6月12日から14日までの3日間、幕張メッセでデジタルサイネージジャパン(DSJ)が開催された。インターネット技術の国際カンファレンスであるInterop Tokyo(インターロップ)と併催する形で2009年から開催され、その他のIMC(Interop Media Convergence)、スマートデバイスジャパン(SDJ)、ロケーションビジネスジャパン同時開催イベントと合わせて、期間中は約13万人の入場者数があった。
デジタルサイネージそのものは、デジタル技術を使ってタイムリーに情報を提供するインフォメーションシステムとして、薄く大きく美しく、屋外でも見やすくなったディスプレイと共に注目されてきた。ここ数年は目を引くような新技術は特になかったが、一方で低価格化やサービスのバリエーションが増え、普及のすそ野は広がっている。特にクラウドを使って表示するコンテンツを短時間で編集できるサービスは操作が簡単で、売り場の状況や天気に合わせて表示する内容をネット上で編集できるなどのメリットがある。
利用できる機器もデジタルサイネージ専用の高価なものから、既存のディスプレイを応用したりタブレット、スマートフォンを活用したも低コストなものが登場している。その一つ、ソフネットジャパンの「サイバーサイネージ」は、Androidを組み込んだUSBメモリ型の専用スティックを既存のディスプレイに挿し込んでデジタルサイネージ化し、表示内容もクラウドから操作できるというサービスを提供している。場所もとらず、従来の紙のポスターなどに比べると注目度が高まることから、導入したアパレルショップでは実際に売上げにも貢献しているとのことだ。
▼ソフネットジャパンの「サイバーサイネージ」(冒頭の画像)はAndroidが組み込まれた専用スティックをディスプレイの背面に直接挿し込んで使う。
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スマートフォンやタブレットだけでは画質的に問題があると言われているところを、あえて低価格サービスと使いやすさを打ち出して出展していたのがサウンドグラフジャパンの「You Frame」だ。表示の制御からコンテンツ制作までタブレットやスマートフォンでできという技術で、専用デバイスを使って制御する仕組みになっている。テレビ放送の周辺にデジタルサイネージ技術で情報を表示するYou Feame TV というサービスもあり、開発している韓国企業によると日本での紹介は今回が初めてとのことだ。
▼サウンドグラフジャパンの「You Frame」はタブレットやスマートフォンで一括操作できるのが特徴。
技術的なところでは、ソニービジネスソリューションのブースでは、HDカメラと最先端の顔認識技術を組み合わせたインタラクティブサイネージ「MITENE」が展示されていた。ディスプレイの前に立った人の顔を瞬時に認識し、体形に合わせて着せ替えさせるというデモだったが、認識と表示の早さもさることながら、イラストの精度も高く、会場内で別途展示されていた4Kデジタルサイネージなどの高精細度映像に対応できる仕様も、今後開発されていきそうだ。
▼ソニーが得意とする顔認識技術を応用したデジタルサイネージ。カラダのサイズにきちんと合わせてデジタル着せ替えがリアルタイムでできるという新しい技術。
【参照情報】
・デジタルサイネージジャパン 2013
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登録はこちらフリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。