[2013年第24週]2013年1Qのスマホ出荷は前年比微増、スマホに飛ばすEye-FiやNFCで設定するルーター登場
2013.06.17
Updated by Naohisa Iwamoto on June 17, 2013, 13:00 pm JST
2013.06.17
Updated by Naohisa Iwamoto on June 17, 2013, 13:00 pm JST
この週、ワイヤレス業界でいくつかの数値が発表になった。その1つが国内の携帯電話・スマホの出荷統計。2013年第1四半期(1Q)は伸びているスマホに絞っても前年比微増で、伸び悩みが見えてきた。新製品では、デジカメなどに挿して使う無線LAN内蔵メモリーカード「Eye-Fi カード」にパソコン不要で設定できる新モデルが登場、またNFCを使って無線LAN設定をワンタッチでできるアプリと対応ルーターも発表された。
まず、統計数値から見ていこう。IDC Japanは、国内の携帯電話およびスマートフォン端末の2013年第1四半期(1〜3月)の出荷台数を発表した。2013年第1四半期の国内携帯電話出荷台数は、前年同期比5.9%減の956万台で、3四半期ぶりに1000万台を割り込んだ。スマートフォン需要の成長鈍化の兆候がみられることを原因の1つに挙げている。スマートフォン出荷台数では、iPhoneが好調な半面、Android端末が落ち込み、前年同期比で4.0%増の681万台にとどまった。同期のスマートフォンのベンダー別シェアはアップルが首位。次いで、シャープ、ソニーモバイルコミュニケーションズの順となった(報道発表資料:2013年第1四半期 および2012年間国内携帯電話/&スマートフォン市場規模を発表 )。
通信事業者のサービスに関連した数値の発表もあった。NTTドコモは、スマートフォンを安心・安全に使えるようにするサービスのパック「あんしんパック」の会員数が6月11日に100万を超えたと発表した。あんしんパックは、ドコモが5月16日にサービスを開始したパック型のサービス「ドコモ サービスパック」の1つで、サービス開始から1カ月経たないうちに100万会員を獲得した。スマホの安全に、利用者が高い関心を示していることが見て取れる(関連記事:ドコモの「あんしんパック」、提供から約1カ月で100万会員を突破)。
WiMAXサービスを提供するUQコミュニケーションズは、同社がWiMAXの接続性を認証したことを示す「UQ WiMAX Certification」を付与した製品が、45社300機種を超えたことアナウンスした。UQは、国内の多くの携帯電話事業者と異なり、ネットワークとデバイスのオープンモデルを積極的に推進しており、その成果が300機種という数値になって表れた。ネットワークでは、WiMAXサービスのMVNO契約が60社に上り、2013年5月末時点のWiMAXサービスの累計ユーザー数は418万件となった。デバイスも、データ通信カードから、モバイルルーターやパソコンといった端末、通信モジュール、M2M(参考情報)向けの機器など用途など種類が増え、適用範囲を広げている(報道発表資料:WiMAX対応製品が45社300機種を突破!)。
▼【別紙】機器多様化により拡大するWiMAX(PDF)
===
製品関連のニュースを紹介しよう。アイファイジャパンは同社の無線LAN内蔵メモリーカード「Eye-Fi カード」のラインアップに、新製品「Eye-Fi Mobi カード」(以下Eye-Fi Mobi)を追加した。Eye-Fi Mobiを挿したデジカメから、スマホやタブレットに簡単に自動画像転送が可能になる。新製品のEye-Fi Mobiは、画像の転送先をスマートフォンとタブレットに絞り込むことで、パソコンを使った難しい設定などをなくして使いやすくした。実勢価格はEye-Fi Mobi 8GBが4980円、同16GBが7980円(関連記事:アイファイジャパン、デジカメからスマホに簡単に画像転送できる「Eye-Fi Mobi」を発売)。
無線LANルーターの使い勝手を一層向上させる取り組みが、アイ・オー・データ機器からアナウンスされた。同社はNFC搭載スマートフォンなどを簡単に無線LANルーターに接続できるアプリ「NFCコネクト」をGoogle Playに公開した。NFCコネクトを導入したNFC搭載スマートフォンを、対応無線LANルーターにタッチすると、パスワードの入力などをしないで簡単に無線LAN接続が可能になる。WPSのNFC設定に準拠した方式を利用する。対応無線LANルーターは、アイ・オー・データ機器がモニター販売する。型番は「WN-G150TRWNFC」で、価格は3980円である(報道発表資料:NFC 搭載スマートフォン・タブレットをかざすだけで Wi-Fi 接続できる Wi-Fi カンタン接続アプリケーション「NFC コネクト」提供)。
うれしい値下げのニュース。日本マイクロソフトは、3月15日に日本国内で発売したタブレット「Surface RT」の本体価格を、一律で1万円値下げした。Surface RT 32GBモデルの参考価格は、4万9800円から3万9800円になり、購入しやすい環境が用意される。値下げの期間は6月14日から7月14日まで。6月7日に販売を開始したタブレット型PC「Surface Pro」などと合わせて、iPadなどアップル製品が値上げしたタイミングを商機につなげられるか注目したい(報道発表資料:進化したタブレット「Surface RT」の本体価格を 10,000 円値下げ)。
===
このほか、この週にあった主なニュースを取り上げる。KDDIは、4月27日から3回にわたって「4G LTE」関連の通信トラブルがあったことに対して、田中孝司社長が謝罪するとともに原因と対策を公表した。トラブルは3回とも、LTE基地局制御装置のソフトウエアの2種類のバグに起因する。KDDIでは、総額300億円の設備投資などにより、トラブル対策を施す。KDDIでは、今回の一連の通信トラブルに伴ってデータ通信および音声通信のサービスを利用できなかったユーザーに対して、請求額から一律700円を割り引く措置を取ると発表した(関連記事:KDDI、LTE通信トラブルの原因と対策を説明、300億円の設備投資を決定)。
日本通信は2013年6月14日に発売するとしていたモバイルルーターの「b-mobile WiFi3」の出荷を停止した。6月10日に発表したばかりのb-mobile WiFi3は、SIMロックフリーであることを特徴の1つとしていたが、発売日の6月14日になってメーカーから製品にNTTドコモのSIMロックがかかっていると報告あったという。日本通信ではSIMロックがかかっている製品は出荷できないと判断し、出荷停止することになった(関連記事:日本通信、6月14日発売の「b-mobile WiFi3」にSIMロック、急遽出荷を停止)。
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は、SDN(Software-Defined Networking)によるネットワークの設計や運用を容易にする2つのシステムを開発したと発表した。1つは実環境と同じ条件下でSDNのネットワークを設計・試験可能な「VOLT」。もう1つはSDNにより経路や帯域をリアルタイムに変更する運用が可能なリソース制御システムである。NTTコムでは、開発したシステムの技術検証を進め、商用利用を検討していくとしている(関連記事:NTTコム、SDNの設計から構築・運用を容易にする新システムを開発)。
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちら日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。