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「ガラケーの奇跡」からの・・・:携帯電話の防水機能と危機管理

2014.08.11

Updated by Hitoshi Sato on August 11, 2014, 09:00 am JST

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Image: by Mathew Ingram(CC-BY)

AKB48チームKのメンバー鈴木紫帆里さんが2014年7月22日に「Google Plus」で以下のような投稿を行っていた。携帯電話の防水機能と危機管理を考える上でストーリー性があって興味深い。

まずは7月22日10:31に【悲報】と題して、4年以上使っていたご自身の携帯電話(ガラケー)が水没してしまったことを報告している。このような経験をしてしまったことがある人は多いだろう。

上の書き込みの約30分後の11:02には「ガラケーの奇跡!!!!!」という書き込みで、水没してしまった携帯電話が復活したことを報告している。

防水対応携帯電話では、電池のフタが開いていても、電池が結構密着していて水を防ぐ場合がある。まさにこのような「奇跡の生還」をすることがある。防水対応の携帯電話、スマートフォンであれば、水没してしまったからといって諦めずに早めに対処してみると良い。

鈴木さんのGoogle Plusによると、水没した携帯電話にドライヤーをかけたり、振ってみたようだ。このようなことをする人は実際に多いだろうが、これらは少しでも基板や部品を水分に触れさせないという意味では、少しは効果があるかもしれないが、それ程大きな効果は期待できない。
いずれにしても、その時は良くても、数週間~数か月後に中の基板や部品が腐食して壊れることがあるので、なるべく早めにデータのバックアップと修理に出すのが良い。なお純粋な水ではなくて、海水や飲み物など不純物を含んでいる場合は、乾燥して不純物が結晶になることで更に悪化、腐食する場合がある。これから海水浴に行く人たちは注意が必要である。

但し、防水対応携帯電話・スマートフォンでちゃんとキャップを閉めていても水濡れすることがあるので注意が必要だ。例えば、水道の蛇口を全開にして洗うと、水圧が強すぎて浸水する。またプールで手に持って泳いだ(水の中をかく)場合も同様である。最近のゲリラ豪雨のような強すぎる雨も危ない。

また端末の防水機能はパッキンと両面テープで止水しているが、洗剤に含まれている界面活性剤はこれらを弱めたり劣化させるのでお風呂に入る時に一緒に携帯電話を洗ったりすると危険である。更に、真夏の車のダッシュボード等のような高温な場所に長時間置くと、同じく劣化が早まってしまうので注意が必要だ。特に夏は防水携帯の故障になる要因の多い季節である。

日本の携帯電話はたしかに強い。特に防水機能は世界に先駆けて取り入れられた機能である。防水機能に関してはガラケーでもスマートフォンでもその機能性と強さは同じである。

富士通製の「らくらくホン」は震災から2年経過して発見されて入電してみたところ、電源が入り、携帯電話でのメールのやり取りがそのまま残っていたこともある(参考:震災から3年、携帯電話の防水機能技術力の凄さ)。

ところが、2日後の7月24日には以下のような投稿があった。

鈴木さんによると、「電池がありませんという名の電池パックoutによりガラケー死亡。。」とのことである。「電池がありません」というのが、充電機能に問題があったのか、電池の在庫がなかったのか、文脈から読み取ることができないが、せっかく「奇跡の生還」を果たした4年以上利用していた携帯電話が使えなくなったようで、残念な話である。

それでも最終手段として別のスマートフォンで投稿は可能だったようである。「ケータイ3台持ってて助かった」と、さすがアイドルである。最初の投稿では「マネージャーからの
連絡もLINEとかにしてもらわなきゃー」とあった。危機管理対策は万全のようだ。

水没しても「いざという時の連絡手段」を複数保有していないことから、音信不通になってしまうことはよくあることだ。アイドルのように3台も携帯電話を保有している人は、そんなにたくさんいないかもしれないが、防水対応だからといって油断することなく、いざという時のコミュニケーション手段は確保しておくと良いだろう。

【参照情報】
NTTドコモ:携帯電話の故障を防ぐために
鈴木紫帆里さんのGoogle Plus

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。

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