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Google、韓国にアジア初のスタートアップ支援「キャンパス・ソウル」設立へ

2014.08.29

Updated by Hitoshi Sato on August 29, 2014, 15:15 pm JST

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2014年8月27日、Googleは韓国ソウルにスタートアップ支援のための教育やネットワーキング専用スペース「キャンパス・ソウル」を設立することを同社ブログで明らかにした。Googleの「キャンパス」は2012年3月に設立されたイギリスの「キャンパス・ロンドン」、2012年12月に設立されたイスラエルの「キャンパス・テルアビブ」に次ぐ3か所目で、アジアでは初となる。他にはポーランドのワルシャワ、ブラジルのサンパウロにも設立する予定がある。Googleは世界中でスタートアップの支援を行おうとしている。

Googleと韓国政府の関係は2006年から続いており、「キャンパス・ソウル」の設立は2013年4月に韓国を訪問したGoogleの共同創業者でCEOのラリー・ペイジ氏と朴槿恵大統領との会談を機に本格化した。「キャンパス・ソウル」は2015年に完成を目指しており、スタートアップにはGoogleの専門チームがアドバイスを行う予定。投資家や他のスタートアップや、ロンドン、テルアビブにある「キャンパス」とのネットワーキングも用意されている。

「Google自体がガレージのスタートアップから始まった企業であるから、スタートアップを支援するのは我々のDNAだ」とGoogleはブログで語っている。2012年3月に設立された「ロンドン・キャンパス」では設立1年で約7万人のスタートアッププログラムを支援し、274社が号駅3,400万ポンド(5,620万ドル)の出資を受けた。

韓国はサムスンや現代など少数の輸出型大企業は比較的堅調だが、中小企業の育成が遅れていると指摘されていた。それを受けて2014年1月に公表した「経済革新3カ年計画」において2014~17年にスタートアップ育成に約4兆ウォン(約4,000億円)を投じることを明らかにした。朴大統領は輸出と内需の均衡のとれた経済成長を推進するためにはスタートアップの育成が重要な役割を果たすと説明し「新しい発想とパラダイムによる創造経済を実現しなければ韓国に未来はない」と述べた。Googleのスタートアップ支援に対する期待も大きいであろう。

韓国では検索エンジンはNAVERの人気が高いが、スマートフォンのOSは約90%がAndroidである。Googleもモバイル分野でのスタートアップに期待しているようだ。「キャンパス・ソウル」からどのようなスタートアップが登場するのだろうか。

【参照情報】
Googleブログ" Coming Soon: Campus Seoul!"
Google is opening a Campus in South Korea to 'supercharge' the startup scene in Seoul
Google to Open "Campus Seoul" Next Year
Google to open Campus Seoul for startups in H1 2015

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。