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[2014年第38週]格安SIM新時代! iPhoneめぐり価格競争再燃、マラソンにBeacon?

2014.09.22

Updated by Naohisa Iwamoto on September 22, 2014, 15:00 pm UTC

新型iPhoneの発売に向けて大騒ぎだった1週間。しかし、ニュースはiPhoneだけではなく、多岐にわたった。iPhoneの話題に隠れがちながら、通信サービスの料金に一石を投じることになる可能性があるのが、インターネットイニシアティブ(IIJ)の格安SIMのデータ通信量倍増の話題だ。月額1000円以下で2GBのデータ通信量が扱えるようになるため、大手キャリアの料金が割高であることが鮮明になる。新型iPhoneもSIMロックフリー端末が当初から発売される時代になり、格安SIMの存在がますます大きくなっていきそうだ。

IIJmioがデータ量倍増、ドコモはiPhoneもVoLTE対応へ

まずはその格安SIMの話題から。IIJは、いわゆる格安SIMサービスの「IIJmio 高速モバイル/Dサービス」で、月額料金は据え置きのまま、毎月SIMカードに割り当てられるバンドルクーポンを約2倍に増量する。「ミニマムスタートプラン」では、現在の1GB から2GBへ、「ライトスタートプラン」では2GB から4GBへ、「ファミリーシェアプラン」では3GBから7GBへ増量する。また、100MBあたり現行では324円(税込)の追加クーポンを、216円(税込)に値下げする。

これまで格安SIMでは月間のデータ通信量が少ないことが利便性を損なうことがあった。しかしIIJは972円(税込み)で2GBのデータ通信量を用意することで、大手キャリアの新料金プランが用意する最低料金のパック(月額3500円)と同量の通信が格安で可能になった。IIJの施策により使い勝手が大幅に向上する格安SIMに対して、同業他社の追随や大手キャリアの対抗策といった動向が注目される(報道発表資料:IIJ、「IIJmio高速モバイル/Dサービス」において高速通信用のデータ量を大幅増量)。

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続けて、キャリアのニュースを紹介する。NTTドコモは、都内で「ドコモのネットワーク戦略に関する説明会」を開催し、ネットワークでは「広さ」「速さ」「快適さ」の3つをポイントとして、LTE拡充の施策を進めていることを強調した。その1つがエリアの広さで、LTE基地局を2014年度末までに9万5300局設置し、11万局のFOMAとほぼ同等にする計画だ。また発売を間近に控えたiPhone 6/iPhone 6 Plusでも最大45MHzの帯域幅でLTEサービスを提供するとともに、VoLTEによる音声通話の提供を予定していることも明らかにした(関連記事:ドコモ、新型iPhoneでVoLTE対応へ、225MbpsのCAは2014年度内開始)。

ソフトバンクモバイルは、同社が提供する新料金プラン「スマ放題」の「データくりこし」などの提供条件を変更する。「データくりこし」では、これまで併用できなかった「家族データシェア」「U25ボーナス」との併用を可能にした。またデータ容量を使い切った後に購入可能な「追加データ」の利用期間も、「購入月の請求月末まで」から「購入月の翌請求月末まで」へと延長する(関連記事:ソフトバンクの「スマ放題」、家族でデータをシェアしていても「くりこし」OKに)。

一方、ワイモバイルは"値上げ"に踏み切る。MNPにより転出するときに必要なMNP転出手数料の値上げだ。2014年9月30日までの現状は、契約月数などにかかわらず2000円。これが10月1日から11月30日の期間は3000円になり、さらに12月1日以降は新規契約から6カ月以内にMNPを利用した解約を行う場合について6000円に引き上げる。MNPで転出することを目的にした契約を防ぐ狙いがある(報道発表資料:MNP転出手数料改定について)。

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新型iPhoneをめぐり、下取りキャンペーンなどの駆け引きが過熱

キャリアの話題といえば、iPhone発売に関連したキャンペーンなどの価格競争が激しい一週間だった。ソフトバンクモバイルは、他社からMNPで乗り換えて同社の新料金プラン「スマ放題」に加入すると、他社の端末を最大4万3200円で下取りする「のりかえ下取りプログラム」を実施する。また、「タダで機種変更キャンペーン」の割引額も増額するなど、同社内での機種変更も同時に促す(関連記事:ソフトバンク、MNPで他社の端末を最大4万3200円で下取りへ、機種変更キャンペーンも増額)。

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これについてソフトバンクは「新サービスに関する記者説明会」で代表取締役副社長兼COO 宮内 謙氏が説明に当たった。「のりかえ下取りプログラム」について、宮内氏は「ドコモに対抗して急遽発表した」「ドコモがソフトバンクのiPhoneユーザーをターゲットにした乗り換えを仕掛けてくるなら、我々はドコモのAndroidユーザーをターゲットにする」と明言した(関連記事:iPhone 6 / iPhone 6 Plus 価格戦略はドコモを意識 -ソフトバンクが説明会を開催)。

また、ソフトバンクモバイルは、グループ企業の米スプリントとの協業により、自社ユーザーが米国でインターネット利用や通話を日本国内と同じ料金で利用できる新サービス「アメリカ放題」を発表した。これまでは7日間のハワイ旅行で1日5分の通話をした場合、合計35分の通話と7日間の海外パケットし放題の合計で約1万9000円の通信費がかかったが、アメリカ放題では0円になる。月額980円のオプションサービスだが、当初はキャンペーンとして0円(申し込み不要)で提供する。キャンペーン終了後もスマ放題のデータ定額パック(データ量5GB以上)に加入している利用者については引き続き無料で提供する予定だ(関連記事:ソフトバンク、シナジー第2弾として米国の通話・ネットワークが使い放題の「アメリカ放題」を発表)。

iPhone関連のキャンペーンについては、各社が後出しジャンケンを続けている。NTTドコモは、他社のiPhoneを下取りし、ドコモのiPhoneに乗り換えたユーザーに対してiPhone購入代金を値引く「iPhone下取りプログラム」の適用範囲を拡大した。他社のiPhoneだけだった対象を、ドコモのiPhoneにも拡大し、対象購入機種についてもiPhoneを含むすべての機種に拡大した。

KDDIもMNPキャンペーン「auにかえる割 Plus」に、MNPの際に他社で利用していた端末を下取りする施策を追加した。「iPhone 5s」(64GBモデル)、「Galaxy S5」、「Xperia Z2」の場合で最大4万3200円相当のポイントをau WALLETカードにチャージする。また、「au携帯電話下取りプログラムの金額も、それぞれ7000円相当のポイントを増額した。

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ソニーのメガネ端末でマラソンの実験、新技術への挑戦

新技術や新端末を活用するニュースもあった。

メガネ型のウエアラブル端末とスマートフォン、Beaconなどを活用した新しいスポーツ情報の提供の仕組みが登場する。ケイ・オプティコムは、マラソンランナーが装着したメガネ型ウエアラブル端末に情報を自動的に配信するアプリケーション「グラッソン」(Glassthon)を開発した。走行タイムなどの情報や応援メッセージ、コース沿道周辺の観光情報などをランナーのメガネ型ウエアラブル端末に表示できる。グラッソンを使った実験は、10月26日に開催される大阪マラソン2014で実施する。端末にはソニーが発表したばかりのメガネ型端末「SmartEyeglass」を利用し、フルマラソンで効果を検証する(関連記事:ケイ・オプティコム、ランナーのメガネ型端末に情報を配信する「グラッソン」を開発、大阪マラソンで実験)。

グラッソンでも名前が登場したのは、スマートフォンと連携させることで、テキストやシンボル、画像などの情報を視界に重ねて表示可能なソニーの透過式メガネ型端末「SmartEyeglass」(スマートアイグラス)だ。搭載したCMOSイメージセンサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、電子コンパス、照度センサー、マイクなどのセンシング機能と、連携したスマートフォンのGPSによる位置情報などを活用して、ユーザーの状況に応じた情報を提供できる。ソフトウェア開発キット(先行リリース版)を9月19日から提供している(報道発表資料:透過式メガネ型端末『SmartEyeglass』を開発)。

決済で新しいBeaconの使い方を実践する動きも出てきた。GMOインターネットグループで決済事業を手がけるGMOペイメントゲートウェイは、スマートフォン決済サービス「GMO Pallet」で、アプリックスIPホールディングスが提供する「Beacon」製品に対応したiPhoneの「かざす決済」を提供開始した。「GMO Pallet」は、東京都渋谷区の道玄坂周辺エリアの飲食店を中心にトライアルスタートしている決済サービス。チェックインと4桁の暗証番号の入力で決済が終わる。「GMO Pallet」導入企業は、アプリックスの新型Beacon「MyBeacon Pro 近接域特化型 MB004 At」を設置するだけで、iPhoneによる「かざす決済」が利用可能になる。かざす決済では、自動チェックイン後にBeaconに端末をかざすだけで決済がスピーディーに終わる(報道発表資料:スマホ決済サービス「GMO Pallet」が「Beacon」に対応 お財布いらずの『かざす決済』を提供)。

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また、多視点動画配信の新しいソリューションも発表されている。電通と電通国際情報サービス(ISID)が発表した「VIXT」(ビクスト)がそれ。インターネット上の動画をマルチアングルで切り替えられる多視点動画配信システムだ。従来、映像コンテンツは完パケと呼ばれる、パッケージ化された作品を見るのが一般的だったのに対し、VIXTではユーザーが自らコンテンツのアングルを自在に切り替えて見られるようにしている。また、VIXTのサーバーを通じて動画を再生すると、ユーザーがどのタイミングでどのアングルを選んだかがカラーバーとして記録され、後で繰り返し再生したり、他のユーザーとシェアすることもできる(関連記事:ユーザーが自在にアングルを切り替えられる動画配信システム「VIXT」を発表)。

昨年の第38週のできごと

・ドコモも遂にiPhoneを発売
・LTE高速化、プリペイド決済など新サービスへの動き
・学生を取り込むキャンペーン
・タブレットは急成長、スマホで操作できる知育玩具

[2013年第38週]新型iPhone発売、LTE高速化実験結果を公表、タブレットの出荷好調

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。