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[2012年第8週]高速サービス続々、BSデジタルが携帯に影響、基本料0円のSIM

2012.02.27

Updated by Naohisa Iwamoto on February 27, 2012, 15:30 pm JST

この週、50Mbpsを超える高速サービスの発表が相次いであった。NTTドコモが2010年末から提供しているLTEサービスのXiに引き続き、国内でもさらに高速なサービスが本格的に開始されるようになる。

110MのSoftBank 4G、75MのEMOBILE LTEが発進

下り最大110Mbpsの通信が可能な「SoftBank 4G」を2月24日に提供開始
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ソフトバンクモバイルは、理論的には下り最大110Mbpsの高速データ通信が可能な「SoftBank 4G」サービスを2月24日に提供開始する。料金プランは月額5985円だが、ソフトバンクモバイルのスマートフォンなどとセットで加入すると月額3880円で利用できるキャンペーンなどを用意する。モバイルWi-Fiルータータイプで最大76Mbpsの通信ができる「ULTRA WiFi 4G SoftBank 101SI」(セイコーインスツル製)をサービス提供と同時に発売する(関連記事:下り最大110Mbpsの通信が可能な「SoftBank 4G」を2月24日に提供開始)。

イー・アクセスは、LTE方式を採用した「EMOBILE LTE」サービスを3月に提供開始する。FDD-LTE方式により、下り最大75Mbps/上り最大25Mbpsの高速データ通信が可能になる。EMOBILE LTEは、2012年3月末の対応エリアが全国人口カバー率約40%、その後2013年3月末までに全国人口カバー率約70%を予定している。料金などの詳細は別途アナウンスする(関連記事:イー・アクセス、下り最大75Mbpsの「EMOBILE LTE」を3月に提供)。

こうした中、高速通信に対応したモデム用LSIの発表もあった。NTTドコモ、NEC、パナソニック・モバイルコミュニケーションズ、富士通の4社は、GSM、W-CDMA、HSPA+、LTEの4種類の通信方式に対応可能なモデム技術の開発において、通信制御に関する機能をつかさどるLSIの、主要ネットワークベンダーとの接続に必要な全試験工程を実施完了したと発表した。LTEについては、ドコモが採用するFDD方式だけでなく、TDD方式にも対応。TDD方式には、中国や中東などで採用あるいは採用が予定されているTD-LTEや、ソフトバンクグループのWireless City PlanningのAXGPが含まれる(関連記事:ドコモなど4社、4通信方式に対応可能なモデム用LSIを開発)。

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BSデジタルが携帯に影響、ドコモがネットワーク障害の対策

ソフトバンクモバイルは、BSデジタル追加チャンネルの試験電波発射により、同社のULTRA SPEEDなどのモバイル通信サービスに影響が一部で発生していることを発表した。原因となっているのは、個人宅等に設置されているBS放送受信機器の配線接続の不良等で漏れ出た電波による干渉。影響を受けているのは、同社の1.5GHz帯のサービスの一部で、ULTRA SPEED対応のスマートフォン・Wi-Fiルーターや一部ソフトバンク Wi-Fi スポットで接続率低下や通信スピードの劣化など通信品質の低下が発生する(関連記事:BS新チャンネルの試験電波によりソフトバンクの1.5GHz帯に影響発生)。

一方NTTドコモは、昨年末から続く一連のネットワーク障害について、2月19日までに講じた対策と今後の予定を説明した。2月19日までに実施したのは、spモード信頼性向上に向けた対策と、パケット交換機能力の総点検である(関連記事:ドコモが障害対策の最新状況を説明、2/25から新型パケット交換機増設)。

ドコモが障害対策の最新状況を説明、2/25から新型パケット交換機増設
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基本料0円のSIMなど新サービスが登場

利用者の利便性が向上しそうな新サービスがいくつか発表されている。日本通信は、ヨドバシカメラと提携し、ヨドバシカメラ限定「基本料0円SIM」を発売する。3月1日から全国のヨドバシカメラ全店およびインターネット通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」で一斉発売する(関連記事:ヨドバシカメラから「基本料0円SIM」が登場、日本通信がMVNEで提供)。

名鉄バスは、高速バス・路線バスの全路線・全車両で公衆無線LAN(Wi-Fi)サービス提供を3月8日から開始する。バス車内で、スマートフォン、Wi-Fi対応パソコンなどの機器で、より高速な通信を快適にご利用いただけます。対応するのは「au Wi-Fi SPOT」と 「Wi2 300」の2つのサービス(報道発表資料:全路線で無線LAN(Wi-Fi)サービスを順次開始します)。

やっと実現。3月13日、auのiPhone 4Sで、auのEメール (@ezweb.ne.jp) がリアルタイムに受信できるようになる。すでに利用中のユーザーは、再度Eメール初期設定を行うことで、リアルタイム受信に対応した新しいプロファイルがダウンロードされ、auのEメールをリアルタイムに受信できるようになる(報道発表資料:iPhone 4SにおけるEメール (@ezweb.ne.jp) のリアルタイム受信の開始について)。

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災害、IPv6、交通事故防止--対策が進む

その他、主だったニュースをピックアップする。NTTドコモは、東日本大震災の教訓を踏まえて2011年4月に策定して実行してきた「新たな災害対策」の一連の取り組みを、おおむね完了したと発表している。同時に複数の災害対策サービスの開始をアナウンスした。エリアメールの「津波警報」を2月24日から、「災害用音声お届けサービス」を2012年3月1日から提供開始する(関連記事:ドコモ、災害用音声お届けサービスや津波情報を開始、災害対策の進展を発表)。

BBIXと、インターネット上で各種サービス提供を行うIDCフロンティア、九州通信ネットワーク、サイバーエージェント、データホテル、ドワンゴ、ファーストサーバ、ミクシィ、ヤフー、楽天は、3月上旬からIPv6ネットワーク共同実験を行う。現在IPv4ネットワーク上で提供されているインターネットサービスを、IPv6ネットワークで円滑に対応できるようにすることが目的とする。ネットワークインフラのIPv6対応をはじめ、動画配信ポータルサイト、ネットショッピング、SNSなどの多様なインターネットサービスのIPv6対応を実証する総合的な実験を行う(報道発表資料:IPv6 ネットワークに関する共同実験について )。

トヨタ自動車は、高度道路交通システム(ITS)技術を活用し、交通事故低減を目指す、「インフラ協調による安全運転支援システム」開発の一環として、3月から愛知県豊田市で公道走行実験を実施する。右折車の死角になる対向直進車や横断中の歩行者を、路側に新たに設置したセンサーで検知する。情報は700MHz帯の電波を使って路側無線装置からドライバーに知らせる仕組みだ(報道発表資料:トヨタ自動車、ITS技術の活用により交通事故低減を目指す、「インフラ協調による安全運転支援システム」の公道走行実験を実施)。

公道走行実験システム概要
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昨年の第8週のできごと

・春のスマートフォンラッシュ始まる
・スマートフォンの普及の影で
・新しい技術の進展も
・緊急度を増す大規模災害への対応
・サービスの拡充を目指す

[2011年第8週]春商戦を狙いスマートフォンやタブレット端末が続々発表、Androidで日本語版マルウエアも

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。