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まぼろしの「25セント硬貨宅配サービス」

2014.07.03

Updated by Kenji Nobukuni on July 3, 2014, 12:00 pm UTC

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(cc) Image by rafael-castillo

アメリカのアパートなどでは各部屋には洗濯機や乾燥機を置くスペースがなくて、共同で使うものが設置されていることがある。街には、いわゆるコインランドリーもたくさんある。自動販売機のように硬貨を入れて使うのだが、1ドル硬貨は余り流通していないため、使用するのは25セント硬貨だ。スロットが並んでいて、そこに金額分の25セント硬貨を立てて並べ、スロットごと奥へ押し込むという日本ではまず見かけない形状の硬貨挿入口が洗濯機や乾燥機についている。

ウォッシュボード(Washboard)、つまり洗濯板という名前のスタートアップが6月19日に開始したサービスは、14.99ドルで10ドル分の25セント硬貨(クォーター)40枚を販売してくれるサービス。あるいは、26.99ドルで20ドル分の硬貨80枚を宅配してくれる。

洗濯物の入ったカゴや袋を持ってアパートの部屋を出て、階段を降りて洗濯機のところへ行き、洗濯物を洗濯機に入れて、財布を開いたらコインが足りないと気づいたら、相当がっかりするだろう。洗濯に備えてコインを準備するためには、つり銭で得た25セント硬貨を温存して、買い物で使わないように注意していなければならないし、洗濯する日が迫っているのに硬貨の数が足りないと、どうやって入手するか考えなければならない。そのために無駄な買い物をすることもあるだろう。ウォッシュボードのコイン宅配は、そんな人のためのサービスだった。

銀行に行って列に並んで両替してもらう時間と手間が、5ドルまたは7ドルの差額の価値ということだろう。そもそもアパートで洗濯をするのは夜や週末のことが多いので、銀行は閉まっている。クレジットカードやデビットカードの普及で現金を使う機会が減って、硬貨のお釣りをもらうチャンスも減っている。誰かが困っていれば、商売のネタになるということなのだろう。

このビジネス、ごく少数ながら実際の顧客も獲得したらしい。CNETやTimeなどさまざまなメディアにも取り上げられ、注目が高まった。しかし、メディアの反応は、現金を買わせて差額で儲けるなんて馬鹿げているというものばかり。2人の友達が構想1年弱でローンチにこぎつけたものの、問い合わせが殺到して、その対応にうんざりしてしまったようだ。残念なことに、開始から1週間でサービスはシャットダウンされてしまった。

洗濯物のカゴを持って微笑む女性をフィーチャーしたトップページは、もう見ることができない。

【参照情報】
Washboardのウェブサイト(シャットダウン中)
Startup Washboard sells $10 of quarters for $15
Finally, a Subscription Service for Laundry Quarters

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来