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世界最大のメッセンジャーアプリ「WhatsApp」はどこを目指すのだろうか

2014.02.13

Updated by Hitoshi Sato on February 13, 2014, 01:09 am UTC

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2014年1月20日、世界最大のメッセンジャーアプリ「WhatsApp」の月間のアクティブユーザ数が4億3,000万人を突破したと同社CEOのJan Koum氏が明らかにした。2013年12月に4億に達したので、1か月で約3,000万増加している。

Jan Koum氏によると、1日に180億通のメッセージが受信され、360億通のメッセージが送信されるとのことである。「LINE」や「KAKAO」など競合サービスがゲームなどを提供し、事業の柱にしていく中で、今後も自社の事業をメッセンジャーサービスにフォーカスしていくとも述べた。「WhatsApp」では広告も表示していないことから、そこからの収益もなく、同社は今後も広告の掲載を検討していない。そして「成長している企業にとってのプライオリティは信頼できるサービスを提供することであり、10年、20年、50年後に向けて成長を続ける」とJan Koum氏は述べている。

日本ではメッセンジャーアプリは圧倒的に「LINE」の人気が高く、「WhasApp」は目立たないが、欧米での存在感は非常に大きい。「What's Up (どうしてる?) 」と「App (アプリ)」を兼ねたジョークで命名された。

「WhatsApp」は2009年5月に米ヤフーに約20年在籍していたウクライナ出身のJan Koumム氏とアメリカ人のBrian Acton氏の2人がカリフォルニアで設立した。その実績から「WhatsApp」はベンチャーキャピタルのセコイアキャピタルなどから2011年4月には800万ドル調達している。また2012年11月にはFacebookが、2013年4月にはGoogleが10億ドル規模で買収するとも報じられたことがある。

AndroidやiPhone以外にもWindows Phone、BlackberryのほかにNokiaのS40、Symbianでもサービスを提供している。今でこそAndroidやiPhoneがスマートフォン市場では90%以上のシェアを占めているが、「WhatsApp」が登場した2009年当時は、欧米ではNokia S40やSymbian OSのスマートフォン(Nokia製)を利用している人が多く存在し、当時から彼らのSMS(ショートメッセージ)に代わるメッセンジャーアプリとして登場したのが、欧米での人気の秘訣であろう。

「WhatsApp」は最初の1年は無料で、それ以降は0.99ドル(年)かかる。いわゆる毎年の利用料金を徴収するビジネスモデルである。それでもSMS(ショートメッセージ)の料金に比べれば遥かに安い。仮に4億3,000万人が2年目以降に0.99ドルを支払っているとすれば、それだけで年間で最大約4億ドルの収入になる。

「WhatsApp」はコミュニケーションのツールとして提供されており、「LINE」や「KAKAO」のようにゲームやスタンプを提供してはいない。そして同社CEOによると、今後もその方針で展開していくそうだ。

現在、メッセンジャーアプリは世界中にたくさん存在している。競争が非常に激しく、まさに一寸先は闇である。他のメッセンジャーアプリは広告収入や、付随したゲーム、スタンプ販売などプロバイダーに応じてビジネスを展開している。 ユーザー側からはメッセンジャーアプリから自分や友人らが使っている利便性の高いアプリを選べる時代になってきた。そしてユーザーは移り気である。今よりいいものがあれば、すぐにそちらに変更するだろう。

スマートフォンの低価格化が進み、誰でもがスマートフォンを持てるようになると、かつて「WhatsApp」の強みだったAndroidやiOS以外の端末でも利用できるということも優位性を無くしてしまう。「WhatsApp」はいつまでメッセージのみの路線で事業を展開できるのであろうか。そして、これから「WhatsApp」はどういう方向に行くのであろうか。

【参照情報】
WhatsApp hits 430M users, CEO reveals

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。