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"LTEレディ"なネットワーク機器で通信事業者のコスト構造を変革

2011.04.22

Updated by WirelessWire News編集部 on April 22, 2011, 12:00 pm UTC Sponsored by NOKIA

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ノキア シーメンス ネットワークス株式会社 ソリューションビジネス事業本部 事業本部長 小島 浩氏

スマートフォンに代表される新しい無線通信端末が普及してきたことで、ワイヤレス通信の環境は大きく変化してきている。その環境変化を端的に言い表すと、「今後はトラフィックが急増するにも関わらず、事業者が得られる収入はそれほどには増えない」ということになる。LTEはそうした状況に対する切り札として期待されている技術である。

ワイヤレスで通信するユーザーは爆発的に増えている。大手通信機器ベンダーのノキア シーメンス ネットワークス ソリューションビジネス事業本部で事業本部長を務める小島 浩氏は、「2015年までになんらかの形で50億人が無線のネットワークにつながる」と説明する。ユーザーが増える上に、通信の内容も変化していく。音声の通信はこれから先もさほど増えるわけではないが、スマートフォンやラップトップ端末がやり取りすることでデータのトラフィックが急増する。

しかし、そこで問題が起こる。冒頭で紹介したように「データ通信量が増えても、ユーザーからそれに見合うだけのお金をもらえるわけではない。定額制を前提にすれば、やり取りするデータ量は増えても収入は増えない。ビット単価が劇的に低くなるということだ」(小島事業本部長)。こうした環境に対応できる低コストのネットワークを構築できなければ、数年後には通信事業者は生き残れなくなってしまう。

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LTEが環境の変化から通信事業者を守る

そこで通信事業者にとって急務となるのが、ビット単価を下げてサービスを提供できるネットワークの構築である。図1を見てほしい。

▼図1:スマートフォンなどの普及によりトラフィックが急増する将来。トラフィックの増加を低コスト・低ビット単価で対策しないと、事業者の利益はなくなる。
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ワイヤレス通信の内容が、音声中心の時代からデータ中心の時代に移り変わると、トラフィックの総量は急速に増加する。これに既存の2G方式であるGSMや3GのW-CDMAなどで対応しようとすると、コストもトラフィックと同様のカーブを描いて上昇する。

しかし、収入は増えない。既存の技術を用いていたら将来的には確実に赤字になるコスト構造なのだ。そこで、前述したように切り札のLTEが登場する。LTEを使うことで、「トラフィックの増加に対応しながら、コストを抑えたネットワークを構築できる。LTE導入の真のメリットはここにある」と小島事業本部長は説明する。ビット単価を下げながらトラフィック増に対応できるネットワーク技術がLTEというわけだ。

LTEとはLong Term Evolutionの略で、3G携帯電話の次世代の規格に相当する。高速で低遅延の無線伝送が可能な方式である。

規格上の通信速度は、現在までに3GPPで標準化されているRel.8で下り最大173Mbps、標準化作業中のRel.9だと下り最大326Mbpsという高速な通信が可能になる。将来的には1Gbpsの伝送も視野に入っている。その一方、W-CDMA方式で50〜100ミリ秒ほどある遅延は、LTEでは10〜20ミリ秒にまで激減する。無線通信を介して、タイミングが重要なリアルタイムゲームも楽しめるようになるなど、適用できるアプリケーションの幅が広がる。

こうしたユーザーに直接恩恵をもたらす効果に加えて、より通信事業者にメリットがあるのは周波数利用効率の向上である。小島事業本部長は、「3Gで使われてきたCDMA(符号分割多重アクセス)に代わり、LTEでは周波数利用効率を高められるOFDMA(直交周波数分割多重アクセス)という方式を採用している。周波数利用効率は数倍以上に高められるため、ビット単価の低下につながる」とLTEの効用を語る。コストを押さえてトラフィックの急増に対応するために、LTEは大きな力を発揮する。

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シンプルなアーキテクチャはコスト削減に力

LTEは、採用するネットワークのアーキテクチャがフラットでシンプルである点も大きな特徴と言える。3Gでは制御装置と基地局が分かれていた無線設備は、LTEでは1種類の基地局だけになった。コアネットワーク側でも1つのゲートウェイだけを通って通信する構造を採用している。ネットワークの遅延を減らすためにシンプルな構成を採用しているのだが、機器の種類が少なくて済むということはネットワーク構築や運用・保守に関わるコストも引き下げられることにつながるのである。

ノキア シーメンス ネットワークスでは、LTEの導入にさらに付加価値を提供する。通信事業者は現在採用しているGSMやW-CDMAから、将来のLTEへと移行するパスを検討している。事業者によっては、HSPA+による高速サービスを経由して徐々にLTEへと移行することもあるだろうし、W-CDMAから直接LTEに軸足を移すケースもある(図2)。「LTEへのどのようなマイグレーションのケースでも、ノキア シーメンス ネットワークスはソリューションを提供できる製品を用意している」(小島事業本部長)というのだ。

▼図2:LTEへの進化シナリオ。LTEへのマイグレーションパスには様々なケースがある。これらへの対応の状況に通信機器ベンダーの力量が示される。
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1つには、基地局からコアネットワーク、サービス系、ネットワーク監視装置、伝送系の装置といったハードウェアのラインアップに加え、サービスやオペレーションといったソフト面まで、総合的にノウハウを蓄積していることが挙げられる。もう1つはハードウェアがLTEへのマイグレーションを見据えて作られていることだ。

ここからは、ノキア シーメンス ネットワークスが提供するLTE関連製品について見ていこう。

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Flexi BTS――LTEレディの小型基地局

ワイヤレス通信の設備として、膨大な数が必要になるのが基地局である。数万台といった規模になるだけに、購入代金はもとより設置スペースの確保や工事、メンテナンスなどの利便性がトータルのコストとして大きく跳ね返ってくる。

ノキア シーメンス ネットワークスは「Flexi BTS」と呼ぶ小型の基地局を提供している。これは、新たにLTEのネットワークを構築する際に利用できることはもちろん、既存のGSMやW-CDMAのサービスを提供することも可能な基地局である。将来を見据えた際の最大の特徴は、「現在はGSMやW-CDMAのサービスを提供する基地局として利用していても、将来LTEサービスを提供することになった場合にはソフトウェアの変更だけでLTEへの対応が可能なこと」(小島事業本部長)だ。ノキア シーメンス ネットワークスが標榜する"マイグレーション"への対応を、すでに具現化している機器なのだ。

3種類の小型モジュールで、自由な構成が可能

Flexi BTSは小型の基地局だ。ノキア シーメンス ネットワークスの従来型の基地局と比較すると、体積が約70%減少している。小さいだけでなく、モジュールを組み合わせることで基地局の構成をフレキシブルに作れることも大きな特徴である。構成するモジュールは、無線部分を受け持つ「RFモジュール」、機能の中核をなすベースバンド処理機能、基地局制御機能を持った「システムモジュール」、AC/DCコンバータを搭載する「電源モジュール」の3つ。これらを組み合わせて、アンテナを付ければ基地局が出来上がる。

▼図3:ノキア シーメンス ネットワークスのLTE対応小型基地局「Flexi BTS」。基本構成は電源モジュール、システムモジュール、RFモジュールの3きょう体で、GSMからW-CDMA、LTEまでソフトウェアで対応できる。
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フレキシブルな構成にはいくつかの意味がある。1つは、基地局に必要な機能を組み合わせられること。DC電源がある場所ならば電源モジュールは不要で、RFモジュールとシステムモジュールの2台があればいい。同じ方式のサービスを複数の周波数帯で提供するならばRFモジュールとアンテナをそれぞれの周波数に対応した台数用意すれば、システムモジュールは1台だけで済むといった具合である。

2つ目は、通信方式の変化への対応。システムモジュールはソフトウェアの変更で通信方式を変えられる。2008年から販売している現行機種ならば、GSM、W-CDMA、HSPAに加えて、LTEもサポートしている。GSM用に設置した基地局を、LTEの時代になってもそのまま活用できるということになる。2011年後半に販売する時期モジュールではさらにLTEの次世代方式として標準化が進められている「LTE-Advanced」にも対応する予定だ。将来へのマイグレーションを見据えた基地局を設置できる。

もう1つは、方式の移行期への対応である。「システムモジュールは、複数の方式を同時にサポートすることも可能。W-CDMAからLTEへの移行期に、LTE利用者が増えてきたらW-CDMAの帯域を減らしてLTEに割り振るといった柔軟な対応ができる」(小島事業本部長)。

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停電などでもバッテリーで長時間稼動できる低消費電力

Flexi BTSは、構成のフレキシブルさに大きな特徴があるのだが、小型化したモジュールならではのメリットがいくつも含まれる。

▼図4:小型のFlexi BTSは、取付工事の簡単さや幅広い設置場所の対応なども含めて、通信事業者のコスト削減に効果を発揮する。
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まず、モジュールが小型軽量であること。小島事業本部長は「1つのモジュールは20〜25リットル程度の大きさなので、人間が持ち運べる。大型トラックや機器を使うことなく、普通のクルマだけあれば設置が可能になり、建設工事コストを大幅に抑えられる」と説明する。電源モジュール込みでも、ポールに3つのモジュールとアンテナを付ければ基地局が出来上がるため、設置場所の制約も少なくなる。

さらに、Flexi BTSはマイナス35度〜プラス55度と広い温度耐性と、全天候型のきょう体を備える。そのため屋外にそのまま設置でき、設置場所の自由度が高まる。

もう1つ、昨今の社会状況にも対応できるメリットがある。それは消費電力が低いということ。小島事業本部長は「消費電力は当社比で、7年〜8年前の5分の1程度、数年前の製品と比べても半分以下になっている。2011年後半の新製品では現行製品からさらに3分の2程度まで消費電力を減らせる」と説明する。基地局は設置台数が多い。そのため、消費電力の低減は数万台という規模で効果が表れる。コスト的にも、社会的にもメリットがあるエコシステムとなっている。

▼図5:通信事業者の電力コストの内訳。消費電力の約65%は基地局サイトによるものであり、この消費電力を半分に減らせたら、コスト的にも社会的にも意義は大きい。
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消費電力が少ないということは、例えば基地局が停電してしまったとしても、予備のバッテリーで利用できる時間が相対的に長くなるということにもつながる。小島事業本部長は「海外では発電機やソーラーパネルで電源を供給している基地局も多く、低消費電力の性能は実地ですでに生かされている。国内でも、計画停電などの影響を受けずにサービスを継続するためにも低消費電力性能は注目されている」と、その効用をアピールする。

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Flexi NS、Flexi NG――LTEへの移行に優れたコアネットワーク装置

LTEの無線設備が基地局だけのシンプルな構造に変わったのと同様に、コアネットワークもシンプルな構造を採る。LTEのネットワークで必要なコアネットワークの機器は、実際の通信データを扱うパケットゲートウェイと、制御信号をやり取りするシグナリングゲートウェイの2つ。基地局とゲートウェイというシンプルなフラットアーキテクチャがLTEのネットワークの特徴と言える。

ノキア シーメンス ネットワークスでは、LTEのコアネットワークを構成する機器として、「Flexi NG(Network Gateway)」と「Flexi NS(Network Server)」の2つの製品を用意している。Flexi NGは前述したパケットゲートウェイに相当し、一方のFlexi NSはシグナリングゲートウェイに相当する(図5)。これらの製品は、19インチラックに収められるATCA(Advanced Telecom Computing Architecture)ベースのブレードを組み合わせたシェルフで実現。シェルフは必要な容量に応じて拡張が可能であり、19インチラックに3段まで実装することが可能であり、コアネットワーク機器を少ないスペースに設置できるようになった。

変化に柔軟に対応できるアーキテクチャ

LTE時代にはコアネットワークも既存のサービスよりもシンプルで低コストの機器で実現できるようになる。「最新のコアネットワーク製品では、設置スペースは旧型の半分から3分の1に減らせる。プロセッサーの進化により性能は向上し大容量のトラフィックを扱えるようになっている上で、消費電力も抑えた」(小島事業本部長)。

基地局と同様、ノキア シーメンス ネットワークスではコアネットワーク機器についてもLTEへのスムーズなマイグレーションを視野に入れた製品作りをしている。Flexi NGとFlexi NSだけでコアネットワークを構成できるようになるのは、フルLTE時代になってからのことで、それまではGSMやW-CDMAなどのサービスが混在する。そこでFlexiシリーズの製品では、移行期の対応が容易になるように設計されている。

▼図6:LTEのコアネットワークを構成する装置。パケットを扱う「Flexi NG」と制御信号を扱う「Flexi NS」がある。基地局だけでなくコアネットワーク装置も、現行システムからのマイグレーションを視野に入れた構成を採っている。
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たとえば、W-CDMAとLTEが移行期に混在する場合、W-CDMAのデータ通信サービスに必要なGGSN(Gateway GPRS Support Node)やSGSN(Serving GPRS Support Node)といった機能をFlexi NGやFlexi NSに取り込むことができる。こうした設計により、2Gや3Gのシステムと共存しながら、LTEサービスに必要な機能を実装していくマイグレーションが可能になる。LTEへの移行が進んだとしても、当該のノードでキャパシティーに余裕があれば、Flexi NGとFlexi NSの機能を1つのハードウェアに混在させることも可能だ。フレキシブルな構成で、LTEへのマイグレーションを進められる思想が徹底していることがよく分かる。

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VoLTEへのマイグレーションも視野に

LTEは高速大容量のデータ通信が可能なだけでなく、将来的にはオールIPのLTEネットワーク上で音声通話も可能になる。いわゆる「VoLTE」(Voice over LTE)である。携帯電話による音声通話なのに、あえて特別な呼び方をするには理由がある。LTEでは3Gまでのネットワークのように音声通話用に回線交換のネットワークを利用せずに、すべてIPネットワークで処理を行う。このため、VoIP(Voice over IP)のLTE版ということで、VoLTEと呼ばれているのである。

LTEの商用サービスが始まってから、最終的にオールIPのネットワークでVoLTEを実現するまではいくつかの段階を経ると予測される。LTEサービスがデータ通信サービスだけの初期段階では、音声は2Gや3Gの別の端末を利用する。国内でNTTドコモがLTEサービスの「Xi(クロッシィ)」を2010年12月24日に開始したばかりで、現時点はこの初期段階に相当する。次に、LTEの音声端末が提供されるようになると同じ端末の中でデータはLTE、音声は2G/3Gという使い分けをするようになる。これを「CSフォールバック」と呼ぶ。さらに進んだ3段階目では、LTEネットワークが整備されてオールIPでネットワークを構成する。2G/3Gを切り離してLTEだけで独立したネットワークを構成できるようになる。

ノキア シーメンス ネットワークスでは、VoLTEの実現についても、前述のマイグレーションの考え方を取り入れている。コアネットワーク機器は、ハードウェアとしてのブレードやその上に実装したソフトウェアを適切に選択することで、CSフォールバック期を経てVoLTEに完全移行するまでの各段階で、必要な機能を容易に得ることができる。

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オールIPのLTEネットワークを構築して、音声もデータも処理できるようになれば、周波数利用効率向上の効果に加え、機器の導入から運用・保守までのコストを下げることで通信事業者の利益構造にメリットをもたらす。ノキア シーメンス ネットワークスは、将来のLTEへの移行を視野に入れながら、現在のネットワークを運用しているすべての通信事業者に、スムーズなマイグレーションのソリューションを提供する。

すでにハードウェアとしてはLTEに対応する基地局など、製品は将来のマイグレーションを視野に入れている。しかしそれがコスト高になるのでは今の競争に勝ち抜かなければならない事業者にとって意味がない。小島事業本部長は製品コストに関して、「グローバルに販売するボリュームの効果で、既存のサービスのために導入する製品としてだけ見ても十分にコスト競争力がある。さらにその上でLTEレディなソリューションをフルターンキーで提供できるところにノキア シーメンス ネットワークスの強みがある」と胸を張る。これからやってくるLTEの時代に向けて"LTEレディ"なネットワークを構築する考え方は、少ないコスト負担で高付加価値ネットワークを作るためのソリューションとして重要になってくるだろう。

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小島 浩氏(こじま・ひろし)
ノキア シーメンス ネットワークス株式会社 ソリューションビジネス事業本部 事業本部長
1987年 総合電機メーカ入社。以降、移動体通信ネットワーク機器、移動体通信システムの開発に従事。2007年 ノキア シーメンス ネットワークス株式会社に入社。以降、移動体通信機器、システムの業務に従事。現在、同社ネットワーク技術部長

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