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富士山Wi-Fiプロジェクト:外国人旅行客にとってのWi-Fiの重要性

2014.01.06

Updated by Hitoshi Sato on January 6, 2014, 13:30 pm JST

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(cc) image by TUNG3104

2013年12月26日、山梨県と静岡県は両県にまたがる富士山周辺のWi-Fi(公衆無線LAN)を推進する産官民協働のプロジェクト「Fujisan Free Wi-Fiプロジェクト」の発足を発表した。山梨県では外国人観光客が無料でインターネット接続可能なWi-Fiスポット整備を全県的に推進する「やまなしFree Wi-Fiプロジェクト」を2012年1月に発足しており、2013年7月には無料Wi-Fiスポット1000カ所の整備を達成し、外国人観光客向けに観光情報などを配信する「Tourist Information」の運営を開始している。今回の取り組みは、富士山の世界文化遺産登録および東京オリンピック開催決定に伴い増加する外国人観光客の受け入れ水準を向上すると共に外国人観光客の滞在や周遊を促進することを目的に、両県が富士山に隣接する自治体として協力体制を確立するもの。県レベルの自治体が主体となり、多様なサービスを提供する企業等と連携・協働してWi-Fiを活用し地域活性を目指す取組みは日本初となる。

Fujisan Free Wi-Fiプロジェクトは全体のコントロールや観光行政との連携を山梨県と静岡県が実施しており、外国人観光客が利用する民間施設などにWi-Fiサービスを提供する提携企業としてNTT東日本(山梨支店)、NTT西日本(静岡支店)、エレコム、サントリーフーズ、サントリービバレッジサービスおよびアサヒ飲料とタケショウの共同事業体が参画している。

「Fujisan Free Wi-Fiプロジェクト」では9カ国語(英語、簡体中文、繁体中文、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、インドネシア語、日本語)で情報発信されている。

無料Wi-Fiスポットが少なくて困っている外国人観光客

2011年に観光庁が実施した外国人観光客向けアンケートで、旅行中に困ったことの第1位が「無料スポットがないこと」だったそうだ。現在は日本でもだいぶ無料でWi-Fiを利用できるスポットが増加してきているが、それでもまだ諸外国と比べると少ない。さらに使い勝手があまり良くない。

我々日本人も仕事であれ、観光であれ海外に行って無料でWi-Fiに接続できるスポットがあれば、料金を気にせずに安心してインターネットにアクセスができる。それは海外から日本にやって来る観光客も同じである。

まして外国人旅行者の多くは日本の通信事業者が提供しているような海外ローミングのパッケージ化された料金プランに加入してないことが多い。さらに日本では海外のように外国人が日本に来て気軽に購入できる「データ通信専用の安価なプリペイドのSIMカード」を探すことも大変である。すなわち、外国人旅行者にとって日本でのインターネットアクセスが無料(または安価な)Wi-Fiに依拠せざるを得ないということが非常に多い。そして無料でWi-Fi接続できない国は不便で非効率的だから行きたくないと思ってしまう。

最近は日本人から見ると東京などの大都市周辺では無料でWi-Fiを利用できるスポットが急増してきている。しかしそれらを外国人の立場になって使いこなせるかというと、まだまだハードルが高い。

2020年の東京オリンピック誘致に向けて「おもてなし」という言葉が2013年の流行語の1つになった。日本ではすでに多くの「おもてなし」で外国人観光客を歓待しているといえるだろう。しかしどれだけ「おもてなし」を受けても、「日本って確かにいい国だよね。でも無料Wi-Fiが使えないんだよね。スポットもないし。使い方はよくわからないし。困ったよ」という評判が諸外国で立ってしまってはどうしようもない。

外国人観光客にとって「無料Wi-Fiの提供」はその国を訪問する際に「水がきれい」や「治安がよい」のと同じくらい重要な基準になっている。これからも日本全国で無料Wi-Fiが普及し、外国人観光客にとって便利で訪問しやすい国になることが期待されている。そして外国人観光客の目線になって周囲を見渡してみると、まだまだ改善の余地があるものが多いかもしれない。

【参照情報】
山梨県・静岡県連携による産官民協働「Fujisan Free Wi-Fiプロジェクト」発足について
Fujisan Free Wi-Fi Project Official Website

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。