WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

JKT48仲川遥香さんが「アナザースカイ」で見せた決意と覚悟

2015.01.09

Updated by Hitoshi Sato on January 9, 2015, 20:25 pm JST

20150109-0.jpg

©JKT48 Project

JKT48の仲川遥香さんが出演した「アナザースカイ」(日本テレビ23:00 ~23:30)が2014年12月26日(金)に放送された。AKB48からJKT48に移籍して2年が経つ仲川さんは現在では「ジャカルタの方が今は住みやすい」と述べていた。インドネシアでは多数のテレビやCMに出演している仲川さんだが、日本において1人でテレビ収録に出るのは「アナザースカイ」が初めてとのことである。

露店のフルーツ屋で購入した果物にサンバル(インドネシアの味噌)をつけ、「美味しい」と言って食べる姿はもはやインドネシア人そのものである。それでもお腹を壊したり、病気になったりデング熱になったこともあるそうだ。

仲川さん自身が番組の中で「日本よりも有名だと思う」と語っていたが、まさにその通りであろう。現地でのJKT48はものすごく大人気である。仲川さんはそのJKT48でセンターを務めることもある。AKB48の同期には渡辺麻友さんや柏木由紀さんといったエースが多いが、仲川さん自身もJKT48ではエースの1人である。JKT48のファン以外でも多くのインドネシア人が彼女のことを知っている。そのくらいテレビやCMでよく見かける。仲川さんは現在のインドネシアで「最も有名な日本人の1人」と言っても過言ではない。昨年のJKT8の総選挙では3位だった。

現地のトークショーやバラエティ番組に出演してインドネシア人のタレントらと、もちろんインドネシア語で共演する姿は日本人とは思えない。仲川さんは「笑ってもらおうと思ったことはないし、日本でもお笑い担当でもなかったんだけど、私のインドネシア語ってちょっとアクセントがおかしかったりとか、変なところがあったりするんですね。間違ったことに対して笑われるのに、ちょっと抵抗はあったし嫌だと思っていた。でもみんながそれで面白いって言ってくれるんだったら、まぁいいかな」と語っていた。

確かにインドネシア人が聞いたら仲川さんのインドネシア語は日本語訛りであろうが、それがインドネシアのファンらには大受けであり、彼女の人気の秘密なのである。まさに自らの欠点を完全に「自分のウリ」にすることに成功した逆転の発想である。

JKT48における仲川さんの立ち位置は、先輩であり「お姉さん」である。JKT48のメンバーからも「遥香は怖いの」(ナビラ)「性格は子供っぽいですが、ステージに上がると一気に変わってパフォーマンスは完璧です」(フェランダ)とコメントしている。ステージでは率先してダンスの振り付けをメンバーに指導している。

「仲川さんにとってJKT48とは?」との問いには以下のように回答していた。
「JKT48が終わるまでJKT48にいたい。AKB48に戻るくらいなら卒業します。だからもうAKB48に戻ることはないと思う。」まさに強い決意と覚悟である。JKT48への強い意気込みと本気が伝わってくる。

宮本亜門氏のミュージカルオーディションには残念ながら最終審査で落選してしまったが、そのオーディションに臨む意気込みも「JKT48に来て2年が経ち、みんなとは違うことを学べていると思うし、それが今の自分の自信になっています」と述べていた。また一次審査に合格して日本での二次審査に臨む時には「JKT48を背負って日本に帰るから、帰り方が違う。JKT48のみんなのためにも頑張らなきゃ」と述べていた。

AKB48での活動に迷いを感じていたとき、JKT48に拠点を移した。それから2年が経った。「JKT48に来て広がりましたよね、世界が。AKB48に入ったのが15歳だけど。大事な時期はここ(JKT48)だったのかな。AKB48に入る前から決まっていたのかなって思うぐらい合う。こっちに来て次どんな展開があるんだろうとか、選抜入ってどんな仕事が来るのかなとか、また考えさせられた。また今回の日本でのオーディションで学んだことをJKT48のみんなに伝えたい」とジャカルタでの生活とJKT48の活動が現在の仲川さんには合っていることを伝えた。それでも日本でのAKB48での経験が礎となっているからこそ、現在のJKT48での仲川さんがいるのだろう。日本でのAKB48での活動は決して無駄ではなかったはずだ。

「ジャカルタは本当の自分でいれる場所です。自分が一番自分を表現できる場所がジャカルタ。辛いことがあれば日本には帰れるけど、それを出したら自分の負けだと思う」とジャカルタでこれからもJKT48のメンバーとして戦っていく決意を述べた。

インドネシアの人口は約2億5,000万人、平均年齢27.8歳と若者が多く成長著しい国である。そのインドネシアでJKT48は国民的アイドルであり、その中で仲川さんは自分の生きていく道を見つけたようだ。ライバルが多い日本の中で自分の進むべき道を迷っていた時よりも遥かに輝いている。

周囲のスタッフやメンバーらに支えられながらも、ジャカルタという新天地に移動して2年が経った。「アナザースカイ」の中で仲川さんが見せた決意と覚悟に「今、自分がいる場所は本当の自分でいられる場所だろうか?」と気づかされた人や仲川さんの生き方に共感した人は多いのではないだろうか。
これから第2の仲川さんのような人物が登場することが期待される。

▼「アナザースカイ」収録時の仲川さん。ジャカルタに行った理由をインドネシア語で流暢に答えて、司会の今田耕司さんも「外国のタレントさんの雰囲気やね」とコメントしていた。「秋元先生からはデヴィ夫人みたいになれ」と言われていると語った。
20150109-1.jpg©JKT48 Project

▼「アナザースカイ」後に日本のファンへのメッセージを送る仲川さん。Twitterのフォロワーは約90万人で、日本語とインドネシア語で発信している。

▼JKT48が3周年を迎えた時の仲川さんのGoogle Plus。不安と感謝の気持ちを吐露している。

▼「アナザースカイ」で紹介されていたジャカルタの日曜の朝のカーフリー(歩行者天国)では多くのインドネシア人が走ったり、自転車に乗ったりしている。仲川さんは番組内で露天商で買ったフルーツを食べていたが、日本から行ったばかりの日本人にはお勧めしない。
20150109-2.jpg

▼JKT48が活動する劇場がある「FX」ビル。ジャカルタを訪問したら是非行ってみよう。
20150109-3.jpg

【参考動画】仲川さんが出演するインドネシアでのトークショー。インドネシア人と一緒にバラエティに出ている姿はインドネシア人と変わりない。今田耕司さんが番組内で「何がおもろいねん」と突っ込んでいたが、インドネシア人は大爆笑である。

【関連情報】
JKT48
仲川さんのTwitter
アナザースカイ

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。