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[2015年第2週]法人は3年後も「ガラケー」が主役、美術館やマラソン大会で位置情報を活用

2015.01.13

Updated by Naohisa Iwamoto on January 13, 2015, 11:30 am JST

年明け早々の1週間のモバイル業界はまだウオーミングアップ段階のようで、国内で目立つニュースは少なかった。調査結果では、法人向けの携帯電話/スマートデバイスの導入に関する調査で、3年後にもフィーチャーフォン(いわゆる「ガラケー」)の利用が半数を占めるという結果が報告されている。Wi-FiやGPSなどの位置情報を活用したサービス、実験についてのニュースも多かった。

法人のスマホ導入阻害要因は安全性、スマホで衝動買いは30代女性

法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査(2014年度版)
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まず興味深い調査結果から見ていこう。法人向け市場では、フィーチャーフォンが3年後でも過半数を占めるという調査結果が公表された。MM総研が公表した「法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査(2014年度版)」では、法人向けのフィーチャーフォンは3年後でも54%が残り、スマートフォンは46%にとどまるという結果が示された。スマートフォン導入企業の割合は22.4%、テストまたは部分導入利用済みの回答(9.0%)と合わせて31.4%だった。スマートフォン導入の阻害要因としては、不正アクセスによる情報漏洩、ウイルス感染、端末の紛失による情報漏洩という「セキュリティへの不安」が上位3位を独占した(報道発表資料:法人ユーザーにおける携帯電話/スマートデバイスの導入配布状況・ニーズに関する調査(2014年度版))。

個人のスマートフォンでのショッピングについての調査結果もあった。NTTアドは、スマートフォンによる有形商品のネットショッピングの経験者は52.6%と過半数に上るという実態調査の結果を公表した。NTTアドでは、「ネットサーフィンなどで偶然見つけて購入した」「友人や知人たちのSNSでの情報により衝動的に購入した」「友人や知人たちとの会話中に衝動的に購入した」の3つの購入パターンを回答したケースを「衝動ポチり買い」と命名。衝動ポチり買いの経験者は、スマホによるネットショッピング経験者の37.0%に上り、衝動ポチり買いが最も多かったのは30代女性という結果が浮かび上がった(関連記事:スマホのネットショッピングで衝動買いが多いのは30代女性--NTTアド調査)。

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位置情報を活用したサービスや実験が続々

位置情報を活用したスマートフォン向けのサービスのニュースをまとめて紹介する。1つは徳川美術館と三井情報が開始する位置情報を活用した美術館来館者への情報提供の実験。国内での美術館でのIT活用モデルの先駆けと位置づけた実験だ。

実証実験イメージ
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無料Wi-Fiと位置情報を組み合わせ、位置情報アプリをスマートフォンなどにダウンロードすること利用できる。位置情報により近くの展示物に関連する情報を提供するなど、来館者の行動に合わせた情報提供を試みる。今後、徳川美術館と三井情報は、実験から得たノウハウを活用して美術館での有用なサービス提供を推進する(報道発表資料:徳川美術館とMKI、来館者に無料Wi-Fiと位置情報を活用した展示物等に関する情報配信サービスの実証実験を開始)。

もう1つは、NTT西日本、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト、ケイ・シー・シーが協業して提供するイベント運営サポートサービス「いまどこ+」。サービスでは、スタッフが持つスマートフォンのGPS位置情報をクラウドサーバーにアップロードすることで、大会事務局などに設置したパソコンやスマートフォンからクラウドサーバーにアクセスすることで、スタッフの位置情報を共有できるようにする。スタッフに指示を出したり、必要な場所にいるスタッフに通話したりすることもできる。1月11日に鹿児島県で開催された「第34回いぶすき菜の花マラソン」で初めて利用された(関連記事:NTT西日本など、スタッフの位置情報を共有できるイベント運営支援サービス「いまどこ+」を提供)。

LINEも位置情報を活用してタクシーを呼べる「LINE TAXI」のサービスを開始している。INE TAXIは、LINEアプリ上からタクシーを呼べる配車サービスで、専用のアプリのインストールなどは不要。LINEアプリの4.8.0以上のバージョンで利用できる。LINEアプリ上からGPS機能の利用や建物情報の入力を行うことで、タクシーの乗車位置を指定できる。LINEアプリを起動するだけで手軽にタクシーを呼べるほか、配車までの待ち時間の目安がLINE TAXI内の地図に表示されるため、安心してタクシーを待てる。まず東京版(東京23区、三鷹市、武蔵野市)のサービスを同日から提供し、近日中に全国版へと拡大する(関連記事:LINEアプリからタクシーを呼べる「LINE TAXI」、東京版を開始、全国でも近日中に)。

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JINSとオムロンが共同事業、ノキアがパナソニックから事業譲り受け完了

そのほかの主なニュースを紹介する。ジェイアイエヌ(以下JINS)とオムロンヘルスケア(以下オムロンヘルスケア)は、ウエアラブル端末「JINS MEME(ジンズ ミーム)」をプラットフォームとした新ソリューション開発に向け共同プロジェクトを発足する。

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2016年春の商品化を目指す。JINS MEMの取得するデータとオムロンヘルスケアの生体計測・解析技術を応用することで、ヘルスケア分野における新たな付加価値の創造を目指す(関連記事:JINS MEMEソリューション開発に向けた動き:オムロンヘルスケアと共同プロジェクトを発足、開発者向けに取得可能データ公開も)。

ノキアソリューション&ネットワークス(以下、ノキアネットワークス)は2015年1月5日、パナソニック システムネットワークス(以下、PSN)のキャリア向け無線ネットワーク事業を譲り受け、事業統合が完了したことを発表した。事業統合により、当該の事業に属する固定資産や取引関係はノキアネットワークスに移管されるとともに、約300人の従業員もノキアネットワークスに転籍した(関連記事:ノキアネットワークス、パナソニックのキャリア向け無線ネットワーク事業の統合を完了)。

UQコミュニケーションズは、下り最大110MbpsのWiMAX 2+サービスを、横浜高速鉄道のみなとみらい線で提供開始した。みなとみらい線全線の各駅、列車内でWiMAXに加えてWiMAX 2+のサービスを利用できるようになった。みなとみらい線は、東急東横線と直通運転を行い、横浜〜元町・中華街を結ぶ地下鉄だ(報道発表資料:みなとみらい線におけるWiMAX 2+サービスの提供開始について)。

KDDIは、Firefox OSを搭載したスマートフォン「Fx0」を、2015年1月6日に全国のauショップ、au取扱店で発売した。Fx0は2014年12月23日に発表された端末で、同12月25日からau Online ShopおよびKDDI直営店で販売が始まっていた(製品情報:au Firefox OS Portal Site)。

もう1つKDDIの話題。1月8日に、同社のau携帯電話の一部のユーザーに、データ通信が利用できないが発生した。データ通信が利用できなくなったのは、2015年1月8日 13時20分ころから。影響のエリアは全国に広がる。その後、15時8分にデータ通信サービスは復旧し、すべてのエリアで利用できるようになった。KDDIによれば、原因は設備の不具合とのこと(関連記事:KDDI、一部のユーザーにau携帯電話のデータ通信が利用できないトラブル(復旧済み))。

昨年の第2週のできごと

・ドコモが純増首位、ソフトバンクでトラブル
・モバイルヘルスでソリューションや製品
・新しいサービス、終わるサービス

[2014年第2週]ドコモ復調へ、ソニーからリストバンド型の端末

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。