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BSデジタル干渉問題について、B-SATに聞く

2012.02.27

Updated by Asako Itagaki on February 27, 2012, 18:14 pm JST

BSデジタル放送の試験電波によるソフトバンクモバイル(以下SBM)の1.5GHz帯モバイル通信サービス「ULTRA SPEED」への影響について、抜本的な改善の可能性はあるのだろうか。2月27日、試験電波を発射している株式会社放送衛星システム(以下B-SAT)に、今回の件と2010年に「BS21、23チャンネルの放送開始に向けた一部の形態のBS放送受信システムの電波干渉問題対策実施協議会」(以下対策実施協議会)がとった対策について、電話で聞いてみた。以下、一問一答形式で紹介する。

▼株式会社放送衛星システム
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2010年以降、工事によって状況は改善されると認識

──ソフトバンクモバイルから、同社の1.5GHz帯のモバイル通信サービスがBS21、23チャンネル試験放送電波の影響を受けて通信品質が低下しているという発表がありましたが、ご承知でしょうか?

B-SAT:ソフトバンクモバイルから通知があったので、承知しています。

──干渉の原因は2008年にも問題になった、BS放送受信機器のIF信号の漏洩ということで今回も間違いないのでしょうか。

B-SAT:原因はそうですが、2008年の問題については2010年に対策を完了しており、その時点での通信方式・電界強度での基地局網に対しては、対策済みと認識しています。

2010年に対策したときには、今後は地デジ化が進んで、受信システムが新しくなることと、携帯基地局が増えて、電波が強くなることを想定していました。この2つの理由により、干渉による影響は2010年以降はさらに減り、どんどん問題がなくなる方向に進むと思っていました。

──その時の対策というのは、電波発生源となっている住宅などBS放送受信機器の工事でしたが、対策終了後もさらに工事不良が発生する可能性は議論されなかったのでしょうか。

B-SAT:対策時に問題となっていたケースは、ほとんどが古い機器を使っているケースで、今後は機器が新しくなるので問題は起らないと考えていました。

例えば、当時原因の大部分を占めていた直付け端子のタイプの機器については、JEITA(電子情報技術産業協会)が今後は製造しない方針ということだったので、以後製造出荷されているものについては問題ないと判断しました。(総務省の周知事項に掲載されていた)ケーブルの手びねりもだめですが、それではBSやCSなどは上の周波数まで映りませんので、今はそのような施工はないと思います。

(2010年までに行った対策でも)調査時点で問題があっても、対策にうかがったときにはテレビを新しいものに買い換えて問題がなくなっているようなケースも実際にあり、そういった点も踏まえて、今後問題は収束する方向にあると認識していました。

──工事事業者に対しては周知事項で注意点が徹底されていたとしても、引っ越しなどで古い機器をユーザーが自分で接続するようなケースも実際にはあるので、そのような場合はやはり同じ問題が発生するのではないですか?

B-SAT:たしかにその可能性は考えられますので、電気店などを通じて一般向けにもチラシを配布し、周知するなどの対策をとりました。連絡会(一部の形態のBS放送受信システムの電波干渉問題に関する連絡会)には、さまざまな事業者の方々もいらっしゃいましたので協力をいただきました。

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対策は「電波の発信源」が行うのが本来の形

──今後の対策について、SBMや総務省から何か申し入れはありましたか?

B-SAT:SBMから「影響が出ているという発表をする」という連絡の後は、特に何もありません。前回(2008年の試験放送時の影響)は、対策の方法が判明した後、当社の事業上早期の解決が必要だという判断で費用を負担しましたが、電波法の原則に則るならば、電波の発信源に対して総務省が指導するのが本来の形であると考えます。

我々の放送衛星の電波は12GHzであり、1.5GHz帯での干渉は変換後の問題なので、あくまでも1.5GHzの電波の発信源を特定して総務省が指導するのが本来のあり方です。機器が悪いのであれば機器メーカーが悪いことになるし、施工事業者が悪いのであれば施工事業者が、BS受信機器の使用者が工事を自分で行ったことが原因であれば、使用者が自分の責任で対策することになるのではないかと思います。

──今回の件で3月に予定されているBS新チャンネルの放送開始時期が延期される可能性はあるのでしょうか。

B-SAT:影響なく予定通りに放送開始の予定です。電波の強度についても、現在発射している試験電波と同じ強度です。

基地局増設で改善の可能性はあるかもしれない

先日の記事で、筆者は「2010年の対策後も、工事不良による干渉発生の可能性は予見できたのではないか」と指摘した。それに対して、対策実施協議会(厳密に言えば話を聞いたのはB-SATだが、当時の対策実施協議会の事務局として対応していたので、そう言っても構わないだろう)の見解は、「2010年3月以降もBS受信機器の工事は発生する」が、「新しい機器に置き換えることによって状況は改善される」との見通しで、対策を終了したということである。

ここで気になったのが、2010年3月時点での対策完了は、あくまでも「その時点での通信方式・電界強度を前提」としていたという主張だ。これは言い換えると、「基地局網側の電波が弱くなってしまった場合までは想定していなかった」とも言える。

ここで、SBMの1.5GHz帯携帯基地局免許数を調べてみると、対策完了時点に一番近い2010年3月20日付のデータでは1.5GHz PDCの基地局が14,142局だったのに対し、直近の2012年1月28日付のデータでは1.5GHz W-CDMA方式の基地局は9,303局とたしかにかなり減っている(基地局免許数については、携帯・PHS関連@Wiki - 携帯電話基地局免許数より引用した)。

もちろん、電波の強さや通信品質は基地局の配置、出力、通信方式によって変わるので、単純に基地局の数だけで比較して論ずることはできないが、現在、2010年当時よりも基地局の数が減っている状態なのは確かである。だとすれば、今後、SBMが基地局を増設していくことで、問題が解決する可能性はあるのかもしれない。

【参照情報】
株式会社放送衛星システム 事業報告(自 平成21年 4月 1日 至 平成22年 3月31日)[PDF]
携帯・PHS関連@Wiki - 携帯電話基地局免許数

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。