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中国のスマートフォン市場でサムスンを抜いた地場メーカーXiaomi(小米)

2014.08.25

Updated by Hitoshi Sato on August 25, 2014, 18:30 pm JST

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調査会社Canalysは2014年8月4日、2014年第2四半期(4〜6月)における世界と中国のスマートフォン出荷台数を発表した。全世界でのスマートフォン出荷台数は2億9,240万台で、前年同期に比べ23%増加。このうち中国での出荷台数は1億850万台で、世界市場全体の37%を占めた。

中国市場では地場メーカーXiaomi(中国)が前年同期比240%増の1,500万台を出荷し、サムスンを抜いて中国のスマートフォン市場で初の首位となった。一方でサムスン(韓国)は同15%減の1,320万台で、2年半ぶりに首位の座を明け渡した。次いでLenovo(中国)1,300万台、Yulong(中国)1,270万台、Huawei(中国)の1,190万台だった。

▼表1:中国での2014年第2四半期におけるメーカー別スマートフォン出荷台数とシェア
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(Canalys発表資料を元に筆者作成)

中国のスマートフォン市場では上位10社のうち8社が中国の地場メーカーだった。Xiaomi、Lenovo、Yulong、HuaweiとBBK、ZTE、OPPO、K-Touchの8社である。これら8社での合計出荷台数が7,070万台で65%のシェアを占めた。

グローバルメーカーはサムスンとAppleの2社がトップ10にランクインした。Appleの出荷台数は680万台でシェア6%。中国のスマートフォン市場は、ほぼ地場メーカーが抑えていることが伺える。Xiaomiが中国市場においてiPhoneを抜いたということが先日話題になっていたが、Xiaomiのシェア(14%)はiPhone(6%)の2倍以上で、遠く引き離している。

Xiaomiはフラグシップモデルの「Mi」シリーズと廉価版モデルの「Redmi」シリーズがあり、特に「Redmi」シリーズの販売が好調である。このままの勢いでサムスンや他メーカーを引き離すのか。これからは他メーカーもXiaomiに「追いつけ追い越せ」を目指して、端末を市場に投入し、キャンペーンを行ってくるだろう。

なおXiaomiの出荷台数のうち97%は中国本土である。Xiaomiは東南アジアやインドなどへ進出を始めた。今後Xiaomiは中国国内での販売だけでなく海外での比率を高めることが期待される。

またサムスンは中国のスマートフォン市場では地場メーカーXiaomiに首位の座を引き渡し、インドの携帯電話市場でも地場メーカーMicromaxに抜かれて2位になった(インドの携帯電話出荷でサムスンを抜いた地場メーカーMicromax)。世界的にサムスンの出荷台数、シェアも減少している。中国、インドという世界の2大国で地場メーカーが台頭し、グローバルメーカーが凋落していく傾向があることも重ねて注目される。

▼表2:中国での2014年第2四半期と前年同期比のスマートフォンメーカー別出荷グラフ。Xiaomiが急成長していることがわかる。
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(出典:Canalys)

【参考動画】
NFC機能が搭載されていることを訴求するXiaomiの広告。コモディティティ化されたスマートフォン市場では「機能による差別化」の訴求が求められている。

(参照)
Xiaomi becomes China's top smart phone vendor

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。