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あるいは局所型オープンイノベーションについて

2014.10.31

Updated by Satoshi Watanabe on October 31, 2014, 20:45 pm UTC

何をやっているのか良く分からない仕事、との言われ方を良くされる。また、仕事柄なのか、同じような言われ方をされる人が周りに少なからずいる、というか増えてきているように感じる。
これは、ひとつは年次が上がって企業内でも責任範囲が増えたり、独立するなりの動きを取った人が周りに増えていることがまずは一因であろう。事業責任や経営責任を負う、あるいは先行きを見据えての動きが期待されるといった役割が増えると、職務範囲はしばしば曖昧化する。単純に、**担当、といいにくくなる。
しかし、という年次と(組織内)責任だけじゃなくて、ビジネスのあり方、環境変化的なものも合わせて起きているのでは、というのがこのところ界隈で交わしている議論である。分かりやすくまとめると、放課後活動から始まる事業開発もある、という話になる。
■ 一社に閉じない事業活動の増加
はっきりとした統計なりは示しにくく、観測範囲のバイアスもあるが、企業活動が一社だけで閉じないケースが珍しくないというかもはや日常の風景になっている。
このような状況を生んでいる大きな動きはデジタル化の進展で、良く言う垂直型と系列型の産業構造から、水平分業型の産業構造になると、取引先や提携先は流動的に変化するようになる。今後の伸びが期待されるネットワーク化の進む機器分野(IoTなど)が分かりやすいところで、機器とネットワークは同一会社で提供される場面もあるが、むしろある程度信頼性のおけるプラットフォームを前提としてデバイスのみが作られるといったパターンの方が普通である。
プラットフォーム事業者の方は、こういった関連サービスや関連デバイスを担う事業者が活性化しないと何の役にも立たないことなので、こちらも単独自律では動けない。よって、互いに緩やかな合従連衡をしつつN対N対Nで近づいたり離れたりという企業間関係が当たり前になる。
いわば、特定の相手に限定せずに、でも互いに外部依存をすることが前提となっていると言える。
■ 稼働リソース面での外部依存ケース
企業間や事業構造レベルよりミクロな、個々人に近いところでのリソース期待においても外部依存的になっているケースは散見される。分かりやすいのが行政によるオープンデータの動きで、これもデータを出すはいいがサービス化されたり何がしか使われないと意味が無いところで、産業協力枠を除くと、市民側での恒常的な活動維持が暗に前提とされている。
鯖江市のケースのように、プラットフォーム部分を産業側がサポートするなど基盤運用面での新しい動きが出てきていたりもしているが、最終的には市民が自律的に利活用とサービス部分の運用メンテナンスを出来ないと継続した活動成果に繋がらない。オープンデータについては、この継続性設計をどのように行うのかとの議論に各所が推移しつつある。
■ 小さく育てるオープンイノベーションアプローチ
いずれにせよ、海のものとも山のものともつかないものも触りつつ、機会を選り分けて良さそうなものを掘り起こしていく作業を、多様なステークホルダー間で相互コミュニケーションしていくのがひとつの事業開発のアプローチ手法として台頭しつつある。
特に難しいのが、それぞれの産業内部(通信でもインターネットでもなんでも)を超えた動きが要されるところで、この部分がボトルネックになって上手いこと事が進まないという場面は珍しくない。
仲間内では、この手のボトルネック現象を戦略事務局不足問題とも呼称しているが、広義隠密(誤字は敢えて)との動きをどう出来るか、20%ルールといった盛り上がりもあったが、企業的にも筋のいい社員を上手いこと社内外に泳がせられるかが、一つの競争力源泉となってきているのではないか、との議論を交わしている。
事業機会というのは、これからは健全な放課後活動からやってくるのではなかろうか。

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渡辺 聡(わたなべ・さとし)

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任助教。神戸大学法学部(行政学・法社会学専攻)卒。NECソフトを経てインターネットビジネスの世界へ。独立後、個人事務所を設立を経て、08年にクロサカタツヤ氏と共同で株式会社企(くわだて)を設立。大手事業会社からインターネット企業までの事業戦略、経営の立て直し、テクノロジー課題の解決、マーケティング全般の見直しなど幅広くコンサルティングサービスを提供している。主な著書・監修に『マーケティング2.0』『アルファブロガー』(ともに翔泳社)など多数。