LINEは2015年2月、韓国の子会社「LINE Plus」を通じて国連児童基金(UNICEF・ユニセフ)とグローバルパートナーシップ契約を締結したと発表した。LINEのプラットフォームを活用したマーケティングPR活動を行い、3年間で33億ウォン(約3億6,000万円)の資金を調達することを目指す。調達した全額を、発展途上国の子どもの健康、栄養改善、基礎教育などに充てる予定である。LINE Plusと韓国ユニセフ委員会は、ユニセフ本部を代表して契約の調印式を行った。
本パートナーシップは、効果的にユニセフ基金を募ることを目的として、日本、台湾、韓国、タイ、インドネシア、マレーシア、インド、米国、スペイン、フランス、ドイツの11カ国を対象に、ユニセフ本部が主導する戦略的パートナーシップである。
以下のようなLINEのプラットフォームを活用したマーケティングPR活動を順次行っていき、3年間で33億ウォン(約3億6,000万円)の資金調達を目指す。LINEキャラクターのぬいぐるみやグッズは台湾やタイなどアジア諸国では大人気である。
・LINEキャラクターとユニセフロゴを入れたぬいぐるみやマグカップなどのグッズ販売
・スタンプの売上げを寄付する「LINEドネーションスタンプ」の配信
・LINE内の仮想通貨である「LINEコイン」が獲得できるインセンティブサービス「LINE フリーコイン」を活用した募金活動
LINE Plusの慎ジュンホ代表取締役社長CEOは「LINEは、常に世界をリードするモバイルライフプラットフォームとなるべく進化してきた。本パートナーシップが、発展途上国の子どもたちを支援するという重要な役割を担うことによって、活動に貢献するLINEユーザー1人1人に喜びをもたらすことを願っている」とコメントしている。
LINEが2015年1月29日に発表した2014年通期と2014年10~12月期(Q4)の業績によると、LINEの月間アクティブユーザー数(MAU)は約1億8,100万人となった。1人が100円のスタンプを1回購入すれば、あっという間に100億円を超えることになる。しかし、そうは簡単にいかないだろう。LINEの2014年通期の売上額は863億円(基幹事業であるLINE事業単体の売上は774億円)だった。1億8,100万人が毎月アクティブにLINEを利用しているが、年間の売上は863億円ということは、1人あたりの売上高は非常に小さい。世界中の多くの人が無料のメッセンジャーアプリを利用しているが、ゲームやスタンプでの課金はほとんどしていないのだろう。
今回のLINEとユニセフのパートナーシップ契約はLINEにとってはCSR(企業の社会的責任)の側面が大きいのだろうが、この取組みを通じて1人でも多くの人がスタンプの購入やLINEコインに親しむことによって、LINEの将来の収益にも繋がる可能性が高い。
【参照情報】
・LINEリリース
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登録はこちら2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。