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スマートフォンに一層力を入れる--4機種を追加したドコモの戦略

2010.11.09

Updated by WirelessWire News編集部 on November 9, 2010, 14:30 pm JST

NTTドコモの新作スマートフォンが4機種、2010年11月8日の冬・春モデル発表会でお目見えした。発表した全28機種のうちの4機種がスマートフォンで、数の上ではごく一部とも見えるが、発表の時間や展示スペースからすると半分にも届く勢いだった。スマートフォンに的を絞って、冬・春モデルの製品と発表会の模様についてお伝えしよう。

Androidが3機種とBlackBerryが1機種

▼おサイフケータイ、ワンセグなど、従来型の携帯電話の機能を盛り込んだスマートフォン「LYNX 3D SH-03C」
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スマートフォンの新製品は4機種。AndroidをOSに採用する「LYNX 3D SH-03C」「REGZA Phone T-01C」「Optimus chat L-04C」の3機種と、BlackBerry端末の「BlackBerry Curve 9300」だ。

「LYNX 3D SH-03C」は、3.8インチの3D液晶を搭載したシャープ製のスマートフォン。専用のメガネをかけずに裸眼で3D映像を楽しめる。静止画を立体表示できる「ワンタッチ3D変換」や3D写真の撮影機能もある。おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信といった携帯電話の標準機能を備えるほか、960万画素のCCDカメラでハイビジョン動画の撮影もできるなど、最新の携帯電話のスペックを備えている。

「REGZA Phone T-01C」は、防水機能を備えたスマートフォン。4インチの大画面ディスプレイに高画質化技術のモバイルレグザエンジン3.0を搭載することで、東芝のテレビブランド「REGZA」を付けるに至った。ワンセグやYouTubeをきれいな映像で見られることを最大の売りにしている。防水機能により、お風呂やキッチン、アウトドアなど利用シーンが広がる。おサイフケータイ、ワンセグ、赤外線通信に対応。カメラは1220万画素で、ハイビジョン動画の撮影が可能だ。

この2機種のOSは、Android 2.1。2011年春にAndroid 2.2へのバージョンアップを予定している。既存のiモード端末などフィーチャーフォンのユーザーを、スマートフォンに誘導しやすいように、国内仕様の機能を充実させている点が特徴である。

一方の「Optimus chat L-04C」は、QWERTY配列のスライド式キーボードを備えたLG電子製のエントリーユーザー向けAndroid端末。使いやすさを前面に押し出し、iモード機の4方向ボタン周辺と同様のキー配列をインタフェースにする「ドコモメニュー」を用意した。液晶は3.2インチ、カメラは320万画素と平凡。一方で、オフィス文書の閲覧、作成、編集をこなすアプリをインストールしている。OSはAndroid 2.2を搭載する。

「BlackBerry Curve 9300」は、QWERTYキーボードとトラックパッドを備える。音楽や動画を楽しむこともできるBlackBerry端末だ。画面は2.4インチの液晶、カメラは200万画素と、我が道を行くスタイルでビジネスパーソンの需要を支える。

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既存ユーザーの取り込み、新しいユーザーの開拓

今回発表した4機種はいずれも「spモード」を契約することで、iモードのメールアドレスでメールが可能。メールアドレスが変わることでスマートフォンへの移行を躊躇(ちゅうちょ)している層に訴えかける。

NTTドコモの山田隆持社長は、「iモード機で蓄積した公式サイトやコンテンツがとてもたくさんある。コンテンツだけで2万数千にも上る。こうしたコンテンツを、スマートフォンに移して簡単に利用できる仕組みを考えていきたい。iモードで人気のあったコンテンツをスマートフォンでも使ってもらえるような循環を創りたい」と言う。スマートフォンはフィーチャーフォンと別物と考えるのではなく、iモード機の延長線上にスマートフォンを載せてしまい、自らが強い土俵で戦おうとする戦略だ。

その戦略こそがAndroidに着目する理由にもなっている。「iPhoneの世界は完全な垂直統合型。Androidはオープンだ。オープンなAndroidの上に、ドコモならではのサービスを多く載せていきたい」と山田社長は言う。メーカー主導には引き込まれずに、あくまでもiモードから培ってきたキャリアー主導のビジネス展開を貫く考えのようだ。

一方で、パーソナルクラウドサービスのEvernoteに対しては、融合戦略をとることを明らかにした。Evernoteは生活や仕事のさまざまな記録をクラウドで保管し、人間の記憶を助けるサービス。その役割から"外部脳"と称されることもある。NTTドコモは、Android端末にEvernoteのインストーラーを標準でプレインストールする。さらに、Evernoteの有料会員サービスであるプレミアム会員の資格を、NTTドコモのAndroidユーザーには1年間無償でプレゼントするキャンペーンも実施する。増え続けるさまざまな記憶を保管するEvernoteのサービスを、スマートフォンのユーザー層の拡大につなげようとしている。

▼ドコモのAndroidユーザーを、Evernoteのプレミアム会員に1年間アップグレードすると発表する米エバーノートのフィル・リービンCEO
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山田社長は、「2011年には、スマートフォンとフィーチャーフォンの比率は、逆転はしないと思っている。3〜4年後ぐらいに新規販売比率で逆転する可能性はある。その時までには製品のラインアップもスマートフォンが多くなっているのではないか」と語る。その手始めが今回の4機種であり、先に発表があったGALAXY S/GALAXY Tabだ。本当の勝負として見据えるところは、数年先のスマートフォンが主流になった世界のようだ。

【報道発表資料】
2010-2011冬春モデルに28機種を開発および一部機種を発売
Evernote、ドコモのアンドロイド搭載スマートフォンユーザー全員を対象に、プレミアムアップグレードを提供

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