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"公共の資産で商売するべからず"iOSアプリ「モンキー・パーキング」に停止命令

2014.07.04

Updated by Kenji Nobukuni on July 4, 2014, 10:00 am JST

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(cc) Image by torbakhopper

モンキー・ビジネス(monkey business)というのはインチキ(不正)のことだが、イタリアはローマのスタートアップが作ったモンキー・パーキング(Monkey Parking)というiOSアプリに対し、6月23日にサンフランシスコ市・郡の法務官から停止命令が出た。

モンキー・パーキングは公共の駐車スペースを一般人であるアプリ利用者がオークションにかけるというもの。パーキング・メーターの設置された路上の駐車スペースなどは、空いている時間に偶然通りかからない限り、停められるとは限らない。昼間のダウンタウンともなれば、空いている場所に遭遇するのは幸運と言ってもいい。もし、すでに停めていて間もなく離れようとする人のいる場所が分かったら、駐車料金とは別にちょっとくらい払ったって構わない。そう思う人がターゲットの無料アプリだ。駐車違反でチケットを切られた場合の罰金を考えれば少しの差額など気にならないのかもしれない。

Monkey Parking
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また、ラッキーなことに公共の駐車スペースに停めることができた人にとっては、その場を去るに当たって、次の人がアプリで決まるとともに、ちょっとしたお金も手に入る。停める時に払った余分なお金を少しは回収できるかもしれないし、場合によっては差額で儲かってしまうかも知れない。無料のスペースを出品した場合であれば、落札されれば必ず儲かる。ローマとサンフランシスコ以外では使えないが、サイトで希望者を募って次の街を決定するつもりのようだ。

このアプリ、公共の資産を競売にかけること──公共の駐車場所を賃貸契約すること──に当たるため、これを幇助するアプリの提供会社も、競売参加者も違法行為で罰金刑に処せられるそうだ。アップル社にもアプリの削除が求められているとのこと。

【参照情報】
Monkey Parkingのウェブサイト
Monkey ParkingのiTunesのページ
サンフランシスコ市・郡法務官の文書

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信國 謙司(のぶくに・けんじ)

NTT、東京めたりっく通信、チャットボイス、NECビッグローブなどでインターネット関連の事業開発に当たり、現在はモバイルヘルスケア関連サービスの事業化を準備中。 訳書:「Asterisk:テレフォニーの未来