は、5G-Advancedのリリースによる5Gネットワークのさらなる強化に大きな役割を果たすことになる。これにより、6Gへの道が拓かれ、次世代コネクティビティの革新的な可能性を世界に示すことができる。

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