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「iPhone 4S」取り扱いを見送った米携帯通信キャリアの言い分

2011.11.08

Updated by WirelessWire News編集部 on November 8, 2011, 09:58 am JST

610万人の加入者を持つ米第6位の携帯通信事業者、USセルラー(US Cellular)では、アップル(Apple)から「iPhone 4S」の取り扱いについて打診があったが、提示された条件が受け入れられないものであったことから、結局同製品の取り扱いを見送ることにしたという。

これはUSセルラーのメアリー・ディロン(Mary Dillon)CEOが先頃行った同社の第3四半期決算発表のなかで明らかにしたもので、iPhone取り扱いに関してアップルが提示してきた条件について、同氏は「リスクと収益性の観点から受け入れることはできなかった」と述べたという。

米国では、同市場1位のベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)、2位のAT&Tに加え、この10月から3位のスプリント・ネクステル(Sprint Nextel)でもiPhoneの取り扱いを開始、さらに11月中旬には約90万人の加入者を抱えるシー・スパイアー(C Spire)でも同スマートフォンの販売を開始することになっている。

iPhoneは、携帯通信事業者への卸値が競合他社製のスマートフォンに比べて高額とされ、1台あたりの平均単価について650ドル程度とする推定もある。また取り扱いにあたっては一定数の購入をコミットする必要もあることなどから、携帯通信事業者にとっては、加入者の獲得やつなぎとめに有効であるいっぽう、資金的な負担も重い「両刃の剣」となっている。

たとえば、スプリント・ネクステル(Sprint Nextel)では、今後4年間に3050万台以上のiPhone購入をコミットしたと伝えられたが、同社はこのための負担額(同社の「持ち出し分」)があわせて「155億ドル以上」になると述べ、この投資から利益を得られるようになるのは2015年以降になるとの見通しを明らかにしていた。

iPhoneは、出荷台数では携帯電話端末市場のわずか4%程度にすぎないものの、営業利益ベースでは全体の50%以上をアップルにもたらすドル箱製品となっている。

ただし、たとえばチェコではこれまでiPhoneを取り扱ってきたテレフォニカ(Telefonica)の子会社が、条件の厳しさを理由にiPhone 4Sの販売を見送る決定を下すなど、人気の高い同製品の取り扱いに関して脱落する例も一部で出てきている。Android端末の出荷台数(シェア)増加の流れが続くなか、iPhoneの高い利益率を維持しながら、流通チャネルの拡大や販売数の増加を図りたいアップルには、今後携帯通信事業者との関係で微妙なさじ加減を求められる機会が増えるかもしれない。

【参照情報】
U.S. Cellular: We said no to Apple's iPhone - Fierce Wireless
U.S. Cellular: iPhone buy-in price too steep - GigaOM
U.S. Cellular passed on iPhone 4S over "unacceptable" terms from Apple - 9to5 Mac
スプリント、第3四半期決算発表 - iPhone関連の負担は「4年間で155億ドル以上」に
iPhone 3000万台超購入を確約 - スプリントが200億ドルを賭けた一発逆転の大勝負(WSJ報道)
アップル、営業利益シェア50%台をキープ - 7-9月期世界携帯端末市場(米アナリスト)
スプリントのiPhone取り扱いは、ほんとうに「リスキーな賭け」か - Asymco
iPhoneの平均販売単価について - 選択肢多様化の影響を考える - Asymco

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