東南アジアでスマートフォンの販売が伸びていることは既にお伝えした(参考:東南アジアのスマートフォン市場:30%は「100ドル以下のスマートフォン」)。
その東南アジアではタブレット端末の販売も伸びている。シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンで2014年1~4月で360万台のタブレットが出荷された。総額9億3,500万ドル規模で、昨年同時期よりも98万台増加した。
成長著しい市場として、ベトナム(151%増)、フィリピン(82%増)、インドネシア(82%増)である。インドネシアでは145万台が(2億5,200万ドル規模)販売され、東南アジアのタブレット販売の43%を占めている。
東南アジアでのタブレットの平均販売価格は278ドルで昨年より25%も安くなっている。GfKのレポートによると、東南アジアでは300ドル以下のタブレットが63%(5台に3台)だった。昨年は300ドル以下のタブレット販売は全体の38%であり、その割合は大幅に伸びている。200~300ドルのタブレットは366%増加で、100ドル以下のタブレットは214%増加した。東南アジア最大のタブレット市場であるインドネシアでは145万台のうち65万6,000台(約45%)を100ドル以下のタブレットが占める。
東南アジアでは地場メーカーの台頭などで100ドル以下のタブレットも大量に流通し始めている。2013年までは84のブランドが存在したが、2014年には143のブランドが登場し、競争はますます激化しつつある。最も多くのブランドが存在するのがタイで53のブランドがあり、次いで多いのがフィリピンの39ブランドである。
たしかに東南アジアでは、大学生やビジネスマンを中心にタブレットユーザーが急増した。それに伴ってインターネットカフェが激減している。タブレットやラップトップを所有する多くの人が、コーヒーショップやファーストフード、大学など無料または安価なWi-Fiスポットでインターネットに接続している。ラップトップよりも軽くて、電池の持ちが良いことからタブレットの人気は高まっている。
スマートフォンと比較するとまだ販売台数では小さい(例えばインドネシアではスマートフォンが3か月で730万台出荷に対して、タブレットは4か月で145万台)。しかし、地場メーカーの台頭とそれに伴う多くの100ドル以下のタブレットの登場で、これからも東南アジアにおけるタブレットの販売増加は期待できる。
▼タブレットを見ながらスコアの確認を行っている(ジャカルタのゴルフ場)。
【参照情報】
・Southeast Asian Tablet Sales Jump 41 Percent over Previous Year
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。