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ミャンマー:カタール系Ooredooの進出に過激派仏教徒がボイコット運動

2014.06.17

Updated by Hitoshi Sato on June 17, 2014, 18:41 pm JST

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Image by dany13 (CC-BY)

ミャンマーでは、2013年6月にノルウェーのTelenorとカタールのOoredooの2社に通信事業者としての免許を発行した。免許期間は15年で900MHz、2.1GHzが付与され、2014年中にはサービスを開始する予定である。サービス開始に向けて各社では基地局設置やカスタマーセンターの充実など、既に動いている。

そのミャンマーで2014年6月、過激派仏教徒らがカタールのOoredooは「イスラム教国の事業者」であるということでボイコットを呼びかけている。ムスリムの国の通信事業者に免許を付与したことに対して、政府に抗議を行っている。

ミャンマーは人口の90%以上が仏教徒であり、さらに多民族国家である。軍事政権下では抑圧、弾圧されており自由に意見を言えなかった人々も多い。その反動なのだろうか、ミャンマーでは過激派仏教徒らによる事件のニュースをよく耳にする。今回の過激派仏教徒によるOoredooのミャンマーでの事業への反対もその延長線であろう。

Ooredooはカタールに本拠を置き、中近東やアジアを中心に世界中で事業を展開している通信事業者である。本拠地はカタールであるが、ミャンマーでの事業運営やサービスにイスラム教を感じることはない。同社ではミャンマーでの事業開始にあたって、1.5ドルの格安SIMの提供を予定している。さらに2016年までにミャンマーで30,000人の女性を雇用する計画も明らかにしている。また同社ではサッカー選手メッシのメッシ財団と提携してミャンマーで携帯電話を活用し健康や医療情報を提供する「モバイルヘルスサービス」の実施を計画している。

Ooredooのスポークスマンは、「全ての人は平等で、お互いに尊敬に値するものだと信じている。Ooredooの進出がミャンマーの人々へポジティブな影響を与えるようになれば、批判的な行動もすぐに消えるだろう」とコメントしている。

Ooredooはミャンマーに既に150億ドル投資しており、予定通り2014年第3四半期を目途にミャンマーでサービス開始する予定である。ミャンマーでの過激仏教徒らの矛先の多くはムスリムであるが、ミャンマー国内の宗教対立と多民族問題の動向は今後も同国でのビジネスにおいて注意しておく必要があるだろう。

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(Ooredooミャンマーのサイト。ローカライズされており、ムスリムを感じることは一切ない)

【参考動画】Ooredoo Myanmarの宣伝動画

【参照情報】
Nationalists call for Ooredoo boycott
Ooredoo plans to give telecom jobs and training to 30,000 women in Myanmar
Ooredoo to provide mobile health care in Myanmar

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。