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スマホで「知の世界」にアクセス:インド通信事業者ideaのIdea Internet Network (IIN)

2014.12.26

Updated by Hitoshi Sato on December 26, 2014, 19:26 pm JST

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インドの通信事業者ideaのCMが興味深い。パン屋で働くインド人の少年がスマートフォンを使ってインターネットで学習して、ドローンを開発して表彰されるというストーリーである。ideaではスマートフォンを使って、学習をしてもらうことを訴求した「Idea Internet Network (IIN)」のキャンペーンを実施している。自社のideaと「アイディア」をかけている。

インドでもスマートフォンが急激に拡大しているが、それでもまだ携帯電話全体の出荷のうちスマートフォンが占めるのは30%程度である。スマートフォンの価格も低廉化しているので、これからますます拡大していくことだろう。特に若者の多くはスマートフォンを所有している。今回、ideaが「Idea Internet Network (IIN)」のキャンペーンで売っているスマートフォンも100ドル程度のスマートフォンである。実際には中古品やもっと格安のスマートフォンも市場には大量に流通している。

インドではMicromax、Karbonn、Lavaといった地場メーカーからも多くスマートフォンを出荷されており、もはやコモディティ化されている。そして、行き渡りつつあるスマートフォンを用いてインターネットにアクセスして「何をするのか」ということが重要になってきている。そこでideaでは「教育」というコンテンツを訴求しているのだ。

インドではまだパソコンからインターネットにアクセスする人は少ない。そのほとんどがモバイルからである。そしてスマートフォンの普及に伴って、一気にインターネットへアクセスできる手段が拡大した。

インドの多くの若者にとって初めてインターネットへアクセスするのはスマートフォンからという人はとても多い。スマートフォンはまさにインドの若者にとって「知への入り口」でもある。今まで接することがなかったような多くの情報、知識にスマートフォンでアクセスできるようになった。そしてこれからも多くのインドの若者はスマートフォンでインターネットにアクセスして多くの情報を得るようになるだろう。

「Idea Internet Network (IIN)」のキャンペーンの宣伝文句は「the greatest place to learn」である。つまり「学習するのに最高の場所」がインターネットなのである。現在は日本や先進国でもオンラインによる学習がちょっとしたブームになっているが、世界中でインターネットを通じた学習が主流になってきている。それを可能にしたのが、地場メーカーの台頭によるスマートフォンの低廉化である。

このようにスマートフォンが急速に普及することによってインターネットから「知の世界」にアクセスできるようになったのはインドだけでなく、世界中の新興国にとっても同じである。インターネットを経由しての「知識、情報の獲得」という点で、世界はだんだんフラットになってきた。

【Idea Internet Network (IIN)】

▼スマートフォンを使って学習して、発明したドローンが卵を運んでくるシーン。
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【参照情報】
idea

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。