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ふつうの大学生が手書きでハイパーテキストを作ってみたら

2014.11.26

Updated by Ryo Shimizu on November 26, 2014, 02:41 am UTC

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 筆者が坂井直樹先生とともに受け持っている成蹊大学のデザインとプログラミングに関する講座も二年目を迎えました。

 昨日はその前半の締めくくりとして、学生達に貸与した手書きハイパーテキスト端末enchantMOONで、大学のある「吉祥寺」をテーマに作品を作った作品の発表会でした。

 例年通り、どれも力作揃いで、授業の内容をよく理解しているなと思ったのですが、彼らの作品をいくつか紹介させていただきたいと思います。

 今回は10人の学生が10作品を発表しました。

 全て紹介する余裕がありませんので、代表的なものをご紹介します。

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 まず、吉祥寺のオススメのお店をまとめた「吉祥寺グルメ」という作品(iOSのブラウザやchromeなどで見ることが出来ます)。
 普通にみると普通のコンテンツなのですが、トップページの右下のところに「SECRET CHOICE」という謎のボタンがあり、それを押すと質問形式でお店を紹介するモードになります。

 これがいきなり私を名指しして来たので、コンテンツとしては面白いのに媚びすぎてせっかくのコンテンツの魅力をスポイルしてしまったところが残念でした。

 しかしひとつひとつの質問やページも丁寧に作ってありよくできています。

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 おなじくグルメ系で「吉祥寺500円ランチ」もよく出来ていました。

 地図のキャプチャに効果的にハイパーリンクを配置して、それぞれのお店にジャンプする仕組みはさりげないものの、丁寧に作らないといけない部分です。

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 吉祥寺駐車場MAPは、作成したコンテンツがスマートフォンでも見れるようになることを利用した実用ツールです。

 吉祥寺にある駐車場を、料金別、駅からの近さ(利便性)別にまとめてあり、手作りのコンテンツならではの地域に密着した使い易さを指向した作品でした。プレゼンテーションもハイパーテキストで作られているところがさらに良かったです。

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 「吉祥寺デートPLAN」は、クリスマスに向けて彼女とのデートを吉祥寺でどのようにすればいいかを提案するコンテンツです。

 単なるグルメ紹介ではなく、ゲーム仕立てになっており、途中で「眠気から覚ませ」とか、「ラーメンの脂を除去しろ」などのミニゲームもあります。

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 特に眠気を覚ますゲームは、ただの連打ゲームでありながら絶妙な時間配分で実際に眠気がとれる感じがして好感が持てました。アイデアの勝利ですね。

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 「ぴょん太と一緒に夢の旅」は、絵本仕立てのコンテンツでした。

 物語性が練り込まれており、ミニゲームも入っています。
 キャラクター性も高く面白い作品に仕上がっていました。

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 坂井先生からも最も高い評価を勝ち取ったのは、「井の公へ行こう」という作品でした。これはTAとして同行したゴトー博士こと後藤君も唸った作品で、とにかく、情報の緻密さとゲーム性がこれでもかというくらいに盛り込まれた超力作でした。

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 クイズありゲームありマメ知識あり、で、クイズも選択式だけでなく自由入力も駆使して、とにかく原稿のenchantMOONでできそうなことは全て盛り込んだエンターテインメント作品に仕上がっていました。

 ここでは全てを紹介しきれませんでしたが、今回発表された作品は本当にどれも力作でした。

 今回、驚いたのは、私が出張で休講したため、一週間違えていて、「今日が発表じゃないんですか?」と先週聞かれた際、「あ、ごめん。一週間間違えていたよ。今日を発表にしてもいいけど」と聞くと、全員が「いや、だったらもう一週間、作品を作り込みたいです」と言って来たのです。

 昨年は私が提出期限を完全に忘れていて、学生からブーイングを貰ったのですが(今日のために徹夜したのに、と言われてしまいました)、今回はむしろ時間をかけてじっくり作品を作り込みたい、という意欲を見せられて驚きました。

 そしてenchantMOON自体が昨年より大幅にバージョンアップしているという前提はあるにしても、全員が強い熱意を持って作品を作ってくれたことにいたく感動しました。

 キーボード全盛の時代に敢えて手書きでハイパーテキストをプログラミングしたらどうなるか。昨年と順番を変えてまず手書きのハイパーテキストに習熟してもらってから、キーボードによる本格的なHTMLのサイト作りを教えてみようと思っています。

 概念としてどのようなことが表現できるか先に見せてから実際にHTMLやJavaScriptを使ったサイトを作るのと、昨年のようにHTMLを教えてから手書きのハイパーテキストを作らせるのと、どちらがより深い理解に繋がるか、私にもまだ確たることはわかりませんが、今回は興味の持続を重視して敢えて最初にハードルを下げてみました。

 来週から始まる本格的なHTMLとJavaScriptによるプログラミングに果たしてどれだけの生徒がついて来てくれるのか、そして彼らはそうしたより強力な武器を手に入れて、どのような表現をしてくれるのか、今からとても楽しみです。

 

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清水 亮(しみず・りょう)

新潟県長岡市生まれ。プログラマーとして世界を放浪した末、 '17年にソニーCSLとWiL LLC.とともにギリア株式会社を設立し、「ヒトとAIの共生環境」の構築に情熱を捧げる。 '17年より東京大学先端科学技術研究センター客員研究員を兼務。著書として「教養としてのプログラミング入門(中央公論社)」「よくわかる人工知能 (KADOKAWA)」「プログラミングバカ一代(晶文社)」など。