Digitimesリサーチが2015年2月に発表したデータによると、台湾製の2014年10~12月の携帯電話機出荷台数は、前年同期比50%増となる2,556万台に達した。2014年通年においても39%増の8,515万台に上った。ここにはHTCやASUSのような台湾を代表するグローバルメーカーのほか、ODMとして提供している端末の台数も含まれている。
台湾にはHTCやASUS、Acerといった世界規模で、自社ブランドで展開しているメーカーも多いが、ODM(Original Design Manufacturing)で端末を提供しているメーカーも多数存在している。ASUSやAcerはハイエンド端末からローエンド端末まで製造しており、2014年第4四半期(10~12月)の3か月間でそれぞれ140万台ずつ製造している。
現在日本のメーカーで携帯電話、スマートフォンを製造しているのはソニー、富士通、シャープ、京セラと少数になってしまった。またそのうち全てのメーカーが日本で製造しているとは限らない。そして日本メーカーの端末の出荷先はほとんどが日本国内で製造している端末もハイエンドである。
台湾製の端末は台湾だけでなく東南アジアや中南米を中心に世界中に出荷されている。それでも中国での端末製造は台湾よりも遥かに多い。最近では中国のXiaomiは中国での人気によって世界3位の出荷になってきており、ブランド力も向上している。さらにインドネシアやベトナム、インドなどに製造拠点を移しているメーカーも多くなってきている。それら新興地域で、人件費の安い労働者が製造して、現地で販売するので台湾で製造して輸出するよりもコストが安くすむ。また業績が回復しつつある台湾を代表する端末メーカーのHTCもスマートフォン初期の時代ほど順調とは言えない。
2014年の台湾製の携帯電話は39%増の8,515万台だが、いつまでも右肩上がりで成長していけるとは限らない。今のうちに、次の一手を探していく必要があるのではないだろうか。
【参照情報】
・Handset shipments by Taiwan-based vendors and ODMs increase 50% on year
in 4Q14
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。