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溢れる映像アプリ時代、動き出す米国ベンチャー

2010.12.06

Updated by Kazutaka Shimura on December 6, 2010, 19:30 pm JST

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(cc) Image by Andrew Magill

端末間を彷徨う映像

先日、とある大学3年生に「テレビって観る?」と質問してみた。「いや、まったく観ないですね」と予想通りの答えが返ってきたので、「お笑い番組とか観ないの」と続けて質問すると、「パソコンがあるんで、それで済ましちゃいます」とこれも予想通りの回答だった。

アメリカの大手テレビ局ABCは、自前のiPad用アプリを開発し、自社の番組をiPadで観られるようにしている。Apple TVでも、ABCの番組を99セントでレンタルできる。またGoogle TVのユーザーは、スマートフォン用アプリで観ている映像をワンクリックでテレビモニターに移動させ、みんなで楽しめる。

ネットワークにつながる機械が増えると、テレビとケータイ、iPadといった機械の境界がどんどん無くなる。

溢れる映像、どうやって見つける?

これからの映像配信は、ウェブページやYouTubeだけでなく、端末ごとのアプリが視聴に利用されるシーンも増える。アメリカのベンチャーでいちばん熱いのは、さまざまに形を変えて配信される映像を簡単に見つけるサービスの分野だ。Appr.tvは、モバイルとパソコン双方の映像検索プラットフォームを提供する企業だ。TMGという音楽レーベルを創業し、のちに売却したロリー・フェルトン(Rory Felton)氏が、映像アプリの検索ビジネスにチャンスを感じて始めた会社だという。

そんなフェルトンCEOに、アメリカの映像ビジネスとAppr.tvの今後について聞いてみた。

米国のベンチャー起業家が感じる映像ビジネスの今後

Q:居間にある大画面テレビはこれから無くなるのか?

A:いや、アメリカ人はいつの時代も、リビングルームにビッグ・スクリーンのテレビが欲しいものだ。

Q:今後3年間で、映像の見方はどのように変化するのか?

A:テクノロジーの進歩で、テレビとインターネットはますます融合し、その差はほとんど見分けがつかなくなる。ユーザーは、見たいと思ったらスグその番組を見たいもので、その環境を提供する企業が増えるだろう。

Q:Appr.tvは、映像アプリ分野で、OpenFeintやScoreloopといったゲームアプリにソーシャル機能を提供するプラットフォームと考えてよいのか?

A:そうだ。Appr.tvは、まず2010年末に動画を集め検索できるパソコン用のベータ版アプリを公開する。2011年夏には、iPhone、Android、BlackBerryといったスマートフォン向けのクラウド型プラットフォームを公開する。このクロスプラットフォームは、HTML5に対応ており、Appr.tvを通して購入した映像アプリは、どの携帯端末やパソコンからも楽しめる。Appr.tvは、クラウド上にスプリングボード・ランチャーと呼ばれるモバイル端末の画面を用意している。

Q:Appr.tvのビジネスモデルは?

A:Appr.tvが提供するアプリは有料で販売するほか、月額課金モデルも考えている。

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志村 一隆(しむら・かずたか)

情報通信総合研究所主任研究員。1991年早稲田大学卒業、WOWOW入社。2001年ケータイWOWOW設立、代表取締役就任。2007年より情報通信総合研究所で、メディア、インターネットの海外動向の研究に従事。2000年エモリー大学でMBA、2005年高知工科大学で博士号を取得。文系・理系に通じ、さらには国内外のメディア事情、コンテンツ産業に精通。著書に『ネットテレビの衝撃―20XX年のテレビビジネス』(東洋経済新報社)『明日のテレビ チャンネルが消える日』(朝日新書)がある。