ボーダフォン、1300億ドルでベライゾン・ワイアレス持株売却に合意(WSJ報道)
2013.09.02
Updated by WirelessWire News編集部 on September 2, 2013, 06:48 am JST
2013.09.02
Updated by WirelessWire News編集部 on September 2, 2013, 06:48 am JST
ボーダフォン(Vodafone)が保有するベライゾン・ワイアレス(Verizon Wireless)株式の譲渡をめぐって協議を続けてきたボーダフォンとベライゾン・コミュニケーションズ(Verizon Communications)との交渉が成立したとWSJが米国時間1日に報じた。なお正式な発表については、両社それぞれの取締役会の承認を経て、米国時間2日にも行われる見通しだという。
同紙によると、ボーダフォンはベライゾン・ワイアレスの45%を1300億ドルで売却することでベライゾン・コミュニケーションズと合意。支払いの条件については、現金と株式がほぼ半々になるとともに、ベライゾンが銀行団からの融資により、600億ドル程度の資金を確保することになるなどの関係者の話も記されている。また銀行団にはJPモルガン(JPMorgan)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America Corp)、バークレイズ(Barclays)、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)が参加するという。
1300億ドルという買収額は、1999年にボーダフォンが行った独マンネスマンAG(Mannesmann AG)の買収(1720億ドル)に続いて歴代2番目の規模となる。ただし、ベライゾン・コミュニケーションズがすでにベライゾン・ワイアレスの経営権を握っていることから、既存の顧客にとって大きな影響ははなく、規制当局による承認も比較的容易に下りると見られる。
両社の間ではこれまでもベライゾン・ワイアレスの合弁解消をめぐって交渉が持たれているとする話が何度か浮上していた。ただし、それぞれが希望する買値と売値の間に大きな隔たりがあったことや、ボーダフォン側での株式売却益にかかる税金処理の問題などがネックとなり、具体的な合意には至っていなかった。しかしここにきて、ソフトバンクによるスプリント(Sprint)買収など、米携帯通信市場での競争がさらに激化しつつあることや、資金借り入れにかかる金利の上昇などから、この合弁解消に向けた議論が改めて活発化していると伝えられていた。
この合意により、ベライゾン・コミュニケーションズではベライゾン・ワイアレスを100%子会社化することになり、配当金支払に関わる負担(昨年度には合計約70億ドル)を軽減できるなど、経営全体についてより大きな裁量が得られることになる。またボーダフォンにとっては、同社が注力する欧州での基盤固めや事業拡大に使える多額の資金を手にすることになるいっぽう、これまで利益の大きな柱となってきたベライゾン・ワイアレスに代わる新たな収益減を早急に確保する必要も高まるとみられている。ただし、すでに一部の株主の間からは特別配当による利益還元を求める声も上がっているとされ、また弱体化するボーダフォンがAT&Tなどから買収の対象とされる可能性もあるとの見方も一部で出ていることなどから、経営陣としては微妙な舵取りを迫られることになる可能性も高い。
[What the Big Verizon-Vodafone Deal Means - Bloomberg]
【参照情報】
・Vodafone, Verizon Agree on $130 Billion Deal - WSJ
・Verizon Said to Agree to $130 Billion Vodafone Wireless Deal - Bloomberg
・Verizon, Vodafone reach deal on $130B Verizon Wireless deal - ZDNet
・Vodafone, Verizon boards to meet & decide on $130 billion sale of Vodafone stake in Verizon Wireless - GigaOM
・Vodafone reaches $130 billion deal to sell Verizon Wireless stake to Verizon, WSJ says - The Verge
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