WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

そのメール、全然相手に伝わっていないかも

2023.11.02

Updated by WirelessWire News編集部 on November 2, 2023, 07:21 am JST

母親からの電話で愛情ホルモンが上昇

つらい出来事があったとき、他人に慰められたくなることもあるでしょう。できれば会って話がしたい。ところが、直接会わなくても、電話で慰められるだけで、十分な効果があるようだという研究があります。

ウィスコンシン・マディソン大学のセルツァー氏とその共同研究者らは、女の子に人前でスピーチをさせる、という社会的ストレス課題に取り組ませました。このストレス課題の後に母親から電話を通じて慰められた子は、そのまま一人で映像を見た子に比べて、ストレスホルモン(コルチゾール)が低く、愛情ホルモン(オキシトシン)が高いという結果が示されています。

セルツァー氏らは、さらに次の研究で、電話のうちのどの要素が効果的だったのかを探ります。声が大事なのか、言葉が大事なのか。というわけで、電話とメールを分けて、その効果を比べたところ、結果ははっきりしていました。電話は、直接慰められたのと同じようにストレスホルモンを低下させ、愛情ホルモンを上昇させていたのに対し、メールは、一人で映像を見るのと変わりがありませんでした。つまり、声を通じたコミュニケーションがあるかどうかが、ストレス状況に置かれたときの回復度を変えるかもしれないということになります。

ただ、研究にはもちろん限界がつきものです。セルツァー氏自身も、「この年代の子は、親とメールする機会が少ないからかもしれない」とか、「母親がメール下手だったからかもしれない」といった、研究の限界については認めています。それにしても、電話の力は大きいですね。直接会うのと同じくらい、ストレスが緩和されるというのですから。

あなたが思っている以上にメールで感情は伝わらない

メールは対面のやり取りほどの力がないかもしれない、という研究をご紹介しました。ところが、人はメールの限界を甘く見積りがちだ、ということもわかっています。ニューヨーク大学のクルーガー氏は、こんな例を挙げて説明します。なんでもいいので、なにかのメロディを、机をタップして誰かに伝えてみてほしい。このとき、相手にうまく伝わるのは全体のうちわずか3%に過ぎないのだが、タップした人の50%は「相手に伝わっただろう」と考えてしまうのだ、と。これと同じことが、メールのやり取りでも起こるというのです。

※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む)。
この筆者の記事をもっと読む

「データの民主化」を考えるウェブメディア『モダンタイムズ』「データの民主化」を考えるウェブメディア『モダンタイムズ

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

RELATED TAG