original image: © towfiqu - Fotolia.com
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1月26日からインド北部のウッタル・プラデーシュ州で携帯電話のパニックボタン機能のトライアルが始まる、と報じられている。もともとは、2016年に2017年1月1日からインド国内で売られる携帯電話にはパニックボタンの実装が義務づけられると発表されていたが、諸般の事情で遅れていた。
パニックボタンは緊急通報用の機能で、スマートフォンの場合はアプリをインストールしたうえで電源ボタンを3回続けて押す、フィーチャーフォンの場合は5か9の数字キーを長押しすることで、警察への緊急通話(112番)の発信が行われ、同時に家族や友人にショートメッセージが送られるというもの。
導入の背景には、同国における女性に対する暴力が後を絶たないことがある。ショートメッセージは、警察に対しても送信されるほか、友人や家族など事前登録した宛先へ最大5通の送信が可能だ。さらに、GPSの位置情報から、近傍にいるボランティアへも最大で50通ほど送信される機能を持つという。警官が現場に急行するのでは間に合わない、ということだろう。
1年遅れてトライアルから始まる理由としては、以前のトライアルで誤報が多発したことが挙げられている。2016年には、携帯電話ではなく列車内に設置したパニックボタンで1カか月に1000回の誤報があったというし、2015年にデリーの警察が独自に提供した無料のSOS警報アプリでは、初日に3000回使われて本当の緊急事態は45件だったという。
インドでは、パニックボタンを使う可能性の高い年齢層の女性は男性に比べて携帯電話の所有率が低いことや、まさに暴行を受けているときにパニックボタンを押すことができるのかといった疑念を挟む向きもあるようだ。
さまざまな不具合は、実際に導入してから明らかになるものも多く、技術がその課題を将来的に解決してくれる可能性も高いことから、推進を求める声も多いようだ。また、こうした機能がうまく働くことが広く知られるようになれば、いわゆる抑止的な効果も期待できるだろう。
【参照情報】
・India wants panic buttons on mobile phones to keep women safe—will it work?
・Trial Of "Panic Button" On Phones To Begin In UP On January 26
・India to test 'panic button' on mobile phones in Uttar Pradesh
・All Indian mobile phones 'must have panic button'
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