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米アルテミス、無線通信技術「pCell」の実証実験へ - ディッシュ・ネットワークの帯域を利用

2015.02.25

Updated by WirelessWire News編集部 on February 25, 2015, 15:43 pm JST

WebTVなどの創業者として知られる起業家のスティーブ・パールマン(Steve Perlman)氏率いるアルテミス・ネットワークス(Artemis Networks:以下、アルテミス)が、同社で開発を進める「pCell」無線通信技術の実証実験をまもなくサンフランシスコで開始するという。アルテミスはこの実験のために、ディッシュ・ネットワーク(Dish Network:以下、ディッシュ)が保有するPCS周波数帯の一部を借り受ける2年間の契約を結んだことも明らかにした。

pCell技術は、パールマン氏が2011年6月に発表していた「DIDO」(Distributed-Input-Distributed-Output)技術というコンセプトに基づいたもので、アルテミスは約1年前に同技術を使った動画配信のデモを実施していた。ひとつの基地局を複数の通信端末で共有しながら電波を送受信している従来の携帯通信網では、同じセルを共有する端末の数が増えるほど通信速度が低下することが避けられないとされているのに対し、pCell(名前の由来は「personal cell」)技術では個々の端末の周囲に専用のセルを作り出す形をとるため、端末の数が増えても変わらぬ速度での通信が可能になるなどとされている。ただし、この技術の実現性について懐疑的な見方もいまだにあるため、アルテミスでは実証実験の結果を踏まえて、携帯通信事業者各社への導入を働きかける考えだという。

アルテミスはこの実験で、サンフランシスコ市内では無線ISP事業者のウェブパス(Webpass)が展開している約600カ所のアンテナを借りて、pCell用送信機数千台を設置する予定。このためのネットワーク構築作業は早ければ今年秋にも完了する見込みで、同社は準備が出来次第サービスを開始するという。なおサービス開始にあたっては、米連邦通信委員会(FCC)の承認を得る必要があり、パールマン氏は、これには半年ほどかかる可能性があるとしているという。

サービスの内容については、「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」および一部のAndroid端末向けに専用のSIMカードを配布し、ユーザーは4Gデータ通信とVoLTEサービスが無制限で使えるようになるという。また同社はカリフォルニア州サンタクララにあるリーバイススタジアム(NFL、サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ本拠地)でも実証実験を行うとしている。

【参照情報】
Artemis is building a 4G network in SF to prove its pCell tech works - GigaOM
WebTV Founder's Super-Fast Wireless Network to Launch in SF - Re/code
Promising Faster Wireless, Artemis Draws Closer With Dish Spectrum Deal - NYTimes

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