ソーシャルメディアやクラウドが普及して働き方が変わっています。
イギリスや欧州大陸の通信やIT業界ではネット経由でプロジェクト毎にその時に必要なプロを集めて来て作業を進めることがあります。
プロジェクトマネージャはオンラインでプロを管理し、対面で打ち合わせする代わりにスカイプやビデオ会議アプリで打ち合わせして仕事を進めていきます。プロジェクトメンバの収集から完了まですべてオンラインのみ、ということも珍しくありません。
メンバは世界各国に散らばっており、インドから南アフリカ、チュニジア、エジプト、中国と様々な所からメンバーが参加します。国籍も言葉も宗教も年齢もぐちゃぐちゃです。いいんです、ぐちゃぐちゃで。スピードが命ですから、成果さえ出せれば誰だっていいわけです。
さて、こういう働き方をする環境では一体何が重要でしょうか?
ズバリ、書き言葉なのです。
プロジェクト進めるには、各自の役割分担、プロジェクトの目的、求められる品質、成果物、締め切り、報酬に関することを「文字で明確にして全員に共有」します。文句があれば書き言葉で伝えます。ソーシャルメディアやオンライン会議システムで打ち合わせする時も、書いた文章を元にディスカッションを進めます。
こういう環境では「こんな感じで」「だいたいこれで」「わかってますよね」は通じません。だってメンバは一度もあったことがない南アフリカやボツワナの人なんですもの。「こんな」も「だいたい」も土地によって違います。それじゃ期待する成果物はあがってきません「お前がはっきりしないから悪い」とメンバに言われてプロジェクトは大破します。
つまり、明確な文章を書けない人、概念などをわかりやすく文章で説明できない人は、「仕事ができない人」と言われてしまうことが増えているわけです。
日本の人の書く文章は、たとえプロが書いた物でも行間を読ませる様な物が少なくなく、一体何が言いたいかわかりません。これでは「あいつは仕事ができない」と言われてしまいますね。
多様なメンバーが集まる仕事で必要なのは「読書感想文」ではなく、「竹で割った様な明瞭さ」なのです。
おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)
登録はこちらNTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。