[2015年第8週]アプリックスの家電IoT、屋内ナビをドコモが開始、ソフトバンクもMIL規格の頑丈スマホ
2015.02.24
Updated by Naohisa Iwamoto on February 24, 2015, 12:00 pm JST
2015.02.24
Updated by Naohisa Iwamoto on February 24, 2015, 12:00 pm JST
多岐にわたるニュースがあった一週間だった。家電IoTとも言えるスマートフォンと家電連携のコンセプトモデルがアプリックスから公開され、ゼンリンデータコムとNTTドコモは屋内ナビゲーションの新しい技術を開発したと発表した。スマートフォンが生活をサポートする度合いがますます高まっていきそうだ。ソフトバンクグループは耐衝撃性に優れたスマートフォンを市場に投入。TSUTAYAのカルチュア・コンビニエンス・クラブとフリービットが資本・業務提携してMVNO事業に本腰を入れるというニュースもあった。
まず、スマートフォンが生活をサポートする新しい事例から見ていこう。その1つが、家電機器とスマートフォンを連携させて、生活の利便性を高めようというIoTの活用事例。2月18日に東京で開催された「CES Unveiled Tokyo」で、アプリックスIPホールディングス(アプリックス)がお披露目した。アプリックスのBluetooth Low Energyモジュールを使って、照明器具、扇風機、セラミックヒーター、アロマディフューザーをドウシシャがコンセプトモデルとして作成し、展示した。
▼アプリックスの技術を搭載した「DOSHISHA が提案する新たなIoT時代に向けたコンセプトモデル」
例えば、照明機器ではSiriを使って音声でオン・オフなどをコントロールできるほか、扇風機ならば近くに人がいなくなると停止、再び近づくと再開といった制御ができる。IoTの導入メリットとして、生活者への気配りを提供できる実例として、今後の実用化に期待したい(報道発表資料:アプリックスIPホールディングス CES Unveiled Tokyo で、アプリックスの最先端の技術を搭載した家電製品を初公開)。
歩行者向けのナビゲーションが新時代に突入する。ゼンリンデータコムとNTTドコモは、スマートフォンが搭載する加速度センサー、地磁気センサー、ジャイロセンサー、気圧センサーなどのモーションセンサーから得た情報を複合的に解析することで位置を特定する新しい屋内ナビゲーション技術を開発した。GPS測位ができない環境でも、Beaconなどの設備を必要とせず、手軽に屋外と同様のナビゲーションを行える。2015年4月以降、ドコモが提供している「ドコモ地図ナビ powered by いつもNAVI」の機能拡充で提供を始める予定である(関連記事:Beaconなど不要で屋内ナビゲーションを実現、ゼンリンデータコムとドコモが技術開発)。
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端末関連のトピックを紹介する。ソフトバンクモバイルは、防水、防塵性能だけでなく、米国国防総省基準「MIL-STD-810G」規格に準拠した耐衝撃性能を備えるスマートフォン「DIGNO U」(京セラ製)を、2015年2月27日に発売する。ソフトバンクモバイルがMIL規格に準拠したスマートフォンを提供するのは初めてのこと。ポケットやカバンから端末を落としても、壊れる心配がなく安心して利用できるという。ディスプレイは5インチ(960×540ドット)で、スマートフォン初心者でも使いやすい「エントリーホーム」を備える。FDD-LTEとAXGP(TD-LTE互換)の双方に対応するHybrid 4G LTE機である。おサイフケータイ、NFC、赤外線通信、ワンセグ、フルセグなどの機能は持たない(報道発表資料:防水、防塵、耐衝撃対応スマートフォン「DIGNO U」発売)。
ワイモバイルも、ソフトバンクモバイルと同様に5インチディスプレイを搭載した防水・防塵・耐衝撃性能を備えるスマートフォン「DIGNO C 404KC」(京セラ製)を発売する。基本的なスペックなどはソフトバンクモバイルの「DIGNO U」と同じ。グロスブラックを2月27日に、ホワイトを3月下旬に発売する(報道発表資料:DIGNO C 404KCを2月27日に発売)。
2014年7月1日にソニーから独立したVAIOが、新会社としてゼロから開発した始めての製品を発表したというニュースもあった。
新製品は、ノートPCの「VAIO Z」とタブレットPCの「VAIO Z Canvas」の2機種。「VAIO Z」は、第5世代インテルCoreプロセッサーUプロセッサーライン、インテルIrisグラフィックスによる高性能を、厚さ16.8mm、重さ1.34kgのボディーに詰め込んだ高性能なモバイルノート。「VAIO Z Canvas」はクリエーターをターゲットにしたタブレットで、インテル Core i7 Hプロセッサーライン、インテルIris Proグラフィックに加え、最大1TBのSSDを選択できるなど、クリエーターが要求するハードウエアのパワーを搭載した(関連記事:VAIOが「究極の道具」を目指したPCとタブレット、スマホにも「挑戦」)。
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通信事業者関連のトピックを紹介する。モバイル通信サービスの「freebit mobile」を提供するフリービットは、TSUTAYAなどを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と戦略的資本・業務提携を行うことを発表した。freebit mobileとCCCグループのインフラを垂直統合したMVNO事業を提供する。フリービット傘下でモバイル事業をフリービットモバイルは、CCCグループとの合弁会社になり、3月1日付けで商号を「トーンモバイル」に変更する。TSUTAYAの格安スマホ本格参入は、業界地図に変化を与えそうだ(関連記事:フリービットとカルチュア・コンビニエンス・クラブがモバイル事業で資本・業務提携)。
UQコミュニケーションズが提供するWiMAX 2+サービスの基地局が、2015年2月18日に累計2万局に達したニュースもあった。2013年10月のサービス開始時点では約500局だったが、2014年3月に5000局、2014年9月に1万局を超え、それから約5カ月で倍増の2万局を突破した。UQコミュニケーションズは、2015年3月末までに、WiMAX 2+のエリアを従来型のWiMAXとほぼ同等になるまで拡大する計画だ(報道発表資料:WiMAX 2+屋外基地局20,000局達成のお知らせ)。
ソフトバンクモバイルは、人気アニメが見放題の「アニメ放題」を2月17日に開始する。U-NEXTと協業してソフトバンクモバイルのスマートフォン向けに提供する。
料金は月額400円(初回1カ月は情報料無料)。アニメ見放題のサービスは、NTTドコモが「dアニメストア」(月額400円)、KDDIが「auアニメパス」(月額400円)で提供しており、ソフトバンクモバイルも両社と同じ料金で提供を開始することになった(報道発表資料:大人気アニメが全て見放題! 「アニメ放題」を提供開始)。
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未来を感じさせるニュースもあった。スカパーJSATとNTT東日本、NTT西日本は、「フレッツ・テレビ」および「スカパー!プレミアムサービス光」で4K放送を4月4日午前10時に開始する。放送を開始する4K専門チャンネルは、スカパーJSATが運営する「スカパー!4K映画」「スカパー!4K総合」の2チャンネルと、次世代放送推進フォーラムが運営する試験放送の「Channel 4K」の合計3チャンネル(関連記事:4K放送が「フレッツ・テレビ」「スカパー!プレミアムサービス光」で4月4日に開始)。
ソフトバンクロボティクスとソフトバンクモバイルは、人の感情を認識して行動するパーソナルロボット「Pepper」を2月27日に販売開始する。初回生産分は300台で、開発者が対象となる。本体価格は19万8000円。初回生産分の発売に合わせて、クラウドの音声認識エンジンを活用した会話機能や、各種ロボアプリの利用ができる「Pepper基本プラン」(月額1万4800円)と、故障したときのサポートを受けられる「Pepper保険パック」(月額9800円)を新たに提供する(関連記事:ソフトバンク、「Pepper」を開発者向けに2月27日に発売、基本プランは月額1万4800円)。
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