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次のポスターまで生き延びろ!

2014.02.07

Updated by Kenji Nobukuni on February 7, 2014, 11:15 am JST

2月1日、東京都調布市の総合防災安全課会議室にて総務省関東総合通信局主催で「ICT地域防災情報支援システム」の「調布市フィールド試験」が公開された。首都直下型地震発生時の被災地における情報流通について、仕組みを提言することが目的。どこへ避難すればよいか分からなかったり情報がないといった状況を回避し人々を避難させることが目的のシステムで、発災初動期のローカル情報を流通させる試みとのことだ。

実際に避難する集団が京王線布田駅近くから近くの避難所を徒歩で目指すも、住宅倒壊で通行できないことをこのシステムで知り、第二目的地に向かう途中で車両火災を知り、最終的な目的地まで住宅火災や雑踏などを避けながら非難するというオンライン・オリエンテーリング大会がSkypeの映像で中継された。

こうした場合に備えて、ツイッター社が自治体と組んで、情報の雑音の中で伝えたい情報を市民に伝える取り組みがあるが、この総務省の実験では「最も普及にしているSNS」ということでLINEが採用されている。

情報を集める仕掛けはこうだ。予め行政機関がアサインした、「情報団」というリテラシーが高くてデマを拡散させそうもない信頼できる人々をプールしておく。いざ災害が発生すると、情報団はLINEやツイッターに流れる有象無象の情報の中から信頼に足りるものを弁別して、このシステム専用のコンテンツ・サーバーに登録する。これを被災者や地域メディアに流すのだ。

情報を受け取る側は、「ネオポスター」というものを使う。予めスマートフォンにアプリをインストールしておいて、コンビニや郵便局、バス停などに掲示されているネオポスターを撮影すると、その地域の情報をスマートフォンに落とすことができる。QRコードで十分なように思えるかもしれないが、暗くても使える点が全然違うのだそうだ。

▼「「ICT地域防災情報支援システム」の仕組み(報道発表資料より)
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訓練では、避難グループは、引率の人に情報の取り方などを指導されながら、つつがなく仮想の火災などを迂回して無事に避難することができた。

行政が地域情報の収集と選別に関心を持つことは素晴らしい。ただ、いくつかクリアすべき条件があるだろう。

まず、震災発生直後なので、恐らく移動体通信網は輻輳している。停電も覚悟しなければならないだろう。皆が使うのであれば、予めネオポスターの意味を知っておいてもらう必要があり、これには相当のコストがかかるだろう。そもそも、専用アプリがあるのに、コンビニや郵便局を探してネオポスターを見つけなければ使えないという仕様では、次のネオポスターの手前で災難が待っているかもしれない。

提供される情報の元は一般住民のSNSでの発言だが、彼らは情報を発信する一方で、避難を勧告されることはない前提となっていた。そもそも火災を見つけたら写真を撮ってSNSに書き込む前に消防に連絡するはずだが、消防署への緊急通報は麻痺していて、セルラーは生きているということが前提で作られているようだ。

まだまだこれから提言していくという段階のようなので期待したいが、少なくともネオポスターに依存する点は見直しが必要だと思われる。

【報道発表資料】
「ICT地域防災情報支援システム」の調布市フィールド試験を公開

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来